世界最強と捨て子3
1と2、ちょっと内容改編しました。
(令和2.10.2)
火の王は、筋肉マシマシのイケおじの仮面を被ったおじいちゃんをイメージしました。
ドラゴンとして歳は食っているので、中身おじいちゃんにしてみました。
そのとき、辺りは炎に包まれた。
『結界壊すなって言ったじゃろうが馬鹿者ぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!』
「荒れてんなぁ」
『お主のせいじゃよバーカバーカ!!』
ずどーーーーんという音を立てて、遥か上空より見下ろす真っ赤な鱗のドラゴンが、真っ赤な髪の、無駄に図体のでかい男に変化して落ちてきた。
大層お怒りである。あ、服は着てます。昔贈った黒くて肌触りの良い着物を着てくれております。嬉しいなぁ。
防衛体制万全な赤子と俺 vs 火の王 な感じで火の王が到着したところで、すっごく聞きたかったことを聞いてみた。
「火の王、最近ここに魔王って来たりした?」
「は?いやあやつは国を挙げてごめんなさい祭りで各地巡っとるはずじゃろ。ここはわしの領域じゃし、終末の被害は結界ではね除けたしの。昔はよく来ておったがの、あやつに今はそんな暇ないじゃろ」
「んっとね、結界を壊した理由。これ」
魔王と火の王はどうやら旧知の仲らしい。父さんと同じような内容の答えが返ってきたので、とりあえず守護魔法でプカプカ浮いている赤子を指差してみた。
「ほー………この子供、魔王の倅か」
「今のところ、僕の中では魔王がトイレに流されて捨てたっていう見解が生まれてるんだけど、火の王はどう思う?」
「言いたいことはわかるが簡潔にしすぎじゃ。あと、トイレをそこで使っちゃアカンじゃろ…。まー、何かしらトラブルがあったことは事実じゃろうな。して、主はどうするんじゃ」
「何を」
「この子供じゃよ。ほっぽいても魔王の倅じゃし生き長らえるとは思うが、結界を壊してまでわしを呼ぶくらいじゃろ。何か策があったのではないか?」
「えー………
火の王よ、子育てに興味は「わしゃ、げぇむ攻略に忙しい」いや子供よりゲームかよ、働けや」
せっかく情報収集と協力(強制)のために呼びつけたのに、赤子よりもゲームが大事とか言われた。ぴえん。
「他人の子の面倒を見るなんぞ一度で十分じゃよ。わしはもう主らので疲れた。いくら魔王の倅であっても二度とせんわ」
火の王は、霊体で物理的に子育てが出来なくなった父さんが匙を投げた、いわゆる育ての親である。
匙を投げたといっても元魔法使いの謎の力か何かで訓練とかはやれるようにしていたが、生活や精神的な問題で『永遠に親が霊体はヤバいだろ…』と思い立ったらしく、家事や育児の少しだとか、重要な書類の保護者とかを知人に頼りまくっていた。その中の一人が火の王だったのだ。
「今も昔もお主らは最低最悪。好奇心の塊のようなお前と子供ながらに冷徹すぎるあやつを抱えて、どれだけ面倒を被ったか…。今や立派に大きくなりよったが、あの頃のわしは大真面目に胃痛で死にかけじゃったんじゃからな。死に急ぎ小僧どもが、本当に大きくなりよって…」
「あーーーーーーーーーー、聞きたくなーーーーい」
子供の頃のお話はまた今度。