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アルテナの箱庭が満ちるまで  作者: 赤野用介@転生陰陽師7巻12/15発売
第二部 第八巻 エウリュディケー(12話+2) 空の章

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第09話 詩人の蜜酒

 リーランド帝国軍の侵攻が間近に迫ってきた。

 帝国は情報の流出を避けるため3ヵ所の国境都市をいずれも封鎖したが、それ以前に得た情報を統合して侵攻目標が都市アーリラである事を確信したベイル王国は、分散配置した騎士団をアーリラに集結させるべく命を下した。

 そんな折、客人ヴァレリアの元にアンジェリカが何度目かの私的な来訪を行った。


「忙しいはずなのに、こう何度も顔を出して良いのですか?」

「そう意地悪を言わないでください。これまでわたくしのお客様は、ディボー王国のルイーサ前女王とフランセット現女王の二人しか居なかったのです」

「そうですか」


 ヴァレリアのために開放されたのは、国賓を持て成すために設けられた王宮の一角だ。

 国務省と宮内局、そして王家が個人的に雇っている者たちの手が隅々にまで行き渡っている。


「実は今日は、貴女を誘いに来たのです」

「…………何かの宴ですか?」

「ええ。此度の宴は、わたくしの夫であるイルクナー宰相が主催します。もちろんわたくしも参加します」


 それほどの宴ともなれば、招待状が届くか否かは自身に対する王国の評価そのものと思うべきだ。

 爵位貴族家の当主、大臣や次官、国軍の将軍、財界の長、冒険者協会長、アルテナ神殿長。そんなやんごとなき身分の彼らは、今頃1通の招待状に一喜一憂しているに違いない。

 この時期に……などとは言わない。何しろベイル王国に戦争を招いたのは、ヴァレリア自身である。


「わかりました」


 インサフ帝国への派兵は国として断られているが、ヴァレリアが個人で協力者を求める事は自由とされている。

 資金も私兵も十二分に持っている彼らが一人でも協力してくれれば、ヴァレリアの活動は一気に前進する。そう思っての同意であった。


「良かった。では出立の準備をしておいてください。宴は北の都市アーリラで執り行われます」


 だがアンジェリカの話した宴は、ヴァレリアの想像したものとは異なっていた。




 防衛線の構築が着々と進む中、ロラン・エグバードは一人置き去りにされていた。

 現在は皇女の付き人的な立場にある彼だが、アンジェリカ女王からの招待状が皇女にしか出されなかったために同行が叶わなかった。

 ヴァレリアからの勧誘が無かったとしても、ロランはこのまま都市アクスへ凱旋する気になれなかっただろう。


「俺も戦列に加えてくれ!」

「なぜ?」


 ロランからの要請に、このたびアンジェリカ女王から『予備役中将』に任じられたディアナ・アクス侯爵令嬢が当然の問いを返した。

 戦地に連れて行ってくれと民間人が要請してくれば、本来は当然却下だ。

 そしてディアナは、貴族・上級軍人として王国のルールを民に守らせる側である。


「分かるだろう」

「分からないな。なぜ参加したいんだい?」


 皇女ヴァレリアの政治亡命は、亡命理由が正当であるとしてアンジェリカ女王に認められた。

 ただしインサフ帝国への派兵は認められなかった。


 ヴァレリア皇女の亡命は、ベイル王国が不利になる原因の筆頭だが良いらしい。

 だがインサフ帝国への派兵は、ヴァレリア皇女を受け入れることに付随するようなものであるにも関わらずダメらしい。


「今回の責任をとる」

「何の責任かな。ヴァレリア皇女を助けた行為は、冒険者としては正しい行いであった。リーランド帝国からの政治亡命は、女王陛下がお認めになられた。道義的にも社会的にも、君には何ら責任がないよ」

「でも、リーランド帝国が攻めてくる」

「そうだね。予想される敵軍は12個騎士団、諸侯軍3個騎士団相当、冒険者2個騎士団相当、リファール空軍、そして大治癒師。大祝福2の者は10名ほど。合わせて17個騎士団相当かな」


