どうやら彼女は俺TUEEEEEEEE!!をしてみたいようです。
ぽっと出チートに好きな人を盗られました、を書いている合間になんとなく書きたくなった作品です。文章力はあまりないですが、読んで頂ければ幸いです。
高校1年生の頃、ちょっとしたミスからクラスに目をつけられてしまった俺は、学校に行くことが嫌になり、学校を辞めた。
そして、学校を辞め、そのせいで近所の人達から変な目で見られるのが怖くなった俺は、周りから見られないようにと、自ら薄暗い檻の中に閉じこもった。
小学校、中学校の時はアウトドアで毎日のように外で遊んでいた俺ではあったが、家庭用のゲームなどのインドアなものも好きだった。
だから、部屋にいることしかすることがなくなった俺が、家庭用ゲーム機以外のPCゲームに目を付けたのは当然のことだったのかもしれない。
とりあえずゲームをやってみようと思った俺は、手当たり次第にいろいろと有名なオンラインゲームに手を出して、そして思い知った。
有名なオンラインゲームは大体凄まじい程の廃人達がいて、昔からやっている人と初心者の間には絶対的な差があるということに。
課金をすればある程度の差を埋めることは出来るだろうが、やはり時間というものは決定的だ。
決して追いつくことは出来ないし、ましてやその上を超えていくことは出来ないだろう。
案外負けず嫌いだった俺は、どうせやるんだったら負けることはしたくなかった。
そこで俺は考えた。
やるんだったら、出来たばかりのオンラインゲームをやればいいと。
<<Battle Sense Online>>
このゲームは俺が引き籠ったとほぼ同時に始まったオンラインゲームだ。
βテストは終わってしまっていたが、βテストをやっていた人も多少の特典は着くが新しく始めることになるらしいので、そこまで大きな差はつかないだろう。
こうして俺はこの<<Battle Sense Online>>をやることに決めた。
そしてやり続けて2年以上が経過した。
今は春。
俺と同じ年の奴らは皆大学受験を終え、皆入学するであろう大学に想いを膨らませたり、車の免許でも取りに行っている時期だ。
そんな中で俺は黙々と<<Battle Sense Online>>をやり続けていた。
レベルはとっくの昔にカンストし、最近になってあらかたのスキルを集めつくした。
そして、この2年の間に<<Battle Sense Online>>は有名になり、このゲームをやっている人数も凄まじい勢いで増えて行ったが、その中で俺はもはやトップと言ってもいいようなランクの人間になっていた。
この<<Battle Sense Online>>では闘技場というものがあり、プレイヤー同士のバトルが行われる。
週1回トーナメントという形式でも行われるが、その他にも毎日ランダムやレベル別の戦いなども行われている。
その中でたくさんの人が勝ったり負けたりして一喜一憂しているのだが、俺は何時の間にかこの中でトーナメント13週連続1位という記録を打ち立てていた。
たぶん初期から始めた中で俺ほどやり込んでいる人間はいなかったのだろう。
たまに負けたりもしていたが、ここ最近は一度も負けた記憶が無い。
全国の人間の中で一番。
それは俺の中でとても輝かしく、大人数の観客に持ち上げられるのはとても気持ちいいものだった。
だが、この勝ち続けることしかやることのなくなった毎日は、次第に輝きを失っていたのかもしれない。
先に光が見えなくなったこの部屋の中で、突然ドアの開かれる音がした。
俺は一瞬びくっとして、その後ゆっくりとドアの方を見た。
「なんだ、彩貴か。」
「……何だとは何よ。人がせっかく来てやったのに。」
ドアの前にいたのは一人の女の子。
うちの隣に住んでおり、一応俺の幼馴染。
同い年で、小さい頃から美容師に憧れていて、今年から美容師の専門学校に通うらしい。
だからこうやって何も手入れされずに伸びていく俺の髪の毛を狙って、たびたび部屋の中に突入してくる。
どうやら髪を切る練習用のマネキンは高いらしく、俺の髪の毛は無料で出来るいい練習台なのだと言っていた。
しかし、俺はふと考える。
