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五杯目 謝罪

暗くなろうとしている。

何とか、夕暮れがそれを引き止めている感じだった。

まだ、陽は落ちない。


何故だろう。


日が落ちるのが、少々悲しかった。

朝、あんなに億劫だった太陽の陽が、今では別れが惜しい。

まぁ、明日になれば、又日は昇るのだろうが。


僕は、どこで迷っているのだろう?

何を、今まで恐れていたんだろう?

誰に唄えばいいのか?


本当に簡単な事だった。


自分自身に歌ってやれば良かったんだ。

本当に、簡単な事だった。



ふと気付くと、ベンチの周りにハトが集まっていた。

ずっとここに座っていた僕に、警戒心を解いたのだろうか。

だけど、

「ゴメンな・・・」

僕は謝った。

ハトに向かって。

馬鹿みたいだ。

「餌、持ってないんだ・・・」

ハトに向かって呟きながら、僕は何かが胸の奥からこみ上げてくるのを感じた。

ああ・・・、多分、これ以上喋ったら泣く。

そう思った。

なのに、

「ゴメン・・・」

僕は謝った。

「お前等の役には、立たないんだ・・・。ゴメンな・・・」

謝った。

ハトに向かって。

いや、多分、ハトに謝ってるわけじゃなかった。

きっと。

違う。

何か、今まで気付いてやれなかった何かに、

気付いていても、見てみぬ振りをしていた自分の何かに、


きっと、今までの僕に、

今までの自分自身に、


ずっと、謝りたかったんだ・・・。多分・・・。

きっと・・・。


俯いた顔の下には、幾つかの染みが出来ていた。

ポツポツ、ポツポツ、と。

謝ってます。主人公。

パッと見、ハトに話しかける危ない人に見えなくも無いです。

ともあれ、短いですが、楽しんで頂ければ幸いです。

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