 リーランド帝国が動員する戦力は、紛れもない大軍である。

 ただしリーランド帝国とベイル王国の戦力差は、単純な数では比較出来ない。


 リーランド帝国を含む各国の騎士団は、騎士の1/3が大祝福1で編成されている。

 それに対してベイル王国の新騎士団は、騎士の全員が大祝福で編成されている。

 つまりベイル新騎士団は、各国の騎士団に比べて大祝福1以上の数が3倍となる。


「アーリラに集結可能なベイル陣営は、通常の『旧騎士団4個』と、大祝福1のみで編成された『新騎士団4個』、それと『冒険者2個騎士団相当』。おそらく18個騎士団相当の戦力になるよ。だからリーランド帝国が思っているほど一方的な展開にはならないだろうね」


 アーリラに集結可能なのは、アーリラと西のイグクスに配備されていた部隊だ。最西のマイアスを守っている5個騎士団は間に合わない。

 アクスから都市マイアスへ増援に出された4個騎士団は、そのうち3つが新騎士団だ。それが到着するだけでもかなり違ったのだが。

 ただしメルネス・アクスら一部の将軍は、1都市を1日で駆けて間に合うことができる。


「18対17って、どっちも被害が大きくなるんじゃないのか。近衛騎士団や都市ブレッヒから王都に来た騎士団は動かないのか?」

「首都を空には出来ないだろう。それに、近衛騎士団は王族を守らないといけない」

「でも敵に大治癒師とリファール空軍が居るって言ったじゃないか!」

「うん。だから?」

「だから……って」


 ロランはかなり我が強い方だが、ディアナもそれに相対したからと言って飲まれるほど弱い性格ではない。

 まずは、ロランに現状を認識させて戦争参加の危険を理解させる。

 次に、ベイル王国の方針の前ではロランの意志が通らないことを理解させる。

 そして最後に…………。


「君がどうしても参加したいというなら、条件次第では『将官』である私が、君を個人的に雇っても良い。今回の戦いで将官には、必要に応じた冒険者雇用が認められている」

「……最初からそう言ってくれよ」

「最初から言ったら意味がないんだよ。まあ、そんな君との付き合いにはもう慣れたけどね。条件は、私の指揮下に入って全ての命令を素直に聞くことだよ」






 Ep08-09






 11月5日にベイル王国からの急使が達して以来、ディボー王国の王都ディボラスでは慌ただしい情報収集が始まった。

 何事を為すにも情報収集は必須であるが、今回に限っては方針を間違えた際の影響が計り知れない。

 ディボー王国宰相セルソ・オルランドは既存のルートを活用すると同時に、この日のために構築してきた全てを用いた惜しみない情報収集活動を行った。


 ヴァレリア皇女の情報に関しては、以前より収集済みである。

 皇女の政治亡命が有り得るか有り得ないかで考えれば、これは有り得る。

 逃げ出すタイミングも、確かに今を逃せば無かったであろう。インサフ姓を捨ててからでは逃げる意味がないのだ。

 成功率は極めて低かったであろうが、現実問題として成功したのならば争いは起こり得る。

 そういった情報にベイル王国以外からの追加情報が加わったのは10日後、都市アクスから急遽出撃する騎士が流した情報が王都ディボラスに達しての事である。


 その頃を境に、情報の質と量は一気に跳ね上がった。

 王都ベレオンの騎士連隊がリーランド帝国の属国と隣接する都市イグクス、都市アーリラへの移動を開始した。都市ブレッヒからは、王都へ増援が向かった。

 その他にも大小様々な情報が流れてくるが、イルクナー宰相が最初に寄越してきた都市マイアスからの大型伝令鳥の報告に矛盾する事は何一つなかった。

