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アルテナの箱庭が満ちるまで  作者: 赤野用介@転生陰陽師7巻12/15発売
第三部 第十巻 独立戦争(12話+1) ~解放者の領域~

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第06話 飛行訓練

 砂の城をなるべく崩れないように保つには、一体どうすれば良いのか。


 泥化して固めれば、吹き付ける浜風に耐えられるだろうか。

 城の周囲に巨大な外堀を作れば、押し寄せる波に耐えられるだろうか。

 永い年月を重ねたアミルカーレが出した答えは、城自体を浜風も波も届かない土地へ運び去る事だった。

 わざわざ浜辺に戻る必要など無い。

 浜風も波も来ない新たな土地こそが安住の地なのだと信じた。


 移設の際にこぼれ落ちた砂は、運び込めた砂の幾百倍だっただろう。

 移設先で形にならず不毛の地へ吸われていった砂は、永い年月の間に血色の地層を形成していった。

 だが彼らの砂の城は、今もこの世界で形を保っている。


 アミルカーレはその行き着いた果てで、この押せば簡単に崩れる城が本当に自分たちが求めていた答えなのだろうかと自問した。

 こんなみすぼらしい城で、子供や孫に生涯暮らせと言わなければならないのか。


 その時フェンリルは宣言した。

 この世界と民のために、絶対に倒れぬ支柱を一本立てておこう。

 そして彼は鎖に繋がれ、永久の世界の王となった。


 金羊は即座に応じて声を上げた。

 ならばその柱を共に支えよう。二人ならば、一方が倒れても柱は崩れまい。

 そんな彼は、王を支える大公となった。


 銀狐は城の裏手を見ながらゆっくりと語った。

 我が術を以て、東の地にいずれ到来する津波を防ぐ巨大な外堀を作ろう。

 朽ちた砂の姿を変えて東へ押し出す彼は、やがて悪魔と呼ばれるようになった。


 銀鼠は、自分がどうすべきか考えた。

 彼はあまり考えるのが好きではなかったが、それでもどうすれば城が崩れないのか真面目に考えた。

 城を厚くしようと民を増やし、食糧難になって餓死者を出した。

 制度を厳しくし、民を苦しませた。逆に甘くし、今度は社会の秩序を乱した。

 波や風に耐えられるように個々を強くしようと計らい、過酷な自然淘汰を生み出した。

 砂浜へ帰ろうとする砂を踏み潰し、アミルカーレはついに惨殺者と呼ばれた。


 この世界は狭く苦しいが、世界の外側では砂たちは風に吹かれて消えてしまう。

 失敗、失敗、失敗、失敗。

 学んで、学んで、学んで、学んで。

 失敗、失敗、成功、失敗。

 経験を積み重ね、砂たちの中から生まれた知恵を得て。

 成功、失敗、成功、成功。

 それからも永い時間が過ぎていった。



 あるとき、アミルカーレは金羊に問い掛けた。


『俺は上手くやれているだろうか?』


 すると金羊は、右手を顎に当てながらのんびりと答えた。


『そうだな、国とは一人で作るものではない。俺たち皆で支え合い、後進の連中もうまく育てて、全員で協力すれば国として上手くやれていると言えるのではないか?』


 その時からアミルカーレは、個々の役割について深く考えるようになった。






 Ep10-06






 バダンテール歴1266年5月。


 アミルカーレは帝都インサフに留まり、獣人帝国の地上本土を4つの州に分けて行政府の機能分散を行った。

 中央州のインサフ、南部州のデイサラス、北東州のエンドア、北西州のアスキス。各州には州長と副州長が配置され、行政府となる州庁が置かれ、各都市の都市長へ指示を出す体制が構築された。

 その一人、ルイトポルト中央州長からアミルカーレの元へ報告が届いた。


「アミルカーレ様、ご指示のありましたアルテナ神殿内の神宝珠を投棄する穴につきまして、本州の全都市より着工を開始したとの報告が集まりました。また南部州、北東州からも同様の連絡が入っております」


