呼び出し
翌朝、私たちはまた制服に袖を通した。
グレーのジャンパースカートに、赤いリボンにグレーのブレザー。可愛らしいので近隣では人気の制服である。黒い鞄の中には、これまた近隣では人気の白に青のストライプの上と、白いパンタロンのツーピースの白衣。式典時には白に青のストライプのワンピースに、エプロンをつける。式典の時にシニョンにつける校章のついた簪もこれまた人気で、私たちはとても誇りに思っているものの1つだ。手術見学用の白衣や予防衣も近隣では大変人気だ。その分一目でわかるので、普段の生活には気を使わなくてはならない。
そして、グレーの制帽を被って、二列縦隊で学校の門をくぐる。学校に着いたら、今日は1限は座学なので制帽をロッカーに入れて受ける。実習であれば、白衣に着替える。廊下は二列縦隊で歩き、笑ったりするのは厳禁。上級生を見たら挨拶をすること……。規則は限りない。
「学外実習終わったね〜」
「いいねぇ」
教室も普段通り明るかった。まるで神田さんがいなくなったことを忘れたかのようだ。そこに教員が入ってきた。教員が入ってきたらクラス委員の号令で礼をする、はずだった。
号令をかけようとしたクラス委員の綿野さんを遮って、教員は言った。
「春日井さんと、それから同室の学生は2年生の教室の前にいなさい。巴原さんが待っているはずです。巴原さんについて行きなさい。」
ハルヒはびっくりしたように立ち上がった。
「どういうことですか?授業は?」
「巴原さんから公欠願いが出ていますから。とにかく行きなさい。」
「わかりました」
室長から公欠願いが出ているということは、よほどのことなのだ。みんなも「何したな?」「やらかし?」とざわついた。
私たちは「ありがとうございます。失礼します。」とやっとの事で言い、教室を出た。