 概ねの確信が得られた11月25日。それから1週間ほどして、ベイル王国から4度目の使者がやってきた。


「意外に遅かったですな」


 ディボー王国宰相セルソ・オルランドは、ベイル王国から齎された第四報をそう評した。


「まさか、イルクナー宰相自身が来るとは思いませんでした」


 驚きの声を上げたのは、オルランドが仕えるフランセット・ディボー女王である。

 これまでの三回の報告は、いずれも元外務卿にして駐在大使であるフォンシエ・アランダが持ってきた。

 だが今回の外務卿は単なる従者にすぎず、秘書官のオリビア・リシエと共にイルクナー宰相の後ろで控えている。


「会談の場へお通ししろ。ドステア大騎士団長、ラリサ大治癒師、同席しろ」


 オリビア・リシエというカードは、ディボー王国にとって厄介そのものである。

 その効力を弱めるため、オルランドはいくつかの手を打った。一つは、廃墟都市リエイツでのイルクナー夫人たちの行動の自由を認める事である。

 基本的には第一夫人と第二夫人の祝福上げであると聞いている。

 どちらかと言えば、リシエ秘書官を抑えられるイルクナー宰相に対する意味合いが強い。リシエ秘書官本人に賄賂を渡すよりも効果的であろうと目論んでのことだ。

 リーランド帝国がイルクナー宰相やベイル王国を籠絡出来ないからと言って、ディボー王国も出来ないとは限らない。やり方など無数にあり、相手に合わせたものを用意すれば良いだけの事だ。

 ディボー王国のオルランド宰相にとって、ベイル王国のイルクナー宰相は交渉が通じる相手である。


 (…………さて)


 イルクナー宰相が直接来訪したという事は、他の者には任せられない話があるという事だ。

 それで真っ先に思いつくのは、ディボー王国軍の援軍要請だ。それなら直接来訪によって失う時間を上回る物が得られる。


 (まあ、それは無いでしょうな)


 冒険者支援制度の設立、錬金術学校の創設、抜本的な政治改革、騎士団の育成。

 これまでイルクナー宰相が成してきた事を、オルランドは隣国からまるで恋する乙女であるかのように細部に至るまで事細かに観察してきた。

 端的に言えばそれらを自国で模倣出来るのかという事であるが、そもそも創造者と模倣者との間には隔絶した壁が存在する。

 オルランドには、短期間でのあれらの『創造』はできない。

 計画の実現性、組織の持続性、他に与える影響、不安定要素、不確定要素などを鑑みれば、問題に対する補正力がよほど高くなければアレらは創造出来ない。

 この際の補正力とは、経験に基づく実務的な知識だ。

 かつて存在しなかったものを新たに創造する際には、過去にその経験が無いからこそ時間がかかるのだ。


 もし成した事が1つだけならば偶然あるいは運、もしくはひとつの物事に対する情熱などで済むだろう。

 だが、イルクナー宰相はそれら全てを短期間で同時に成し遂げた。

 そのイルクナー宰相が、獣人帝国や北部連合と睨み合っているリーランド帝国を相手にディボー王国へ縋らなければならないなどあり得ない。

 少なくともオルランドならば、ディボー王国の援軍は不要だ。

 リーランド帝国は軍を半分も出せず、侵攻路が明確で、時間を稼ぐだけで勝手に獣人帝国と北部連合とに追い詰められていくのだから、ベイル側が全戦力を投入してしばらく持ち堪えれば勝手に折れる。

 どんなに低く見積もっても、それだけの戦力をベイル王国はすでに持っているはずだ。

 であればディボー王国に借りを作らず、リーランド帝国が折れた際の賠償金をベイル王国だけで独り占めした方が良い。上手くやれば属国の都市の一つや二つ、容易に奪い取れるだろう。


