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1ー21 地下闘技場

本編です。ギリギリになってしまいすいません。

ーーユグ王国 とある町 地下

 そこはある種異様な空間だった。大勢の人間が階段上になっている観客席から紙を握って大声で応援したり、悲しんだり、はたまた発狂しながら喜びを表してるものもいる。

 もちろん、見せ物に感情移入して喜怒哀楽を表している訳ではない。観客の殆んどが護衛を数人後ろに控えさせ、自身は仮面をつけている。素性がバレないようにするためだろう。もちろん、悲しんでいるものは賭けに負けたからであり、喜んでいるものは賭けの照射である。

 そう、いまこの瞬間も2人の男が自分の命運をかけて戦っているのだ。欲望にまみれた観客に見られながらもどちらか1人が倒れるまで彼らは戦い続けるのだ。ここは、隠された地下にある人間の欲望と血にまみれ、法や俗世から離された場所。地下格闘技場だ。

 








 「さぁ、本日も遂に終わりが近づいてきました。地下格闘技トーナメント決勝戦です!!」

 いかにも司会者らしい通る声に煽られ、観客が歓声をあげる。

 「決勝戦はこの2名!!」

 騒がしい空気をそのままにまず1人目の選手が紹介される。

 「トーナメント出場回数2回目にして2回目の決勝戦進出者。前回の優勝者、フェンディ!!!!!」

 「「「「フェンディ!!」」」」

 「やっちまえ!!」

 「俺の全てをかけたんだ!ぶち殺せ!」

 「フェンディ!やってしまいなさい!!」

 フェンディに賭けた人々が多いのかたくさんの激励(脅迫より)の言葉がかけられる。

 現れた男は所々錆びたり赤黒く染まったチェーンを肩に巻きつけ、先端を右手でくるくる回しながら真っ直ぐ前を向いて登場した。目付きは鋭く、刃物でつけられた傷がいたるところについているその体は岩のように硬い筋肉で覆われている。薄い唇にやや浅い笑みを刻んで対戦者の出てくる門をみている。

 彼の登場にさらに会場が沸くが、次の司会の言葉でその歓声もほとんど無くなった。

 「対するは、全てがダークホース。今まで全ての相手が何もできずに体をバラバラにされ死亡。今大会初出場!!トーユ!!」

 騒がしいなかでも通る彼の声が静まった会場に響き渡る。

 紹介に続き現れた男は全身布で覆われており、顔もフードで隠れている。武器は何も持っておらずポケットに手を突っ込んでゆっくりとフィールドに足を踏み入れた。

 対戦相手のフェンディに睨まれているが特に反応せず開始の合図をまっている。

 トーユと呼ばれた男が現れたのを見て何人かが応援する声をあげるが、回りに白い目で見られて徐々に声は上がらなくなった。

 それも無理はないだろう。この男は全てが謎である。強さも底が知れず、戦い方も不明。地下格闘技がいかに無法だとはいえども、決着は気を失うか降参が殆んどであり、殺されることなどほとんどない。そんな中で気づけば敵をみんな木っ端微塵にしているのだ。未知とは人が最も恐れるもののひとつ。位が高かろうが、財力があろうが人である限りは逃れられない恐怖なのだ。

 そんな会場をトーユはフード越しに見回し、すぐに興味を失ったように対戦相手の方を向いた。

 先程とは別の異様な雰囲気に包まれたまま、司会者の声で()()()()

が始まった。

 「それでは、始め!!!!!」

 カーンという鐘がなる音と共に始まった。

 先程とは違い戦いが始まったからかまた熱狂的な空気が包み込むが、それも鐘の音がなってから一瞬だった。

 ブシャッッという生々しい音が響くとチェーンを投げようとしていた右手の中指だけを残して肉片になった。あまりにも呆気なく終わった戦闘に賭けの勝者すらも勝ち名乗りをあげず、あまりの生々しい光景に、今日何度も見せられたとはいえ、観客のなかには胃の中の者を吐き出してしまうものもいて、またあまりの容赦ないトーユの不可視な攻撃?に司会も直ぐ様反応できなかった。

 トーユはもう終わったと後ろを向いてフィールドから離れていく。

 「勝者!ダークホース!トーユ!!!!!」

 半ば無理やり上げた司会の声が虚しく木霊した。

 














ーーユグ王国 とある町 大英帝国 イヤリングス

 イヤリングスはシルエット撃破後、直ぐに軍に戻り休憩を取り消し進軍を再び開始した。

 通りがけに3個の村や町を占領し、食べ物や水を強奪し数10人の兵を残して軍を進めた。反抗する村は武力で押さえつけ降伏する村は資源だけを差し出させすぐにその村から出ていった。

 日も落ちてきたので、野営をしようとしたとき、沢山の足音が聞こえてきた。敵襲かと思い慌てて武器を構え走ってくる人たちを兵士が捕らえたが、どうやら武器も持っていず一般人だった。

 そのことを不思議に思ったイヤは聞き取りをさせたところどうやら、ここから進んだ先にある大きめの町で突如地下が爆発したため、逃げてきたらしい。急いで出てきたため、原因は分からないらしい。

 そこで、イヤはあることを考え付き代理人を立て、1人その町に向かった。














ーーユグ王国 地下格闘技場

 この地下格闘技場にはトーナメントとは別に、トーナメント以上に盛り上がるイベントがある。それが、格闘技トーナメントのその時のチャンピオンと地下格闘技の王者の戦い、闘王戦(とうおうせん)である。

 これは必ずしも行われるわけではなく、トーナメント優勝者の意思でやるかやらないかが選ばれる。見事王者を倒した者には莫大な財産と何か1つの願いを叶えられる権利が与えられるのだ。

 トーユはその闘王戦への参加を表明したため、すぐさまそのアナウンスがなされた。

 「さぁ、皆さん、本日のラストはお待ちかね!!闘王戦だ!!!!」

 「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」

 先程静まり返っていたのが嘘のように会場が沸騰する。

 「早速紹介にいきましょう。」

 「挑戦者!!!トーユ!!今大会優勝者!戦闘力、人相、戦い方、全てが不明。このまま、王者打倒もなるか?!!!!」

 「トーユならできるかもしれねぇ!」

 「俺はお前に賭けたぞ!!」

 先程とは違い、僅かではあるが声が聞こえるほどの応援の声が上がった。強さだけをみたら勝てると思われるのも当然だ。なにせ、全て見えないのだから。

 トーユは変わらず何を考えているのか分からないように立っているが、心なしか先程までよりも目線が上を向いて体も小刻みに動いている。

 「対するは!!!!」

 司会の掛け声に一気に会場のボルテージが上がる!

 「我らのスター!地下の戦場に12の頃から立ち続けること10年!!数々の強敵、難敵をその拳だけで撃ち抜いてきた最強の男!!!!!!」

 司会の溜めに益々上がっていた声もとたんに静かになる。

 そして、一気にそれが弾ける。

 「ウォー·バレン!!!!!!!!!」

 「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」

 今日一番の歓声とともに地下最強の男が檻から解き放たれた。

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