第11話 グングニル
都市アーリラの上空を、多数の飛行艦隊が浸食しつつあった。
リーランド帝国軍の後方へと回り込みつつある強襲降陸艦隊には、メルネスや宰相直属の5人の大祝福2、そして都市ブレッヒ・王都ベレオン・都市マイアスの3都市から引き連れてきた6個新騎士団が乗艦している。
リーランドの左右両翼の外側へ向かっている飛行輸送艦隊には、エルヴェ要塞から引き連れてきた4個新騎士団が乗艦していた。
今獣人帝国軍にエルヴェ要塞を攻められると陥落は免れないが、ハインツはそれすらも覚悟の上だ。
左右の指揮官は要塞司令のネッツェル中将と、近衛騎士団長のベックマン中将の2人が務めている。
戦場の直上を旋回しているのは、中位竜の素材のみで作った総旗艦オーディン。
乗艦しているのは大祝福3のハインツとオリビア、そして操艦を担当するサンドライト艦長以下14名。
乗組員14名のうち錬金術師である艦長と副長を除いた12人は祝福を得ており、総旗艦だけは乗組員も特に厳選されている。
その遙か上空では、女王アンジェリカが乗艦する飛行輸送艦が戦場全体を見渡せる位置へと移動しつつあった。
こちらには皇女ヴァレリア、ディボー王国のドステア大騎士団長、ラリサ大治癒師、そして女王の安全を守る者らが乗っている。
「閣下、敵の一部はすでに都市アーリラ内へ達しつつあります」
「……各艦隊の降陸支援を行う。サンドライト艦長、総旗艦は囮となり全速で敵攻城塔に体当たりを仕掛けろ」
「お任せ下さい、閣下!」
アーナリー・サンドライトが、これまでずっと待ち望んできた瞬間がついに訪れた。
本来、都市民権は子供2人までにしか与えられない。
だがアーナリーは難民でありながら、両親と妹弟の家族5人全員に都市民権を与えられた。
それだけではなく衣食住、父にはまともな仕事、アーナリーには錬金術学校の学費無償と生活費の補助、妹と弟には学費無償や給食費無償なども与えられている。
その錬金術学校では校長に推薦され、軍に入ってからも出自を問わずに提案を取り入れられ、中佐にまで取り立てられた。
そんなベイル王国に、これまでの大恩を返す瞬間がやってきた。
列挙した数々の政策を行ってくれたイルクナー宰相が、ベイル王国を守るための大切な操艦をアーナリーへ直々に託してくれたのだ。
「メイン気嚢、エア解放。上昇出力を14/20から8/20へ。続いて前後サブ気嚢、8/12から4/12へ。左舷回転翼を1/4で回せ」
命を掛けるとは、まさに今このような瞬間を言うのだろう。
アーナリーは『艦の最高の操艦のためならば、死んでも構わない』と思った。
そう、命など惜しくない。
敵の攻撃で腕が千切れようとも、身体を抉られようとも、囮となってこの戦場で総旗艦オーディンの存在を知らしめ続ける。
獣人帝国であろうと、リーランド帝国であろうと、あるいは元祖国のインサフ帝国であろうとも、ベイル王国を傷つける事は決して許さない。
なぜならアーナリーは、既に身も心もベイル王国民なのだから。
「後部推進剤、3番から6番まで噴射開始。総員、安全綱を2重装着せよ」
アーナリー・サンドライト艦長の揺るぎない決意と見事な操艦とによって、総旗艦オーディンはリーランド帝国軍が一列に並べている攻城塔の真横から、一直線に突入していく進路へと導かれていった。
「メイン10/20へ上げろ。左舷回転翼停止、続いて右舷回転翼を2/4で10秒回せ。後部推進剤、1番から8番まで全力噴射開始。総員、衝撃に備えろ!」