 だからこそオルランドは、イルクナー宰相の来訪に興味を持った。

 これから持ち込まれる内容は、おそらく都市の一つや二つを獲得するどころではない話なのだ。

 それを考えていくと、標的が絞れて実に面白い。


「では、参りましょう」


 平生通りのオルランドの笑みを見たフランセット女王が、適当な頃合いを見計らって命を下した。






 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇






「イルクナー宰相、久しいですね。堅苦しい挨拶は省きましょう。この場には私とオルランド宰相、それにドステア大騎士団長とラリサ大治癒師の4人しかいません」

「お気遣い痛み入ります」


 この場を用意したのは、オルランド宰相であろうか。

 ハインツがそう推察してオルランドに視線を向けると、ハインツの心中を察したかのようにオルランドが薄く笑ってみせた。


 (なるほど)


 決定権を持つフランセット女王と、万事に才覚を示すオルランド宰相が揃っている以上、極論を言うなら後の者は居るだけ無駄である。いや、無駄のみならずハインツから情報を引き出すのに邪魔だ。口止めも面倒である。

 立ち合いを許されたドステア大騎士団長とラリサ大治癒師は、女王の護衛であろう。二人とも大祝福2の冒険者である。

 さらに騎士の意見と司祭の意見を出させる事もできて、彼らの影響下にある者たちを納得させるのにも効果的だ。


 だが、勘が効きすぎるというのも考えものである。万事この調子では、凡人はオルランド宰相に到底付き合い切れない。

 現に先々代のディボー王ガストーネは、オルランド内務卿を持て余していた。

 その後に戴冠したルイーサ女王の在位は極めて短期間であったが、彼女であれば一体どうなっていたのか。

 だが現在王位に在るフランセット女王は「ある意味天然」で、オルランドの毒を意図せずに中和している。

 オルランド宰相が意識してそれを受け入れているからこそ成り立っている関係だが。


 (…………毒…………独。相性は大事だな)


 ハインツの見るところ、オルランドの牙は研ぎ澄まされたままだ。

 以前ハインツ個人へ向いていた彼の知能は、今では明確な方向性を持ってベイル王国の政治・経済・技術の模倣へと振り向けられている。

 そのいくつかは、彼の才覚を通してディボー式へと正されて適応されている。


 隣国にそんな化け物宰相がいては、なかなか心休まることがない。

 ディボー王国側も条件は同じであろうが、オルランド宰相の場合は知的な探り合いを愉しんでいる節がある。


 (…………理解が早くて有り難いと思っておこう)


「ところでイルクナー宰相。リーランド帝国と争いの折にお越しになられたのは、いかような所以あっての事ですか?」

「理由は3つあります。1つ目、同盟国への状況説明。2つ目、同盟国への情報提供。3つ目、今回の戦いの次に行う軍事行動の説明。順にご説明します」

「私は軍には明るくないので、ひとまず分かり易くお願いします」

「分かりました。そう難しい事でもありません」


 1つ目に関しては、第三報までに行われてきた経過を省くので端的に現状のみ報告することになる。


「これまで各国の1個騎士団93名は、3分の1にあたる副隊長以上の33名が大祝福1の騎士でした。ですが獣人帝国の1個大隊は、120名のうち半数の60名ほどが大祝福1以上です。戦力2倍差。ですから『1個大隊には、2個騎士団で当たれ』と言われてきました。私はこの状況を改善すべく、かねてよりベイル騎士団の強化を行ってまいりました」


 この場には、ディボー王国の大騎士団長であるドステアが居合わせている。

 彼がいる以上、従来の騎士団について細かい質問はされないだろうと判断したハインツは、細かい説明を省いて話の先を続けた。


「ベイル王国の新騎士団は93名全員が大祝福1。特級品の強化武具、特殊繊維服、3個の新加工輝石、新式回復剤、軍馬と馬具も一新しました。この新騎士団1個で、旧騎士団3個に勝利できます。そして現在の我が国は、保有する27個騎士団のうち15個が新騎士団です」

「…………馬鹿なっ!」


 ドステアが驚愕の声を上げたその瞬間、オルランド宰相はハインツの後ろに控えるオリビア秘書官とアランダ大使を交互に見比べた。

 全く驚かないオリビアと、数瞬だけ目の色を変えたアランダ。


 (どうやら、大使が外務尚書であった頃から国家的に行われていたようですな)