こいつが髪を切りにきたのはつい最近ではないだろうかと。
横にある鏡で自分の髪を見てみる。
多少荒れてはいるがぼさぼさの髪には程遠く、むしろ結構整っていると言ってもよさそうだ。
「まだ俺の髪は伸びていないぞ。もしかして今度は丸刈りの練習でもするのか?」
家を出ないと言っても、さすがに丸刈りの坊主頭は遠慮したい。
「そんなことしないわよっ。」
彩貴はそう言うと、ドカドカと俺の部屋に入ってきて、俺の隣に座った。
「何の用だ?もし髪が早く伸びることを期待しているのだったらいい案がある。噂によると、男はエロいことを考えると髪が伸びるのが早くなるのだとか。どうだ?俺とエロいことでもしてみないか?」
「馬鹿っ!!誰があんたなんかと。」
そう言って顔を赤くする彩貴は可愛かった。
昔から彩貴のことを隣で見ている俺は、何でこいつに彼氏が出来ないのか疑問に思う。
すらっとした体型に、整った顔立ち。
胸の大きさはもう少し、といったところだが、そんなことを抜きにしても確実にモテるだろうと思う。
性格もちょっと強気なところはあるが、可愛いと思うし……。
何でこれで彼氏が出来ないんだろうな。不思議だ。
「き、今日はちょっと違う用事で来たの。」
少しもじもじしながら言ってくる彩貴。
感情がコロコロと変わって面白い。
だが、俺の部屋に用事?
基本的に俺の部屋には髪を切る時くらいにしか彩貴は来ない。
だとしたら何の用なのだろう?
俺の部屋に彩貴の用事を済ませられるようなものが見当たらないのだが。
お、お前まさか本当に俺と?
「まさかお前俺と本当にエロ「俺TUEEEEEEEEE!!がしてみたいの!!」……へ?」
「だっ、かっ、らっ、俺TUEEEEEEEEEE!!がしてみたいの!!」
「はあ。」
俺の期待を裏切られた突然の言葉に、開いた口はしばらく閉じてくれなかった。
とりあえず詳しい話を彩貴に聞いてみた。
何処からそんな言葉を知ったのかは知らないが、俺がやっているゲームで俺TUEEEEEEEE!!をやってみたいらしい。
どうやらストレス発散が目的のようだ。
「最近色々あってストレスが溜まってるのよ。で、何かストレス解消できることはないかなー、って考えてたんだけど、なんか俺TUEEEEEEEEE!!ってやってみたら気持ち良さそうじゃない?だから、ずーっと部屋に籠ってゲームやってるあんただったらもしかしたら俺TUEEEEEEEEE!!って出来るかもしれないって思ったの。ずーっと部屋に籠っているあんたならね。」
嫌味を言われた。
まあそれも当然か……。
高校を辞めた俺が引き籠ったのを心配してか、彩貴は何回も俺を家から出そうとしてくれた。
だが俺はそれを突っぱねて部屋の中に籠り続けたわけで、本当に申し訳なかった。
「彩貴、ごめんな。」
家から出るのが怖くなってしまった俺は、どんなに頑張っても家の外に足を踏み出すことが出来なくなっていた。
だから今は謝ることしか出来ない。
「ちょっ、謝らなくてもいいから。ごめん、私が言い過ぎた。」
彩貴はそう言うとシュンとなってしまった。
悪いのは俺の方だっていうのに……。
「いや、落ち込むなよ。悪いのは俺だ。っな?とりあえず、そんなことは置いといて、俺TUEEEEEEEEE!!がしたいんだろ?出来るけどやってみるか?」
「え、本当に出来るの?」
本当に出来ることに驚いたのか、シュンとした顔は一瞬で消え、驚いた顔で俺に詰め寄る彩貴。
本当に表情が良く変わる奴だよ。まったく。
「俺がずっとやってるのはこの<<Battle Sense Online>>って奴なんだけど、この中であればとりあえず全国の中で俺が一番強い。だから、あんまり操作できなくても、ランダム戦ならよっぽどの相手とぶつからない限り、負けることはないと思うよ。」
彩貴がゲームをやっているのを最近は見たことがない。
俺が家から出ないっていうのもあるけど。
小さい頃はうちに来た時に一緒にやっていたが、よく俺にぼこぼこにされていじけて泣いていたな。
そういえば、彩貴は小さい頃は泣き虫でしょっちゅう泣いていたけど、中学校に入った頃からは一度も泣いたところを見たことがなかった。
「全国で一番強いってちょっと引くわ。」
