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1ー2 紫に触れて

コドの過去についてです。

少し重い話となっています。

 コドは元気よく知的で近所の子供たちのリーダー的存在だった。よく外を走り回って友達と遊んでいたため、健康的な小麦色の肌をして、背も年のわりには大きく女の子にも人気があった。そんな彼の両親は果物屋を営んでおり、親子共々容姿が優れていて街の人からの人望も厚く毎日多くの客が訪れる人気店であった。


 

 そんなコドにとって7回目の誕生日となった丁度5年前。店仕舞を終え、ケーキを買いに出ていった両親の帰りが遅いと玄関に行こうとすると、聞き覚えのある女性の悲鳴が聞こえた。

 慌てて玄関に向かい扉を明けると、そこには腹を槍で貫かれた父親がいた。コドはただ呆然とその姿をみつめることしかできなかった。そんなコドの様子にも気付かず、今にも息を引き取りそうな男にコドの母はなんとか地を這ってたどり着いた。母の温もりを感じた父は悔しそうにされどどこか安心した様子で最後の呼吸を終えた。父の最期を見届けることしかできなかった彼は母親だけでも助けようと走り出す。視界が目から落ちる豪雨に乱されながらも何度も何度も呼んだ。お母さん。お母さん。彼の呼び掛けに答えるものはいなかった。コドが走り出した直後、彼の母親は耳や目、口から血を吹き出して倒れた。走りよったコドの全身に母親の血が掛かった。その直後コドは全身に痺れを感じ意識を手放した。両親を殺めた犯人の顔を目に焼き付けようとしながら。



 一週間後コドは目を覚ました。一週間前に起こった事件が衝撃的すぎて夢だと思って起き上がろうにも体が動かなかった。周りを見ると腕に管が繋がっており、知らない女の人が心配そうな顔で僕を見ていた。女の人はゆっくりと事件について教えてくれた。犯人は捕まっておらず目星もついてないこと。父親は刺されたことによる出血死だということ。母親は父親に刺さった槍に塗ってあった毒を血を通して触ってしまい、それが全身に回って死んでしまったこと。自分は母親の血に混じった毒をくらい危ない状態であったが、すぐ駆けつけた医者の治癒の力によってなんとか一命をとりとめたということ。言葉の意味は分かっても現実とは認識できずなにもできないまま呆然と過ごす日々が続いた。そして、毒が完全に抜けきった1か月後無事退院することができたが、両親を失ったショックで直ぐにでも死んでしまいそうな彼を放っておくことは危険だと近所の人たちが病院に頼み込み、孤児院で引き取られることになった。


 孤児院で過ごしていくなかで両親がいないという境遇を共有できる人達と共に暮らしなんとか一日一日を自力で生きる意志が戻った。特に楽しみだったのが、王子様が月に一回色々な面白い話をしに孤児院に遊びに来ることだった。彼は王子でありながら、偉そうにすることなく気さくに話しかけてくれ、彼の話す話は新鮮なものばかりで聞くたびにワクワクした。この世界の常識についてまだよくわかってなかったコドは、先天的に人が持っている適正について特に興味を持った。

 

 この世界では人々が生まれながらに持つ不思議な力がある。

神 火 水 風 土 氷 毒 草 金 闘 雷 魔

の12種類に分けられ、特に神と魔は異質な物だとされている。


 その話を聞いたコドは自分の適正が気になり、孤児院長に相談し、適性検査を行った。実に簡単な方法で血を採血し特殊な薬品を加えてその色の変化を見ると言うものである。

 結果は紫色。つまり、毒だった。








 「カズ様、王子様!どこですか?」

 霧の中、恐怖で立ち止まってしまいそうになりながら、コドはカズサールを当てもなく探し回っていると、

 「俺はここだよー」

 霧の奥から返事が返ってきた。一人で不安で仕方なかったコドは返事を聞いて安心し、返ってきた声がカズのものと違うことに気付かず、声の方向に走っていった。少しすると、霧が晴れ場所に着いた。その場所だけ霧がなく周りは霧で囲まれている不思議な空間だった。その真ん中に後ろを向いている男の人がいた。

 「カズ様、ここにいたんですね。早くここから出ましょう。」

 なんの疑問も持たず、男の肩に触れると、直後触れた右手に違和感を感じすぐ話した。その感覚はまるであの時の痺れのようなものだった。すぐその男から離れると、男はゆっくりと振り返った。

 「私の毒に触れて無事だとは。あなたは面白そうな人間ですね。」

 長い舌をチロチロさせ黄色い目を怪しげに細めた男の顔がそこにあった。

前回のものと混じって掲載している形になってしまっていて申し訳ありません。なるべく早く4話まではあげたいと思っています。よろしくお願いします。

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