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1ー13 ロベリスタvs大英帝国

ロベリスタ対大英帝国の戦争の話です。

スッキリ終わってしまいますが、戦争は終わりません。

ーー大英帝国 王 コーシ

 コーシは志願兵20000と軍人10000(普通兵9000と優兵1000)そして、近衛数人を率いてロベリスタとの国境前に来ていた。

 「なかなかに集めたものだな。それに、手強いのも数人いる。なぜか、最前列にいるがな。」

コーシは面白いものを見つけたように遠く離れた最前列の強者に視線を向ける。

 「数も向こうの方が多いですな。しかし、私達が勝つことは絶対でありますな。」

 そう豪語するのは、近衛の一人ハチヤだ。彼は若くしてその実力を買われ近衛に抜擢され、今や、少数付の護衛にまで選ばれるほどだ。

 そのハチヤの意見には何も反応せず、今日はここで野営を行い、明日の昼頃から攻めることを伝え1人休みにいった。

 









 1人テントに戻ったコーシは水晶を虚空から取りだし固有波(こゆうは)を水晶に込めた。この世界の人々はそれぞれ固有の波長や色彩をもつ波を体の中に持っている。それを識別させることで安易に他人が使えないようにロックをかけることができるのだ。

 「お呼びですか。コーシ。」

 少しして、水晶越しに黒髪がよく似合う美少女が映った。

 「あぁ、イヤ。そっちはどんな状況かなと思ってね。」

 コーシの妻イヤリングスは鈴のなるような声で笑顔で答えた。

 「こちらは今から仕掛けるところです。特に何もないと思われるのでそのまま進軍してしまいます。」

 「油断はするなよ。こっちは、恐らく()()いる。どうなるか分からないが、取り敢えずは予定通り昼頃から仕掛ける。そっちが終わったら連絡をくれ。」

 「わかりました。コーシが負けるとは思いませんが、ご武運を祈っております。終わり次第、こちらからおかけします。」

 「そっちもな。気をつけて。じゃあな。」

 「はい。では。」

 水晶の光が失われイヤの姿も消えた。

 「じゃあ、あとはあそこだけだな。」

 そう呟いたコーシの姿を敵味方ともにこの戦場で見たものは、戦争終了まで誰もいなかった。













ーー 翌日 昼頃 ロベリスタ王国 アルバート・ソウ

 「やっと、攻めてきたかの。よし、久々に暴れるのじゃ。」

50代の人間だとは思えない活力に溢れた様子で刀を構え一列で向かってくる大英帝国軍に迎え撃つ。

 「もう、若くないのだから、あっさりとやられないようにな。それに、昨日すぐ攻めてこなかったからってそんなに躍起になるな。」

 ユナが興奮して今にも突っ込んでいきそうなソウに待ったをかける。

 「うるさいのじゃ。わかっておるわい。それにそういうユナも笛など構えてやる気に溢れてるの。」

 「そっそんなことないぞ。私はソウとは違って淑やかだからな。」

 ギクリと音がするような反応をしながらも慌てて言い返す。

 「まあ、よい。とにかく1人でも多く倒すのじゃ。」

 さっきまでの飄々とした様子とは違い覇気が籠った声で言うと、ユナも頷き笛を構えた。

 帝国軍との距離があと500メートルになったあたりでユナが笛を奏でる。すると、浅く一面に生えていた草が動きだし、帝国軍の足に絡み付いて体制を崩した。

 「さぁ、皆のもの今のうちに一気に攻めるのだ。」

 本来防衛が目的であるロベリスタ軍であるが相手の転倒を見逃すはずもなく一気に距離をつめにいく。

 「帝国軍よ草など引きちぎっていけ!全てを蹂躙するのだ。」

帝国軍も倒れてすぐ草を切ってなんとか対応するが、やはり隙が大きく、押されていく。

 「そんな草など序の口。『リーフサイクル』。」

 ユナの周りに高速回転する葉っぱが現れ近づくものたちを切り刻んでいく。

 「唸るのじゃ。《草刀・葉月》」

 ソウの振るう剣、草剣は向かってくる敵の盾も剣も鎧も何もなかったことのように切ってしまう。

 この二人の実力はやはり突出していて、なんとか止めようとするが、前面の志願兵では押さえることができずどんどん奥にと入り込まれ、それにつづき、ロベリスタの軍も攻めていく。

 ロベリスタ優勢で戦が進んでいくが、丁度帝国軍の半ばまで先行した部隊が着いたとき戦況は変わる。

 「まだまだ切り足りないのじゃ。いけ、《葉月》!」

 「私が愛する草たちよ敵を全て切り刻め!」

 目の前の敵を倒しまくって進んでいた二人だが、急遽目の前に砂嵐が起きた。進軍を止め、なんとか避けることができた二人だが、一緒についてきた部隊のほとんどが砂嵐に飲まれてしまった。

 「ご老体はおやすみになった方がいいでしょう。私が導きを。」

 「少しは骨のあるのが来たようじゃな。」

 コーシの近衛の二人がソウとユナの前に現れたのだ。

 「帝国に勝利を届けるためご退場願おう。」

 近衛の一人、ハチヤが剣を抜いて一気にユグに迫る。

 「ソウはそいつを。私は隣のをやるから。」

 「なんじゃ。2人ともわしがやろうとしてたのにの。つまらんわい。」

 ソウとユナはハチヤが迫ってくることにも焦ることなく会話し、対応する。それに激昂したハチヤは、一足にソウに切りかかる。

 「くたばれ老人が!!『帝国式剣術・虎伊吹(ドライブ)』」

 固有波を攻撃にのせた思い縦切りを葉月で真っ向から受け止める。が、やはり、一撃は重く、少し後ろに飛ばされた。

 「いい剣筋じゃな。もっと見せてくれ。」

 「ご老体にはきついでしょうがな。」

 ハチヤが固有波を用いて緩急を用いた激しい攻めをし、ソウはそれを受け流し、または真っ向からぶつかり合って対応する。

 「防戦一方ですね。もう楽になってもいいんですよ。」

 ソウはそれには答えずひたすら剣で答える。それがじれったくなったのか、一度距離をとり構えをとる。

 「しぶといですねな。ですが、これで終わりにしましょう。」

 気付けば、戦場はこの二人の戦いを見守る形でしんと見ていた。

 「『帝国一太刀・重進撃(ヘビィストレート)』」

 ハチヤの固有波の色、黄色が色濃く出たオーラを纏った斬撃が地面をえぐりながらソウに向かう。

 それに対しソウは動かず、黄色の斬撃を見つめるだけで、ソウは斬撃に飲まれ爆発が起きた。その砂煙はソウとハチヤの両方を包んだ。

 誰もがソウが疲労で動けず敗退したと思ったが、妻であるユナは笑みを浮かべていた。

 「ソウをそんなもので切れると思わないことね。」

 いつのまにか相対していた近衛を倒し、砂煙が立つ場所をユナはただ見つめていた。


 煙が晴れると、そこには無傷で立つソウと、上半身と下半身がわかれて倒れているハチヤの姿があった。

 「『草刀・意匠返(いしょうがえ)し』」

 近衛二人という主戦力を失った帝国軍はなんと、ロベリスタ軍に大惨敗して逃げ帰っていったのだった。

六月中は1日1話以上投稿します。

応援よろしくお願いいたします。

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