 なぜそれを作る必要があるのかは明確に伝えてある。

 ベイル王国が用いている飛行艦が攻め込んできたときに宝珠回収を妨げるためであり、その命令を拒否する者は居ないはずだ。


「なぜ北西州だけが遅れている。前線への伝達は最優先で行われたはずで、前線にこそ火急の工事が求められている事は誰にでも分かるはずだが?」

「工員不足です。地上本土や入植地と異なり、維持地や緩衝地には作業に従事させられる工員がおりません。辛うじて維持地には軍がおりますが、緩衝地には敵進軍を知らせるための人員しかおりません」

「なるほどな」


 画一的な命令を出しても、地域ごとの事情によってそれが実施できないケースがある。

 アミルカーレはその報告に対する新たな指示を出さず、ベリンダを見て促した。

 ベリンダは報告を勘案し、沈黙したアミルカーレの代わりに指示を出す。


「ではアスキスに駐留するガスパールとイジャルガに、軍を用いて速やかに作業を行わせろと私の名で指示を出せ」

「畏まりました。本日中に飛行伝令を飛ばします」

「報告ご苦労だった」

「恐縮です」


 ベリンダの指示に従ってルイトポルトが退出すると、アミルカーレは何やら納得したような表情で一つ頷いて宣言した。


「さて、思ったよりも長居をしてしまった。俺は西へ赴く」


 ベリンダが帝国を上手く動かしたいならば、まず到達すべき目標とそこへ至る段階とを定め、その階段を上がれる人材に必要な権限を与えれば良い。


 それは以前アミルカーレが知らなかった事だ。アミルカーレは失敗し、失敗し、失敗し続けてようやくそれを理解した。

 だがアミルカーレの失敗をベリンダが同じ失敗によって学ぶ必要は無い。上手くいくやり方があるのだから、ベリンダはそれを素直に学べば良いのだ。

 そしてベリンダが理論を学んだと理解したアミルカーレは、それによって帝都での用は済んだと考えた。


「…………行ってしまわれるのですか」

「当然だ。飛行艦は座視できん。それが10万隻もあれば、竜人の居ない世界へと飛び立つ事が出来るかも知れない」

「飛行艦を造り出したベイル王国ですら、数年で数十隻しか持たぬようですが」

「本当にそれだけしか造れないのか、自分の耳で聞き、この目で確かめてみなければ分からないだろう。俺は頭が悪いからな。実際に経験しなければ理解できない」


 既にアミルカーレの戦いの準備は着々と進んでいる。

 彼は自身が南部へ赴くのに先だって、南部から皆殺しのグレゴールと彼の第七軍団を選んで北部方面へと移動させた。

 これによって対ベイル方面に3軍団長、対北部連合に2軍団長が構える態勢となったのだが、軍の強化はそれだけに留まらなかった。

 従来の1個軍団には大隊長4名が配属されていたのだが、アミルカーレはこの編成を見直して大隊長7名の配属に変えた。


 アミルカーレに言わせれば、軍団を構成する5個大隊に4人しか大隊長が付かず、1個大隊を軍団長自身が指揮する事が負担である。

 軍団長は最大戦力なのだから、大隊の指揮などさせずもっと広い視野で動けるよう自由にしておくべきだ。

 だが突出しすぎて討たれても困るので、大隊長を専属で二人くらいは付けておく。それが1個軍団に大隊長7名を配属させた理由だ。


 その考えに沿って前線の4個軍団に大隊長を3名ずつ増やす場合、新たに12名の大隊長が必要となる。

 アミルカーレはオズバルドの第一軍団で生還した大隊長2名、戦死したイグナシオの第三軍団から大隊長4名、皇女直属の4個大隊から大隊長4名、天山洞窟から連れてきた軍団長補佐2名を選び、それぞれの軍団長の元へと送り込んで12名を揃えた。


