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メリアと不思議な旅  作者: 首長イ鳥
砂とうねりの街
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竜骨群衆

 案の定、ただ東へ向かっただけで東門が見つかるわけもなく。

 多少の脚と多大な通りすがりの人のおかげで、ボクたちはやっとこさ東門へと到着することができた。

 人の背丈よりもはるかに大きな骨で武骨に組まれた東門はやはり目印に最適らしく幾人かがその骨の下で誰かを待っている。

 その中にリズの姿はなく、ボクたちも彼らに倣い、骨へと背を預けることにしたのだった。


「そう言えばさ、お師匠様」


「うん?どうしたのメリアちゃん」


「さっき、神骨の聖域って言ってたよね、そこがこの街での目的だったんだね」


「ええ、そうよ……この街、アーガナージャは砂漠の街でありながら、食料を他国に依存していないとっても珍しい街だって話をしたでしょ」


「うん、言ってたね」


「じゃあ、アーガナージャの人たちはどうやって食料を自給しているのかって話になるけど、それはひとえにその神骨の聖域があるからなの……メリアちゃんは竜骨群衆って聞いたことがある?」


「もちろん、聞いたことないよ!」


「じゃあ、まずは竜骨群衆について説明するわね」


 お師匠様はふふっとボクにやわらかい笑顔を向けて話始める。


「竜、それはこの世界において最強の存在、悠久の時を生き、神に最も近いと言われる彼らは個体数は少ないけれど、世界中でその存在を確認されている」


「ドラゴン……」


 ボクはその姿を思い浮かべる。

 大きな翼に、凶悪なかぎづめ、ボクの背ほどの大きさの牙がびっしり生えた口からは魔力の塊であるブレスを吐き出す。

 それは確かに、神と見紛うほどの圧倒的な力の象徴だ。


「とはいえ彼らも命をもっているから時にはその命を落とすこともあるの、そして残されたその肉はあらゆる生き物の糧となる、動物や魔物、植物までもがその肉体を糧にするべく竜の亡骸を求めるの、そして強大な魔力を持つ竜の肉はそう言った生き物たちを強く引き合わせて、特殊な生態系を作り上げる」


「特殊な生態系?」


「ええ、本来、その生育環境の違いによって決して交わることのなかった様々な動植物が、竜の遺骸による魔力を借りて、自らを環境に適応させ、狭い範囲に入り乱れる、それが――」


「それが、竜骨群衆」


「そう言うこと!そして、その竜骨群衆のことを、この街では神骨の聖域って呼んでいるみたいね」


「竜の骨と神の骨……確かに似てる、のかな?」


「よく、竜は神と混同されて神話になっていたりするから、この街もきっとそうだったんでしょうね、リズが来たらこの街の神話について、聞いてみましょうか」


「そうだね!」


 神話、この街にはどんな神様がいて、どんなお話が語り継がれているんだろう。

 沙漠の神様だから、やっぱり砂の化身とかだったりするのかな、 それともみんなを潤すような水の女神だったりして!

 いっつも歴史に飢えているお師匠様ほどじゃないけど、うう、とっても気になるよ!


「早くリズ来ないかなあ」


「俺がどうしたって?」


「あっリズだ!」


「よっ」


 そう言って、リズは片手をあげてこちらに歩み寄る。

 背には大きなかごを背負って、腰には――。


「あ、剣だ!」


 真っ白の刀身が光る素朴な剣が吊り下げられていた。


「神骨剣ザルハーンだ、かっこいいだろ?」


 そう言って、リズはそれを見せびらかすように、腰を捻る。


「こいつは神の骨をすこしだけ拝借して研ぎあげたすげえ剣なんだ、こいつがあれば神骨の聖域でも戦えるな――って」


 そこで、リズは言葉を切る。


「どうしたの?」


「どうしたもこうしたもないぜ、お前ら、神骨の聖域が目的地なんだろ?そんなんじゃ、生きて帰れないぞ」


 あそこは危険な場所なんだ、そう言ってやれやれと首を振る。


「ふっふっふ、ボクを見くびってるね」


 そういってボクは手のひらに奔流を集める。勢いは強く、そして出口は細く。


「メリアぁ、スプラッシュ!」


 掛け声と共にぶしゅっと放たれた水流はオアシス沿いのヤシの木の葉を穿つ。

 はらりと幹から離れた葉に続けて目にもとまらぬ速さで五連撃!

 地面に落ちた葉をリズが拾い上げると、その葉に丸く穴が五つ穿たれていた。


「どんなもんだい!」


「す、すげえ」


「そうだよー、ボク、すごい水魔法使いー」


 尻尾をふりふりとボクは名乗りを上げる。


「め、メリアでこんなにすごいならそのお師匠様はどうなっちまうんだ!?」


「私は最強の魔女よー」


 とただおしりをふりふり、ボクの真似をしてお師匠様は答える。


「す、すごすぎる!」


 でもリズの目はボクの時以上にお師匠様に釘付けで。


「何がすごいんだろ?」


 そう思ってじーっとお師匠様を見てボクは考えたけど、何故かはまったくわからなかった。



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