その叫び声から数秒後、攻城塔を撥ね飛ばす鈍い衝撃が、中位竜の竜皮を幾重にも張った分厚い艦底へと響いていった。
Ep08-11
巨大な壁となって都市へ迫っていた攻城塔の列が、その横合いからさらに巨大な何かによって撥ね飛ばされ、次々と吹き飛んでいった。
「…………はあっ?」
殴り飛ばされた攻城塔が左右に倒れ、隣の攻城塔やそれを牽いていた軍馬たち、兵士達を潰していく。
牽引具に固定されて動けない馬の嘶きや、逃げ遅れた沢山の兵士の絶叫が、横倒しになった塔の下へと消えていく。
一方空を飛ぶ何かは速度を落とさず、そのままあっという間に戦場を駆け抜けていった。
「あれは一体何なんだっ!」
「竜の身体だったが!?」
常識と言うものがある。
空を飛ぶのは翼を生やした生物だ。
そんな常識が、攻城塔と共に、派手な音を立てて吹き飛んでいった。
「リーランド帝国軍の後方、18匹ほどの竜が向かっていきます。さらに左右両翼にも6匹ずつ」
「あんなものが竜であるはずは無い……それに、あまりに大きすぎる……」
そう、何処からか飛んできた竜は、竜と称するにはあまりにも巨大だった。
襲いかかってきたのは他よりも二回りほど大きな全長60メートルほどの巨体の生物。
前面にガレー船の衝角のような角を持ち、ずんぐりとした胴の下部にも足なのかいくつかの太い角を持っており、尾から緑色のマナの光を発しながら、風に乗って飛んでいく。
他の竜達も40メートル級と非常識だ。
だが大きさから考えれば、真っ先に襲ってきた60メートル級の竜が群れのボスであるに違いない。
問題は、あれが攻城塔のみを襲うとは限らないことだ。
最初に目立つ攻城塔を叩き壊しただけで、この後に敵味方を問わず人間を襲わないという保証はどこにも無い。
「……おい、あいつ旋回しているぞ」
「うわああああああっ!」
攻城塔を撥ね飛ばして飛び抜けていった巨大飛行生物が、若干高度を上げながら戦場の空で大きく旋回を始めた。
まるで城や要塞が空を飛び、意思を持って再攻撃のために旋回しているかのような壮絶な光景だった。
全長60メートルの巨大生物は、身長150cmの人間の40倍の大きさだ。
40倍にどれだけの違いがあるのか、人間の視点で見てみる。
身長150cmの人間から見て、40分の1は3.75cm。生物で言えば、ちょうどアマガエルが4cmくらいだ。
考えてほしい。
150cmの人間が、4cm未満のカエルを踏みつけたらどうなるのかを……。
「こっちに向かって来るぞおおっ!」
「ぎゃあああああっ」
蛙の群れが一斉に飛び跳ね、周囲とぶつかり合いながら逃げ始めた。
そんな逃げ出したカエル群れの上空を、巨大生物の足がものすごい勢いで飛び抜けて行く。周囲では通過の余波で、まだ残っていた攻城塔のいくつかが倒れていった。
「アリエンツォ大魔導師、何をしている、対空攻撃魔法を!」
『……サンダースコール!』
飛び抜けていった巨大生物に向かい、ロラン達に対していた魔導師の手から雷光が伸びていく。
稲妻は巨大生物の胴を捕らえ、白緑の竜皮部分に当たって四散した。
「効かないだと!?」
「竜の緑色は魔法抵抗だが……」
「アリエンツォ、他の魔法を!」
アリエンツォとて大祝福2の大魔導師だ。
自らの魔法攻撃が、敵に対してどの程度の効果であったのかについてはそれなりに体感がある。
アリエンツォの魔法を受けたあの生物は、その衝撃の瞬間に小揺るぎもしなかった。身体を揺らさず、飛行速度も落とさず、見たところ傷すらも受けていない。
ようするにあの生物には、アリエンツォの魔法が全く効いていなかった。