「アミルカーレ殿が直接前線へ赴かずとも、グレゴールを南部に置いたまま、北部に大隊長を多数増やすのではいけませんでしたか。北部連合側に軍団長2名を置くのは慎重に過ぎるのでは」

「飛行艦とやらは、旧ハザノス・ラクマイアの2国を補給せずに一周出来たのだろう。ならばアスキス王国に飛来し、イジャルガ軍団長を殺さないとは限るまい」

「オズバルドが、ベイル王国所属の大騎士団長たちを大量に戦死させたと聞いていますが」

「まだ居るのだろう。絶対に狙われない保証はどこにある?」

「それはその通りですが」


 ベイル王国には10名近い大祝福2がいるという。

 そこに大祝福3の魔導師であるオリビアが加われば、イジャルガと4人の大隊長でも負ける可能性がある。


「むしろそれほどの力を持ちながら、なぜ北部連合側の解放後にアスキスへ侵攻しなかったのか俺には疑問だ。ベイル王国周辺の安定、北側の防御と続けば、その次は攻勢だろう」

「治癒師付与系のアマデウス大隊長に、魔導師系大隊長の強化をさせれば飛行艦を落とせます。ベイル側が帝国領で落とされる事を警戒したのではありませんか?」


 オズバルド軍団長との戦いにおいて、アマデウスの支援を受けた魔導師系の大隊長達はベイル王国の飛行艦を十数隻撃沈している。

 アスキス王国のような遠方の獣人帝国領で撃沈されれば、ベイル王国や人類は飛行艦を回収できずに獣人帝国に奪われる。

 獣人帝国側が飛行艦を奪って使えるようになれば、今度は攻守が入れ替わる。


「奴等は犠牲を出してでもアマデウスの居る都市を確定させて、残る全ての都市の神宝珠を奪い尽くせば良かったのだ。だがもう時間切れだ」


 既に各軍団長の下にはワイバーンが届き、100頭を越えるヒッポグリフ隊も続々と各地に配備されている。

 あとはアミルカーレが前線に赴けば、防衛網は完成に至る予定だ。


「最後に白姫へアドバイスをしておこう」

「何でしょうか?」


 白姫というのは、アミルカーレらが皇女ベリンダに付けた二つ名だ。

 他の者はあまりに不遜でその様には到底呼べないが、アミルカーレやゲロルトは明確な意図を持って白姫と呼ぶ。

 何者にも制約されない存在と言うのは、常に己で道が正しいのかを省みなければならない。だが常時それを行い続けるのは不可能だ。

 だからアミルカーレらは皇帝に対して不遜であり続けるし、皇帝もそれを受け入れる事で己への鏡を得る事が出来る。


 万事を気に病まなければならないとは、なんと脆い砂の城であろうか。

 アミルカーレはこの城の行く末が気になって仕方がなかった。


「呪いのリーラと死のレーラには、ベイル王国のオリビアが持っているという全体転移を目指させるべきだ。そしてそれが叶ったならば、その者には転姿停止の指輪を与えろ」

「他に祝福の高い軍団長が居てもですか?」

「当然だ。最も重要なのは獣人が勝つ事では無く、生き残る事だ。敵に負けて追われても、転移で逃げれば良い」


 その言には、実際に竜人から逃げ延びて獣人を永らえさせたアミルカーレであればこその実体験から来る重みが込められていた。

 敵対国家に勝てないとき、民が死ぬ以外の選択肢を残しておくのは支配者の責務だろう。

 個人ならば自尊心を守って自決してもその者の勝手だが、国家全体を自決に巻き込んで滅ぼすのは支配者として最悪だ。


 魔導師は生き延びる可能性となる。

 例えばゲロルトの召喚術は、滅んだ東の獣人達を今の獣人帝国へと繋ぐ事が出来た。

 例え戦士系よりも祝福が低かろうと、全体転移が出来る魔導師が帝国内にいるのならば絶対にそちらを選ぶべきだ。


「我々獣人は、これまで魔導師に目を向けて来なかった。それは竜人に魔導師や治癒師が存在せず、それでも我ら獣人や東の人間が敗れて滅んだため、戦闘力の低い魔導師や治癒師がいても仕方がないと我らが考えたためだ」

