いーって、笑顔で
森の中、背後へと流れていくは木々。
ボクは、ただ木を避けることだけに、集中した。
でも、避けるのは簡単だった。
何故なら、森には大きな穴が開いていたから。
ボクたちが向かう先の木々はなぎ倒され、巨大なささくれを晒す。
それはまるで嵐が通ったようで。
見通しの良い、その道の先をボクは睨む。
そして。
「いたっ!」
見つけた。
それは、木々の隙間に投げ出されている人影。
少しずつではある。が、その人影はずるずると自らの体を引きずるように動いていた。
生きているんだ。
「大丈夫!?」
ボクは飛び込むように、その男の人に顔を寄せる。
「う?お前は……」
一拍遅れて、リズが答える。
「花屋だ、そっちは……猟師だな、何があった?」
「"白蛇"が――現れました」
「何だって……」
「白蛇って?」
お師匠様が問いかける。
「この神骨の聖域に数年おきに突然現れる白色の大蛇だ、太さだけで人の丈ぐらいある化け物だよ」
「……なるほどね」
「アーガナージャの戦士が鎧を着こんで総出で倒すような相手だ、まずは街に戻って協会に協力を仰がねえと……」
「待ってください!」
リズの言葉に、息も絶え絶えだった男は声を荒らげる。
「私を逃がすために、息子が白蛇を引き付けていったんです!街まで戻っていたら、殺されてしまう!」
その悲痛な叫びに、リズは体を硬直させて言葉を詰まらせる。
だから、ボクが代わりに言葉を紡ぐ。
「……わかったよ、お父さん」
「え?」
「ボクたちが、息子さんを助けに行くから、ここで待っていてくれる?」
「メリア……」
「大丈夫だよ、リズ」
そう言って、ボクはお師匠様の胸にぽんっと手を置く。
「お師匠様は最強の魔女だし」
「ええ……最強はちょっと言い過ぎだけどね」
お師匠様は、そうやって謙遜するけど、ボクはお師匠様以上の魔法を見たことない。
「それにボクだってさ」
ボクはリズを安心させるためにいーって口を横に開いて。
「結構強いんだよ?」
そう言って笑って見せた。