それでも何発も撃てば、多少の傷くらいは付けられるかも知れない。そう、あの60m級の巨体に対してわずか数十cm程度のかすり傷を。
ところで2メートルの大男が、わずか2cm程度の切り傷を負ったとして何ほどの事があるというのだ。
「……他の魔法でも同程度の効果しか無い。マナが無為に減る」
巨大生物は、その小尾から緑色のマナの光を発している。そう考えれば、信じがたいことだがあれは竜の一種なのかもしれない。
むしろ、それ以外に考えようが無い。
戦場の各所からは、正体が分かりかけた巨大生物へ向かって大魔導師の魔法に続くかのように次々と魔法の矢が伸びていった。
その生物の移動速度と空に浮かぶ巨体への距離感とで魔導師達は目標を見誤り、多くの魔法の矢が外れていく。
いくらかは命中したが、大祝福2に達している大魔導師の魔法で効かないものを他の魔導師で落とせるはずが無い。
敵の大軍と正面から交戦中の現状で、無駄撃ちによるマナの消費がどの程度まで許されるものか。
しかしあれを落とさなければ、味方の被害は増えるばかりだ。
「巨大生物、さらに旋回しています」
「くそっ、どうしろと言うのだ」
竜の襲撃によって一変した戦況は、前線から遙か後方のリーランド本陣でも容易に観察できた。
それどころか、あれとは別の18匹もの竜が戦場を迂回するように後方へ飛んでいく姿を見届けたところである。
「あれは一体何なのです!」
「大騎士団長たち、ブリジット様をお守りせよ。大治癒師殿の護衛達も協力しろ。リファール飛行隊、全騎飛翔せよ」
「はっ!」
思考が停止していた騎士達が、危機的状況に忠誠心を刺激された貴族の指示で慌てて動き始めた。
「第一飛行隊、前面より緊急飛翔。エアバーストによる多重加速を行う。第二飛行隊は右翼、第三飛行隊は左翼より飛翔せよ。目標、竜の群れのボス。3方向から一気に襲え」
「第二飛行隊、了解」
「第三飛行隊、了解」
アイヒホルン第一飛行隊長の命令を受け、18騎の飛行隊がペリュトンに騎乗して3方向へ駆け始めた。
そして集団の先陣を切るアイヒホルンが、右手から赤色の旗を水平に伸ばした。
『全騎、緊急加速に備えよ』
速度が出始めたところで指示が出され、それを受けた飛行隊が一斉にペリュトンの翼を大きく展開させた。
そしてすぐに赤色の旗が天へ向かって垂直に上がる。
『加速飛翔せよ』
『エアバースト』
6騎のペリュトンの後背から、魔法の暴風が吹き上げた。
風に背中を押されたペリュトン達は伸ばした翼で浮力を得て、次々と浮かび上がっていく。
司令の赤い旗は、さらに進行方向へと振られた。
『追加加速せよ』
『エアバースト』
ものすごい風圧が飛行隊員たちのわずかに露出した皮膚へと叩き付けられ、三重の防風マスク越しの呼吸すらも阻害した。
もはや司令も指示を出来ない。だが飛行隊の魔導師は事前の命令を守り、第一飛行隊にさらなる加速を加えた。
『エアバースト』
下から押し上げられる防風を翼一杯に受け、ペリュトンたちはクロスボウから解き放たれた矢のように一気に天へと駆け上がっていった。
そして真っ直ぐに巨大な竜へと迫っていき……
『暗殺』
巨大な竜の腹から、1本の投槍が投げ飛ばされて迫ってきた。
(……くっ!)
アイヒホルン飛行隊長は、『自らの加速』と『敵からの投擲』によって速度が倍加した槍を本能的に剣で弾き飛ばした。
『全体麻痺』
アイヒホルンが迫ってきた槍に剣を当てた瞬間、突然身体が浮かび上がるような浮遊感に襲われた。
(お……お……!?)