「……そのような理由が」

「そうだ。これまではゲロルトが居るゆえに魔導師は充分だと考えていたが、全体転移の価値は大きい」


 アミルカーレは西側の地上に出てから今までの間に、獣人の可能性を縛っていたのはもしかすると自身の固定観念だったのではないかと考えるようになっていた。

 人類にブレーズ皇子を殺された事は痛手だったが、西で見出した可能性は想像以上に大きかった。


「双子のうち片方だけが特殊系に進んで全体転移を覚え、もう片方がゲロルト殿のように召喚系へと進んだ場合は?」

「余っている最上位竜の指輪は2個だったか?」

「オズバルドの-3と、イグナシオの±0の2つです」

「俺ならば、全体転移を覚えた方にだけ±0を与える。召喚系は既にゲロルトが居るし、あいつの技術を越えるのは無理だ。指輪は保管し、次の特殊系の軍団長補佐が現われるのを待つ」

「……奪われすぎましたか」


 天山洞窟内決戦の頃には大祝福3が一人も居ないと判明した人類側を大戦力で圧迫し、一気に攻め落とすつもりだった。

 人類側に奪い返される事など考えておらず、殺戮のバルテルが殺されて奪われたときも運が悪かった程度の認識であった。


「皇帝、皇妃、ゲロルトの3人が持っている以上、致命的な損失ではない。それにお前も俺も持っている」


 そもそも獣人が人類から奪った数が6個で、奪われた数は5個だ。

 差し引きでは得をしており、それほど問題ではない。

 それに最上位の転生竜を倒せば、転姿停止の指輪はいずれ手に入る。


「全体転移を覚えさせれば、イェルハイドがそこへ転移して竜を狩り、指輪を増やす事も出来る。何事も次に繋がる方向で考えると足場が広がる」

「分かりました」


 大体伝えたい事は伝えただろうか。

 そう自問したアミルカーレは、概ね伝え終えたと判断して今度こそ本当にインサフの地を去った。






 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇






 ヒッポグリフ隊が前線に届けられてから、およそ2ヵ月の時が経った。

 最初に配備されたのは帝都インサフと各軍団長が駐留している都市だけで、後の都市へは飛行訓練を終えてから順次配備されていく予定だが、それが高速伝達と高速増援に革命をもたらす事は容易に想像が付く。


 これまで『高速伝達』と言えば、大型伝令鳥の通信文であった。

 それは『瘴気のある都市間を飛行して渡れる大型の鳥を卵の時点から入手し、孵化から飼い慣らして帰巣本能を利用して目的地へ飛ぶように慣らし、伝達事項を書いた紙を足に巻き付けて目的地へ飛ばす』という方式である。

 飼い慣らした大型伝令鳥は有精卵を産まないので、野生から卵を持ってくるしか無い。受精しないのは餌が悪いのか、水が悪いのか、加護を浴びすぎる事が悪いのか。これには諸説あるが原因は未だに不明だ。

 そんな大型伝令鳥は運用できる数が限られており、目的地へ飛ぶように慣らすのにも手間が掛かり、いざ飛ばしても休憩や寄り道は当たり前で、おまけに必ず目的地に着いてくれるとも限らない。

 よって確実を期すなら、鷲馬ヒッポグリフによる伝達方式に切り替えた方が良い。


 同時に『高速増援』に関しても、馬を走らせるのと鷲馬に飛ばせるのとでは速度がまるで違う。

 馬を単騎で走らせるなら、1都市の移動に半日ほど必要だろう。もちろん馬は1都市で暫く使い物にならなくなる。

 だが鷲馬ヒッポグリフなら1都市の移動が2時間ほどで済み、そのまま3都市くらいを駆け続ける事が出来る。もちろん飛竜ワイバーンなら、もっと速くて遠くまで飛べる。

 前線に配備している大隊長達をヒッポグリフに乗せれば、距離次第ではその日のうちに侵攻された都市まで辿り着けるかもしれない。


 ベイル王国がハザノス・ラクマイア宝珠回収作戦を行う以前の獣人帝国軍は『宝珠都市と、それを生み出す人類の支配』を目的としていたが、前年からは『獲得した宝珠都市の防衛』も重要な任務となっている。

