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幕間 初歩から学ぶ魔族学 第三章
さて、あなたは魔族と魔物、その違いを厳密に説明することはできるだろうか。
この二つ、近しい存在のように思えるが、まったくの別物である。
まず、魔物とは人間に害をなす本能を備えた生き物と定義される。
それに対して、魔族とは、人間に害をなす意思を備えた生き物と定義されている。
魔物は本能に従うため、同種族であれば行動に明確な攻撃パターンやルーティーンが存在するが、魔族はそうではない。
魔族は一つ一つが別個体であり、同種によるルーティーンは明確とは言えない。
そして一番魔物と違う点はわれわれ人間と大差ない高い知能を有しているということである。
その知能故に、魔族には個々に信念や行動原理があり傾向が把握できないのである。
これから述べることは学術的に正しい公平な事実に基づくものであり、いかなる種族・存在に対する差別的意図を含むものでは決してないと断言し、以下を記述する。
魔族に人間を慈しむ心があるのならそれは獣族であり、獣族に人間への悪意が生まれたのならそれは魔族である。




