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快進撃

「ギャオォォォォォンッ!」


 魔獣の荒々しい咆哮が森中へ響き渡る。

 湾曲(わんきょく)した二本の角を持ち、獰猛(どうもう)な牙を光らせる魔獣、その名はべヒモス。

 筋骨隆々な四肢に紫の剛毛をまとうそれは、並のハンターでは太刀打ちできない凶暴なモンスターだ。

 それに立ち向かうのは、トリニティスイーツの三人。

 先頭のラミィは、白銀に輝く長剣を両手で握ると、敵を見据え攻撃モーションを見極める。


「はぁっ!」


 べヒモスの繰り出す爪をバックステップで回避。

 地面に叩きつけられ、隙のできたその腕へ斬りかかる。


 ――ズバンッ!


「ガルゥゥゥ!」


 強靭なミスリルの刃が肉を裂き、荒々しい悲鳴が漏れた。


「ハンナ、今よ!」


「りょーかい!」


 双剣を手にハンナが横から回り込むが、それに気付いたべヒモスは、その場で回転し尻尾で薙ぎ払う。


「あぶなっ!」


 しかしハンナは、間一髪のところで跳び、べヒモスの頭上高く舞い上がった。

 あまりに軽くとてつもない跳躍力に本人も驚く。


「にゃっ!? こ、この『飛翔のブーツ』、半端じゃないよ!」


 それは貯まった資金とコツコツ集めた素材で作った、高ランク装備だった。

 鍛冶屋は、まるで羽が生えたかのように体が軽くなると言っていたが、あながち嘘ではなかったらしい。

 ハンナは上空でくるっと身をひるがえすと、双剣を構えべヒモスへ狙いをつけた。

 しかし、敵も黙って空中からの攻撃を許すはずもなく、


「グルァッ!」 


 頭を突き上げ鋭い角をハンナへ向けてきた。

 落下と同時に串刺しにするつもりだ。

 さすがのハンナも空中では自由に動けない。


「させません!」


 そこで、無数の矢が飛来する。

 

「グガッ!」


 矢は次々にべヒモスの胴体へ命中していく。


「まだまだ!」


 さらに連続で飛来。

 三本の矢を同時につがえるシルフィは、まるで流れるような指さばきで乱れ打つ。

 神業(かみわざ)のような連射を可能としているのは、その弓の性質によるもの。

 これもまた、高ランクの武具だ。

 しかも彼女が放っているのは、麻痺の液体が付着した矢。


「痺れた!」


「ナイスだよ! シルフィ!」


 べヒモスが固まり、小刻みに体を震わせる。

 ハンナは両手の剣を振り上げて急降下し、ラミィは地を蹴りミスリルソードを振り抜く。

 無数の剣閃が走り、やがて血が飛び散ると、べヒモスは断末魔の咆哮を上げた。


「グギャァァァァァンッ!」


 けたたましい咆哮の後、森へ静寂がおとずれる。

 シルフィは高揚感が抑えられず、弾むような足取りへ二人の元へ駆け寄った。


「や、やりましたね! 二人ともお怪我は?」


「問題なしだ」


「ナイス援護だったよ、シルフィ」


 ラミィとハンナがVサインを出してシルフィは頬を緩ませる。


「それにしても、今までの戦いが嘘のようだね」


「そうそう、ヤマトくんの言う通りだったよ。装備さえそろえれば、ここまで戦えるんだねぇ」


「ですね! やっぱりヤマトさんは凄い方です!」


「うん、ますます惚れちゃうねぇ~」


「はい! って、えぇ!?」


「にひひぃ……今のうちにつばつけておこうかなぁ」


 ハンナがいやらしい笑みを浮かべて舌なめずりすると、シルフィは真っ赤になって叫んだ。


「わ、私っ、負けません!」


「ふふふっ、まったく罪作りな男だよ、ヤマトは」


 三人はべヒモスの素材を回収すると、ヤマトの待つ町へ帰るのだった。


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