 ベイル王国は数年前に外務省を、国務省傘下の外務局に格下げした。

 その少し前にフォンシエ・アランダ外務卿は、降格ではなくディボー王国大使の辞令を受けて大臣から大使に鞍替えしている。よって現在の彼は、尚書級のままだ。

 彼は外務卿時代に国家の中枢におり、現在実現している国家政策の計画段階は概ね知っている。

 オルランドは大使の数瞬の目の色の変化から、計画の実現速度が大使の予想よりも早いペースで進んでいるようだというところまでを読み取ってハインツを見た。


 (俺を見ることで、読み取った情報の確認をしてやがる)


 これはオルランドが不世出の宰相と言われる所以の一端であろう。

 彼はわずか一かけらの小石を拾えば、そこから周辺の地質・地形・人の営みまで推察してしまうのだ。

 さらにそれを実際の姿と照らし合わせ、不備な点があれば改善すべく自らの政策に組み込んでいく。


「……今回リーランド帝国は8個騎士団、属国から6個騎士団、諸侯軍、複数の傭兵団を含む冒険者、大治癒師、リファール空軍などで攻めてきます。およそ21個騎士団相当でしょう」


 全体転移魔法を使えるオリビアを伴ったハインツは、リーランド帝国内を飛び回ってそれらの情報を収集した。

 事前に潜入させていた者達や、籠絡させていた者達からの情報の回収が主であったが、必要とあらばオリビアの魔法で捕らえてハインツが聞き出す裏付け作業も行っている。

 転移に関しては、かつてハインツ達がジュデオン王国へ行く際に帝都ログスレイやリファール侯国の侯都を通り、オリビアが各地へ飛べるよう事前に計らっている。


 但し、ハインツが王都の謁見の間などに居合わせては、今回ハインツと各地で接触した者達が物理的に有り得ない移動速度について疑問を持つ。

 それらの辻褄を合わせるため、ハインツとオリビアは公の場からは姿を消していた。


「リーランド帝国の21個騎士団に対し、ベイル王国軍は新騎士団14個、旧騎士団4個、冒険者2個騎士団相当で当たります。48個騎士団相当の戦力、圧勝の予定です。これが1つ目の状況説明です」

「イルクナー宰相、とても興味の深いお話でした。問いたい事は多々ありますが、2つ目と3つ目のお話を先に伺いましょう」


 ハインツがディボー王国に持ち込んだ話は、従来の常識を覆す巨大な爆弾であった。

 だが持ち込まれた爆弾は1つだけではなかった。


「2つ目の同盟国への情報提供について。今回我が軍は、極秘編成中であった『あるモノ』を実戦投入します。本来それは、獣人帝国に対して用いる予定でした」


 ハインツには、そのあるモノがまだどの国にも知られていない自信がある。

 メルネスとアドルフォは信用できる。7人の大臣たちは他国に買収されない人材を選んでいるし、きちんと監視も付けている。

 そして直接知っている2個騎士団と技術員たちは、誰1人として都市ブレッヒから外へ出していない。

 本来は、その第一撃を獣人帝国に使いたかった。


「そして3つ目の、今回の次に行う軍事行動について。今回出さざるを得なくなったため、リーランド撃退後の早い段階で『あるモノ』を獣人帝国に用います。これによって周辺国の勢力図が一変し、ディボー王国にも影響が生じますので、諸準備をして頂きたく今回まかり越した次第です」


 事前情報があるのと無いのとでは対処が変わってくる。

 だが、現在は人と獣人との交戦が止んでいるため、捕虜や捕らわれた都市民からすぐに情報が漏れる事はない。

 要は獣人への実戦投入までに時間を置かなければ良いのだと、ハインツはそう判断した。


「あるモノとは、何ですか?」

「その名を『飛行艦隊』と称します。ベイル王国軍飛行艦隊」




 かつて『地』を歩いていた人は、

 暗『闇』を彷徨いながら、

 やがて努力の実を『結』び、

 今ようやく『空』の高みへと辿り着いた。

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