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結びの果て

結びの果て:RELAY

作者: 寡猫
掲載日:2026/04/22

 世界の静けさは、いつもより増していた。


 風も、音もない空間で少女は空を見上げている。


『識別番号C-8FB0の整合性崩壊』

 無機質な通知が、空間に発生する。


『識別番号B-2F134との乖離を確認』

 その瞬間、対象が出現する。


「あなた、どこかで会ったこと……」

 そう言い、対象が接近する。


 少女は、応答しない。

 静かに手を伸ばし、対象の頬へ触れる。


 ――接続。


「CODE:RELAY起動……照合」

 少女の視線が、対象に固定される。

 

「不整合性の確認……リザーブ領域を検索」

 処理が進むにつれて、対象の瞳から、光が徐々に減衰する。


「適正情報の選定……コピー……再構築開始」


「処理完了……次回再構築:不可能」


『識別番号をC-8FB0からD-8FB0へ更新』


 対象の瞳に、光が戻る。


「……やっぱり、あなた……」


 対象が小さく呟く。

 少女は応答しない。


「会えて、よかった……」

 その声は、どこか不安定に揺れる。


「……でも」

 言葉が途切れる。

 何かを探すように、視線が揺れる。


「どうして、思い出せないの?」


『対象の重度圧縮を72時間後に実行します』

 無機質な通知と同時に、対象は退出していく。


『圧縮分布:B 61.8%/C 24.7%/D 4.9%』

 最後に通知される。




 少しだけ時間が過ぎ。


『識別番号B-7AFF6の整合性保護』

 無機質な通知と同時に、対象が出現する。


「最近、すれ違うことが増えてね」

 その言葉に応答するように、少女は手を伸ばす。


「不整合性の確認……識別番号C-2D7E9に問題あり」


『識別番号C-2D7E9に通知。24時間後に対応』

 通知と同時に、対象は退出していく。




 空が赤く点滅する。

『識別不明個体検知』


『RELAY対応。』


『識別番号の混在を確認。対応不可』


『対応検討。一部RELAYに権限付与』

 通知と同時に、少女の周りは、街へと変わる。


『権限内容:アクティブ領域からターミナル領域への転送』


『対象:識別不明個体』


 少女の目に映るもの。

 世界の住人の上部には、識別番号が浮かんでいる。


『識別不明個体の現在地は特定不可能。捜索してください』


 少女はゆっくりと歩き出す。

 そんな少女を、住人は見つめる。


 B-847A1。C-1F2AB。B-495E。

 正常。――正常。――――正常。


「発見」


 Bx92DC。C-A3xD。

 識別番号が安定しない。

 表示が揺れ、重なり、定まらない。

 それは、人と定義していい形をしていない。


「識別不明個体をXと仮称」


『仮称個体Xをターミナル領域へ転送してください。転送優先度:高に設定』


 少女は、静かに仮称個体Xへと近づく。

 そして、手を伸ばし、触れる。


「接続――解析」


「識別番号を複数確認」


「整合性なし」


「識別拡張子Lを発見……分類不可」


『強制転送を開始』


 通知と共に、仮称個体Xが四角い枠に、包囲される。


『抽出――変換――転送時間を計算』

 処理が一瞬、遅延する。


『RELAYを中継点として固定』


『書き込みを開始』


 少しの時間が経つ。

 転送が終わり、少女は再び周りを見る。


 周囲には、少女と同じ見た目をした存在が集まっていた。


『仮称個体Xの掃討を開始』

 その通知と同時に、少女たちは歩き出す。


 対象を見つけたものから足を止め、繋いでいく。

 四角の枠に囲まれ、転送されていく仮称個体X。

 そんな光景が、辺り一面に広がる。


「CODE:RELAY起動……照合」


「接続――解析」


『対象を転送待機状態に固定』

 通知と共に、少女と仮称個体Xが止まる。


 1つ。また1つと動きを止めていく。


『転送処理:上限』


『待機個体数:増加』


『対応検討:優先度再計算』


 少女たちは、誰一人も動かなくなる。

 それでも、仮称個体Xの増加は停止しなかった。

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― 新着の感想 ―
 見覚えあるなし問わず淡々と増加などを行う不可思議な存在のお話、引力ありました。
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