「やらせねーぞ。」
「ごめんなさい。」
そんなやり取りをしながら操作していき、ランダム戦にエントリーする。
俺はトーナメントで勝ち始めてからは、レベル別の試合には出ることはあったが、ランダム戦には出ないようにしていた。
さすがに始めたばかりの人達が試合で一撃で殺されたら気分が悪くなるだろう。
だから、そういう試合には極力出ないようにしていたのだ。
でもまあ今日位はいいだろう。
もしかしたら結構いい勝負になるかもしれないし。
そうこうしているうちに試合の番が来た。
相手は相当レベルが下の奴だ。
これはさすがにいい勝負にはならないだろうなと思った。
すぐにでも決着が着くものかと思っていたが、意外にも長期戦となっていた。
何故かというと、彩貴が下手くそ過ぎたからだ。
無意味にくるくると回りながら、見当違いの方向にドデカい魔法を放つ。
敵が近寄ってきたらなぜか逃げ回り、誰もいない方向に剣を振る。
これではすぐに勝負がつかない訳だ。
たまに相手の攻撃が当たるが、レベルカンストの俺のキャラにはダメージが通らないか、通ったとしても1だけだった。
そんなこんなで長期戦になった試合は、やみくもに振るった剣が相手にかすり、一撃であっさりと終了した。
画面にWINの文字が現れる。
「あ、勝った。勝ったよお。」
そう言って隣で飛び跳ねて喜ぶ彩貴を見ていたら、こんな試合もなかなか面白いかなと思った。
それから何回もランダム戦を繰り返すうちに、彩貴はどんどん上手くなっていった。
どうせ敵の攻撃はダメージが通らないからと、落ち着いて攻撃し始めた辺りから、相手をよく見ることを覚えたようだ。
「きゃあああぁぁぁ、俺TUEEEEEEEE!!」
さっきから隣で興奮しながら喜んでいる彩貴はいいストレス発散になっているだろうなと思った。
それからしばらくして、突然事件は起こった。
とりあえず先に言っておくが、この試合では、試合の最中にも相手と会話することが出来る。
動きながら文字なんか書く暇ないので、試合中ほとんど使うことはないが、とりあえず会話できるのだ。
そして、その会話はこの試合を見ている観客にも表示される。
観客はいろんな闘技場の中の好きな試合を自由に見ることが出来、戦っている人たちの試合を見ながら、二人の会話を聞き、楽しむことが出来るようになっている。
先程と変わりなく一撃で試合を終えた彩貴は、何を思ったのか、突然キャーキャー騒ぎながら会話の所に俺TUEEEEEEEE!!と入力し、エンターキーを連打したのだ。
会話では何も書かない状態でエンターキーを二度押しすると前に書いた言葉を再び使うことが出来るのだが、それがさらに追い打ちをかけた。
画面の会話のログに現れる大量の俺TUEEEEEEEE!!の文字。
冷や汗が一気に噴き出した。
「おいっ、止めろっ!!」
未だにエンターキーを連打していた彩貴の手を掴んで急いで止める。
「な、何っ?」
いきなりのことで混乱したのか彩貴が驚いた声を上げる。
しかし、今はそんなことは関係ない。
画面の右上にある観客の数を見る。
「お、終わった……。」
思わず言葉が漏れた。
画面の右上にはこの試合を見ていた観客の数が表示されているのだが、表示されていた数字は3000を超えていた。
普通ここに表示される数字はだいたい多くても数百程度。
有名なプレイヤーが戦っているときでも1000を超えることはほぼない。
だからこの数字は大きすぎる。
たぶん今までランダム戦は出てこなかった全国一位の俺が出場したからだろう。
知名度と物珍しさに大量の人が観戦していたのだ。
そして会話のログは観客全員が見ているだろう。
一撃で弱い相手を倒して俺TUEEEEEEEE!!と騒ぎまくる奴。
はたしてそれを非難しない人がいるだろうか。
「ね、ねえ、ちょっとどうしたの?」
「ちょっと黙ってろ。」
俺の様子に気づいたのか、彩貴が声をかけてくる。
それに俺は苛立ちを込めて返答してしまった。
俺は急いで<<Battle Sense Online>>の掲示板を開く。
そこで俺は見たくもないスレを見つけた。
おい、皆!!NO.1がランダム戦に現れたぞ!!