ペリュトンが動かなくなった。
手綱を引いても、足で腹を軽く蹴って促しても、風に乗らなくなったペリュトンが翼を羽ばたかせず、どんどんと高度を落としていく。
指揮下の第一飛行隊を見れば、残る5騎のペリュトンたちも一斉に動かなくなり、アイヒホルンと同じように地面へと落ちていく…………。
「ベッティル、物理防御を掛けろっ!」
「隊員にも、ペリュトンにも、全てに掛かっております!」
敵からの槍を剣で弾いただけだ。
そう、あれは竜では無く船であった。
巨大な船に人間が乗っていて、その人間が槍を投げつけた槍を弾いたら第一飛行隊が壊滅した。
「くそっ、何が起こった!?」
アイヒホルンが思考を巡らせる間に、地面が目前に迫っていった。
そんな第一飛行隊の全騎墜落を、左右から飛び上がった第二・第三飛行隊の12騎は目を見開きながら見届けた。
「第一飛行隊、全騎が撃墜されました!」
「そんな馬鹿な、アイヒホルン飛行隊長が槍を弾いただけであろうが!」
ペリュトンを操る手綱が無意識に引かれる。
第二飛行隊長のバゼーヌは、無意識下に芽生えた「逃げたい」という思いを意思の力で押し潰しながら、自らの思いを打ち消すように部下達へ命令を下した。
「敵は竜では無く…………人間だ。何らかの手段で浮かんでいる。槍を避けろ。あの槍に触れると落ちる仕組みだ。避けながら攻撃せよ」
「了解!」
エアーエコーによって拡大された指揮官の命令を受けた第二飛行隊達は、ペリュトンを旋回させて右翼から敵側面へと回り込む進路をとった。
一方左翼から飛び上がった第三飛行隊は、第二飛行隊に連動するかのように左方向から敵へと回り込みつつあった。
まるで呼吸をするかのように、お互いの速度が左右対称に合わせられていく。
そして距離が狭まった瞬間、敵から攻撃が襲いかかってきた。
雷撃魔法の激しい砲火と据え付け式大型クロスボウからの射撃、そしてあの槍。
『サンダーレイン』『サンダーレイン』『サンダーレイン』
『暗殺』
雷と弓は第三飛行隊へと向かっていき、槍はバゼーヌの第二飛行隊側へと向かって飛んできた。
魔法防御ではなく物理防御のスキルを掛けている第三飛行隊もたまったものでは無いだろうが、あちらは対抗魔法で防ぐことが出来る。
怖いのは明らかに謎の槍の方で、第二飛行隊は外れクジを引いてしまった。
「来たぞっ、回避しろ……くっ」
バゼーヌは歯を食いしばり、必死に手綱を引っ張ってペリュトンを急旋回させ、同時に身体を沈み込ませるようにして急降下の指示を与えた。
(……避け……たっ)
スキルで補正を受けた槍の僅かな角度変化を辛うじて避け切った。真横を飛び抜けていく槍を見ながらそう思った瞬間……
『全体麻痺』
……ペリュトンが突然動かなくなった。
「……馬鹿な、槍は避けたはずだ!?」
「隊長っ!」
バゼーヌが周囲を見渡せば、5騎の部下達も同様にペリュトンのコントロールを失って落下していくのが見える。
「……対地防御。落下後に、その場から飛び直せ。上空で治癒師が防御魔法をかけ直し、再度攻撃に移るっ!」
どんな状況下でもそこから最善の道を執るしかない。
バゼーヌはそう判断しつつも、それが不可能であろうことも同時に悟っていた。ペリュトン達がまるで動かない。これはまるで……麻痺のような。
「しまった、これは魔法だ。魔導師特殊系の強力な魔法だ」
通常の魔法攻撃ならば、炎や雷などの現象ですぐに分かる。
だが状態変化を引き起こす精神攻撃の発動現象は、目に見えないので自分自身に魔法が掛けられたので無ければすぐには分からない。
魔導師特殊系の攻撃方法は多彩だが、とにかく魔導師特有の何らかのイメージが襲ってくる。
イメージの集中を阻害すれば、魔法の威力が下がる。
魔法を掛ける人数が増えれば、魔法の威力が下がる。
魔法を掛ける距離や範囲が広がれば、魔法の威力が下がる。