 従って前線の獣人達は、配備されたヒッポグリフに早く慣れようと現在訓練を続けている。

 そんな飛行隊の指南役を務めていた二人の軍団長補佐が一定の目処を付けて、上司の元へと戻ってきた。


「ジョザイア補佐、帰還致しました」

「同じくシルヴィア補佐、帰還しました」


 アミルカーレと共に帝都インサフまでワイバーンを運んできた二人は、グレゴール軍団長とイジャルガ軍団長にワイバーンを届けてそのまま指揮下に入れと命じられた。


 二人の割り振りに関してはアミルカーレの指示が無かったために、グレゴールとイジャルガの間で相当揉めた。


 何しろ一方はきちんと経験を積んだ33歳のイタチの獣人で、もう一方はゲロルトに押し上げられた23歳の半獣人の娘である。

 しかもシルヴィアは半獣人とは言え「皇帝陛下のご友人であらせられ、共に帝国の礎を築かれた悪魔ゲロルト様」の養女なので、一軍団長如きが粗雑な扱いをすれば後ろ指を指されてしまう。

 明らかに厄介ごとであり、持て余す事も目に見えており、グレゴールとイジャルガの間でお互いにシルヴィアの譲り合いが生じた。


 とは言っても、お互いに「お前がシルヴィア補佐な」などとは言わない。

 まずブチハイエナの獣人が、凄く嫌そうな顔で水馬の獣人を見る。

 すると水馬の獣人がすました表情で受け流し、互いに暫く無言の牽制を行う。

 やがて埒があかないと判断した水馬が、着任した二人の補佐の労をねぎらって、二人を部屋へ案内するよう部下に伝えて体よく追い出す。

 補佐達が退出して足音が去るのを待ったブチハイエナがようやく口を開いて「俺が軍団長として先任だったか?」と確認する。

 そう問われた水馬は「祝福数の高い軍団長が気遣って、低い補佐を受け持ってくれるのですね」と曲解する。

 ブチハイエナが獲物を見る目で水馬を眺め、水馬は細目でブチハイエナを見返す。

 この時点で二人の軍団長の周囲からは、緊迫する空気に耐えかねた者達が我先にと逃げ出した。


 なお両軍団長の間では、皆殺しのグレゴールが祝福の高いジョザイア補佐を、蒐集のイジャルガが半獣人のシルヴィア補佐を受け持つ事は分かり切っていた。

 何しろ一方は敵の殲滅に特化した軍団長で、もう一方は収集癖のある軍団長である。

 イジャルガが「人間に扮して潜り込ませれば、偵察にも暗殺にも使えますね」と納得した事で補佐たちの配属先に決着が付いた。


「ご苦労でした、シルヴィア補佐。飛行隊はまともに飛べるようになりましたか?」

「はい。最大で1日4都市を飛べるようになりました。2都市までなら6割が飛行戦闘も可能です。模擬演習での魔法回避率はまだ低いですけど、急旋回や着陸は以前に比べて格段に上達しています」

「分かりました。適性が高かった者達には、大隊長を運ばせる二人飛行の訓練を始めさせて下さい。残る者達は、伝令役にでも使いましょう」

「はいっ!」


 それを聞いていたグレゴールは、ジョザイアを一瞥してもう一つの成果を確認した。


「最もワイバーンと相性が高く、紫輝石の消耗が最低限で済む隊長を2人選別しました。餌を与える役もさせ、互いに慣れさせております」


 グレゴールは一言も発しないままに頷き、それ以上は問わなかった。

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