男の子
「わっ、すごいすごーい!」
それは、そう思わず声が出てしまうくらいに!
ゴーレムくんは白蛇の尻尾を掴むと、その重さが嘘みたいに、ひょいっと持ち上げて見せた。
「流石はゴーレムくんね!」
ボクとお師匠様は、きゃっきゃと喜びを分かち合う。
「何が何でも持って帰りたいんだな……」
その光景を見て、一足先に意識を失っている息子さんを担ぎ、帰り支度を整えているリズはそう呟いた。
それからボクたちは街に帰るため、森の中を進んだ。
一番先頭はボク!
そしてその次にお師匠様と、息子さんを背負ったリズが並んで、最後尾をゴーレム君がついてくる。
最後尾のゴーレムくんは白蛇の尻尾をむんずと掴んで、ずりずりと引きずりながら白蛇を運ぶ。
そんな運び方で、後でちゃんと食べられるのかなって心配したけど、白蛇の鱗はとーっても硬いみたいで。
地面を引きずるくらいじゃ全くびくともしなくて、心配なんていらないみたいだった。
そんなこんなで、ボクたちは到着する。
リズに背負われた息子さん、そのお父さんが倒れていたあの場所に。
それはとっても良い出来事だった。
ボクたちの姿を見た途端、木に背を預けていたお父さんは飛び上がると、リズの背へと駆け寄り、強く息子さんを抱きしめた。
「気を失っているだけです、命に別状はありませんよ」
お師匠様がそう言うと、お父さんは何度も、何度も、感謝の言葉を繰り返した。
それはまるで、あのアーガナージャの神話のようで。
リズにみたいだねって言う。
すると、そうだなって、良かったなってリズは笑った。
そんなことをしているとお父さんは息子さんのことを背負っちゃって。
さあ行きましょう!なんていうから。
怪我してるんだから、運ぶよ!って、お師匠様も無理しちゃダメです!って言ったんだけど、お父さんは大丈夫です!って頑なで。
だからリズからも説得してよって言ったら、リズは堅く口を引き絞ってから一言。
「男には、譲れない時がある」
って、そう言った。
それはどこかで聞いた言葉。
ずるいよね、そう言われちゃうと、ボクとお師匠様には何も言えなくなっちゃうんだもん。
「本当に助かりました、あなた達にはどんなに感謝をしてもしきれません」
「あ、だめだよ、頭を上げてよ」
あわあわとボクは両手をぱたつかせて深々とお礼をするお父さんを止める。
だって、早く止めないと背負った息子さんがずり落ちそうなくらい、深々なんだもん!
「メリアちゃんの言う通りです、これは旅人に伝わる格言の一つなのですが――」
そう言ってお師匠様はぴんと人差し指を空に向ける。
それはいつもの仕草、それだけでボクはお師匠様が何を言いたいのかわかって。
「差し出した手は、巡って自分を引き上げる!だよね!」
と、先回りをする。
「そうだけど!……私の決めゼリフ取らないで欲しいなー?」
行き場を失ったお師匠様の人差し指はこつんと、ボクの額を打つ。
「えへへ、ごめんなさーい」
その言葉に反してボクの声音は軽く、お師匠様はそんなボクを見て、もう!と言葉を漏らす。
そんなボクたちのやり取りを見て。
「……本当に、ありがとうございます」
深く噛み締めるように、お父さんがそう言った。