まさかこれほど離れた距離から、しかも騎士よりも魔法耐性が高いペリュトン6頭へ同時に仕掛けてくるとは。
「固まるな、もっと散開しろ、飛び回れ。まとめて落とされるぞ!」
バゼーヌの声が第三飛行隊に向かって飛んでいくのと時を同じくして、3本目の槍が残る6騎の飛行隊に向かって飛んでいった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「リファール空軍、3個飛行隊の全てが撃墜されました!」
叫んだ騎士は一目瞭然の事実を宣言して、一体何を求めているのか。
一瞬だけそう考えたユーベルは、すぐに「俺に指示を求めているのだろうか」と思い当たった。
だが大騎士団長であるからと言って、あれに対してどう指示を出せば良いのかは咄嗟に思いつけなかった。
一将の身でありながら甚だしい越権行為ではあるが、一旦撤退すると言う手もある。
昨夜リファール空軍が接触した情報提供者の話でも、アレらの話は出てこなかった。
このような事態の前では、撤退したとしてもさほど問題にされることも無いだろう。せいぜい最初に撤退を進言した者が、皇妹ブリジットから八つ当たりされるくらいだ。
(……本家に迷惑は掛けられんが)
脳裏に「アーベライン子爵家の次男坊が撤退を命じた」「応戦すれば勝機があった」「負けたのはアーベライン家のせいだ」などといった言葉が過ぎり、ユーベルは口に出しかけた言葉を飲み込んだ。
(確かにリーランド帝国には理不尽な部分もある。まあそんな事は、どこの国にでもある話だが)
ユーベルは私的感情と社会との摺り合わせを行い、一旦戦闘の止まった戦場で周囲を見渡した。
ユーベルに負けず劣らず、向かい合っている敵達も巨大なアレを見て呆然自失としている。
「ディアナ、アレは何だっ!?」
そんなロランの叫び声に、周囲の喧騒が一瞬で静まった。
彼らが大祝福2の冒険者達であることは、戦闘を見れば誰の目にも明らかだ。そんな将軍の中でも上位に位置する彼らは、それだけ国家機密に近い位置にいる。
そしてアクス家ともなれば、その名は各国へ轟いている。
ディアナ・アクス。
最高司令官の愛娘にして、アクス家初の女性後継者。
ベイル王国にもわずか3つしか無い侯爵家の次期当主で、大祝福2でもある彼女がアレを知らないはずは無い。
静まった周囲を前に、彼女は口を開いた。
「知っていても言うはずが無いだろう」
「……むぐっ!」
それを聞いたユーベルは、成る程と納得した。
「知っていても言うはずが無い」と言うことは、アレは謎の生物ではなくベイル王国の軍事機密だ。
リファール侯国軍の飛行隊を叩き落とした一事だけでも明白である。対空魔法、槍の投擲、弓の射撃。その一つ一つを見れば、それらは全て人の創り出したものである。
「アリエンツォ大魔導師、アレはベイル王国軍の新兵器だ。アクス家の後継者が軍事機密と言った」
「なんだと!」
叫ぶユーベルとディアナの視線が合う。
ディアナは「……ほぅ」と感心した表情でユーベルを見ながら僅かに笑った。
ユーベルは自らの推察が当たったことを確信しつつも、さらに嫌な予感に襲われた。
アレがベイル王国の物だとして、そしてリファール空軍を打ち落としたベイル王国軍が乗っているのだとしたら?
当然、後方と左右に降り立ったアレの仲間たちも、その背にベイル王国軍を乗せていることになる。
「…………いかん。我が軍は、ベイル王国軍に包囲されている」
「アーベライン大騎士団長、どういうことだ」
ユーベルの警告は、即座に形となって戦場へと現れた。
「あ、アレを見て下さい。敵が、敵がっ」
ハインツが時間稼ぎをする間に戦場へ降り立った10個の新騎士団が、リーランド帝国軍の左右と後背から一斉に襲い掛かっていった。
























