初めての狩り
おはようからおやす、、
はい!トールです!
8歳になりました!
今日は隣のタウロ君と一緒に森に狩りに行きます!
タウロ君は斬馬刀のような大きなブッチャーソードを持っています。
どうやら、ジャンさんの昔使っていたお古だそうです。
ちなみに俺は、ナイフ一本を腰から下げているだけです。
基本的に、俺が遊撃兼、誘導担当。
タウロ君がタイミングよく一撃担当という配置なので、
俺は出来るだけ身軽がいいのです。
軽装過ぎないかっていう突っ込みももらいそうですけど、
実際、手に力を籠めれば、両手の爪は伸びるから武器にもなるし、
タウロ君と鍛えたこの体の頑丈さは、
並みのモンスターでは通用しないくらいのタフさになっているはずです!
さて、やってまいりました因縁の裏の森。トトの森っていうらしいです。
入って早々に、ボックウサギがぴょーんと飛び出してきました。
そんなあいつは、こちらを見るなり、
『ふん、ひよっこが何をしに来た』
みたいな目線を送られて、僕たちは若干オコです。
お互いにアイコンタクトを送って、頷くと、いざ戦闘開始です。
ダッシュで駆けだした俺は、ウサギに向かって真っすぐ突貫。
それに合わせて右手を引き、カウンターを合わせようとするウサギ。
昔はこのパンチが避けられなかったんだよなぁと、
内心ではとしみじみしながら、更に1段加速します。
あと、一歩。
瞬間、俺は左へギュンと、サイドステップ。
軽やかにカウンター狙いのパンチを外し、突き出された右手にすれ違いざま爪を一閃。
「ピュアアアアアア」
切り裂かれた腕に気が付き、叫び声をあげるウサギ。
そこへ、俺の後ろに隠れて一緒に突貫してきたタウロ君が、
斬馬刀の腹部分でフルスイング一発。
ズガンッ
と、えげつない音をさせて殴り飛ばされ、木にぶち当たるウサギ。
崩れ落ちるそれを眺めながら、俺たちは互いにハイタッチを交わして、
初めての狩りの成功に、喜びを分かち合いました。
その日は、
ボックウサギを4匹。
オラタヌキの集団を1グループ。
メガダックを1匹。
十分すぎる成果を上げて、揚々と帰途につこうとしていたその時でした。
「待って。」
「どうしたトール?」
「静かすぎる。鳥たちの声もしなくなった。」
「ん?」
「何か、来るよ。」
徐々に迫ってくるプレッシャーに俺の顔も、タウロの顔も緊張でひきつってきます。
ザザザと、奥の茂みが揺れ、ゆっくりとプレッシャーの正体が現れてきてしまいました。
「うわ、最悪だ。」
それは俺のセリフだよと心の中で叫びたいところでしたが、
そうしている余裕もありませんでした。
だって、
目の前にいるのは、
『グガァァァァァ!!!』
このトトの森の主、アーマーコングだったのですから。
アーマーコングです。
イメージはもちろん金色の獅子さん。
すーぱー宇宙人にはならないですし、
牛じゃないから角もないですけどね。
普段は温厚で、ドラミングを使いながら群れをまとめ、
はぐれモンスターや、外敵からこの一帯を守っている役目のモンスターです。
基本的にはノンアクティブモンスターの設定なのです。