開いてみるとそこには予想通りの言葉が書き込まれていた。
大量の誹謗中傷。
死ね。や消えろ。など大量の俺のプレイヤー名を罵る言葉が書かれていた。
最初の方は俺のキャラがランダム戦に出ているのを珍しい目で見ている様子が描かれていたが、後半、つまり最後の試合の後は誹謗と中傷のオンパレードであった。
見ている間にも、この言葉たちは更新されて数を増していく。
そしてあっという間に1000件を超えてしまった。
「はは、終わっちまった……。」
呟く俺。
脱力して倒れ込む俺。
この瞬間、俺の2年間が全て水の泡となった。
「わ、私なんてことを……。」
俺が倒れ込んでいる間に画面を見たのだろう。
全てを理解した彩貴が青くなって震えていた。
「こ、これってどうなるの?」
恐る恐る俺に話しかけてくる彩貴。
「どうにもならない。別にこのまま続けることは出来るだろうが、非難の目に晒され続けるだろうな。とても試合には出られない。本当に全部終わった。」
「ほ、本当にどうにもできないの?」
「もう終わったんだよっ!!」
再度の問いかけに苛立った俺は思わず叫んでいた。
彩貴の震える身体がビクンと飛び跳ねた。
そして、顔を歪ませる。
「ごめんっ!本当にごめんなさい!!」
彩貴はバッと頭を下げると、凄い速さで立ち上がり走り去ってしまった。
残された俺と、既に詰み状態のゲーム。
だが、そんなことよりも走り去る時の彩貴の顔が頭から離れなかった。
走り去るときにぽたりと落ちた一粒の涙が。
ずっと俺を外に出そうとしてくれていた彩貴。
彩貴が泣かなくなったのは何時だっただろうか。
思い返してみれば、一つだけ心当たりがあった。
小学校六年生の頃。
俺は三人の同級生にボコボコにされていた。
そしてその後ろで泣きじゃくる彩貴。
この三人はよく彩貴をいじめていた。
最初はからかい程度のものだったが、次第にエスカレートしていった悪戯は、最終的に彩貴を体育館の倉庫に閉じ込めるまでに発展した。
俺は彩貴が必至でドアを叩いて助けを求める音を聞きつけ、助けた。
そしてその近くでニヤニヤしていた三人に殴りかかったのだ。
結果はボロ負け。
泣きじゃくる彩貴の目の前で、俺はボコボコにされたのだった。
その時から彩貴は泣かなくなった。
たぶんそうだ。
何で俺はあの時殴りかかったのだろう。
その答えは思い出せなかったが、俺は彩貴の涙を見て追いかけなければならないと感じた。
そうしないと彩貴が遠くに行ってしまうような気がした。
バッと立ち上がり、部屋を飛び出す。
階段を転げ落ちそうになりながら下り、ずっと避けてきた玄関から俺は裸足のまま飛び出した。
そのまま家を出て左に曲がり、彩貴の家の前まで走る。
そして勢いそのままに彩貴の家の玄関を開けた。
懐かしい彩貴の家。
玄関にはちょうど彩貴の母親がいた。
「おばちゃん、彩貴は?」
「え?あ、あなたは……。」
「彩貴は帰ってきたっ?」
驚く彩貴の母親を無視して再度問いかける。
「まだ帰ってきて来てないけど、どうかし「おばちゃんありがとっ。」」
俺は聞きたいことだけ聞くと、礼をし、玄関を飛び出る。
彩貴が家にいないとすると、もういる場所は一つしかない。
そんな確信があった。
俺はそこに向かって走り出した。
俺の家の近くには小さな公園がある。
申し訳程度にブランコとベンチがある程度の本当に小さな公園。
