悪役令息からの最後のギフト
ここはBLファンタジーRPGの世界で、序盤で、断頭台で首を落とされる悪役に転生したと気づいた時には全てが手遅れだった。
「何ゆえに、このような残虐な行為をしたのですか?」
最後に司祭が俺に問いかける。
俺は、俺の死を見届けるために集まった見物人の中の一人を指さした。
「君のために、俺は全ての罪を被ろう。」
「どういう意味でしょうか?」
「神は全て知っている。神だけはこの罪が冤罪であることをご存じだ。だから、俺は地獄に落ちることはない。いずれ地獄に落ちるのは、君と、君の信奉者たち。最後の審判で君たちが裁かれる日を、俺は天上で楽しみにしているよ。」
俺はそう言って微笑んだ。
「君を愛していたよ。」
「嘘よ!」
君は、聖女と呼ばれた異世界からの落ち人はそう言って俺の婚約者だった皇太子の胸に泣き崩れた。
ああ、なんて醜い・・・
醜くて、浅はかで、愚かな聖女。
けれど、本当に、心から愛していた。
だから俺は全ての罪を被ってこのまま死のう。
でも、君たちにも罪を償ってもらうよ。
俺は首を落とされる瞬間、神からのギフトを空に映し出した。
特殊スキル ドキュメンタリーフィルム
真実に基づいた記録を、俺が見聞きした記憶を嘘偽りなくどこにでも映し出せる、神から与えられたギフト。
俺が見た、皇太子とその側近、そして聖女の真実の記録を全ての国民に共有させるために。
その記録をこの国全ての人間に公開して、俺は絶命した。
***
その醜悪な映像は全ての国民の目に届いた。
魅了の力で容姿が優れた男たちを虜にし、権力者を操る聖女。
皇太子と側近たちは下位の者たちに仕事を丸投げにして聖女と淫蕩にふけり、気に入らない者たちを虐げ、時にはなぶり殺しにして、その罪の全てを婚約者に被せて処刑させた。
皇太子は廃嫡され、側近たちと聖女は牢に繋がれた。
けれど、国民たちの怒りは消えず、クーデターが起こって国は滅亡した。
皇太子は側近たちと聖女と共に断頭台の露と消えた。
そして聖女たちの死をもって、毎日、毎日、時間を問わずに繰り返し大音量と共に空に上映されていた映像は終幕となった。
「ようやく、静かに眠れる・・・」