俺と彩貴は小さい頃よくそこで遊んでいた。
今思い出せばすごく懐かしい。
そして、この公園はもう一つ思い出がある。
小学生の時、嫌なことがあった彩貴は毎回ここに逃げ込んで、ブランコに座りながら泣いていた。
それを俺が迎えに行く。
これは毎回の決まりごとのようなものだった。
その後、泣き止んだ彩貴と手を繋いで帰ったっけか。
なぜかたくさんの思い出がよみがえってきた。
そして今、あの時ブランコで泣きじゃくっていた姿が重なった。
「はぁ、はぁ、やっぱりいた……。」
今はもう小さくなってしまったブランコに座り、ぽろぽろと涙をこぼしながら、それはもうわんわんと泣いていた。
「彩貴。」
「ごべん。ひっく、ほんどにごべんねぇ。」
「もう大丈夫だから、だから泣くなよ。」
もうゲームのことはどうでもよくなっていた。
それよりもこれ以上彩貴を泣かせたくなかった。
「わだし、なんでもずるからぁ、なんでもずるからぁ。」
「いいよ、もう大丈夫だって。」
「なんでもずるのぉっ!」
何かさせないと梃子でもここを動かなそうだな……。
それなら彩貴がこれ以上罪悪感を持たないようなものを考えないと。
「じゃあ俺と付き合ってくれ。」
「えっ?」
え?何言っちゃってんの俺。
勝手に言葉が口から出て行った。
「ずっと好きだったんだ。昔からずっと。」
「えっ?えっ?」
彩貴は俺の言葉に混乱して、涙なんか引っ込んじゃったようだ。
いや、むしろ俺の方が家に引っ込みたいくらいだよ。
俺も混乱しながら、自分から出ていった言葉について考えた。
そして思い出した。
小学校の頃、彩貴を助けていた理由。
俺はずっと彩貴のことが好きだったんだ。
だけど好きな人の前で無様な姿を見せた俺は、その日からその考えを胸の奥に仕舞い込んだ。
そして、その日から少しずつ彩貴との距離が開いていってしまった。
いつの間にかそれを忘れていた俺。
けど今すべて思い出した。
「彩貴、好きです。ずっとずっと好きでした。」
今度は自分の意志で言えた言葉。
俺の目から涙が一粒落ちた。
「本当に……?」
「うん。」
赤い目で俺を見ながら、小さな声で呟くように聞こえた声にしっかりと返事をする。
今度は彩貴の目からぽたりと涙が落ちた。
「私もずっと好きだったの……。」
そう言うと彩貴の涙が溢れ出た。
そして俺の胸に飛び込んでくる。
カシャンと揺れるブランコ。
俺はしっかりと彩貴を受け止めた。
泣きじゃくる彩貴を抱きしめながら、ふと思い出す。
そういえばいつの間にか外に出られていたなあ。
目の前の夕焼けが眩しすぎて、ちょっと涙が出た。
後日談。
「ねぇねぇ、どの職業がいいの?」
「魔法使いが結構育てやすいぞ。初心者向きだ。」
俺と彩貴は今、<<Battle Sense Online>>の職業を選んでいる。
あれからなんやかんやあって、結局初めからやろうということになったのだ。二人で。
家から出られるようになって、彼女も出来た俺に、もう俺TUEEEEEEEE!!なキャラは必要ない。
これからは彩貴との時間を大切にしていこうと思う。
少しはゲームもやるけどね。
「彩貴、明日デートに行こうか。」
「本当?行きたいっ。」
明日も幸せな一日になりそうだ。
Fin………
ここまで読んで頂きありがとうございました。
この作品はこれで完結しているので、評価、感想、レビューを積極的にして頂けると嬉しいです。