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第1.1章 —— よるにひらくもの

これは作品とは関係ありません。最初は、外国の方も含めて多くの人が読みやすいように、あまり多くの漢字を使わずに物語を作ることにしました。しかし、物語が進むにつれて、伝統的なライトノベルのスタイルがより多く使われるようになります。読んでくれてありがとうございます!

パトカーのサイレンが夜の静けさを切り裂く。

雨の降るカラカスの街に、赤と青の光が濡れた建物に反射し、影を歪めて揺れる。

雨は激しく降り、足元の水たまりが踏まれるたびに音を立ててはねる。


深夜のラス・メルセデス、中流階級の住宅街は普段なら眠っている時間だ。

だが、今夜は違う。


狭い路地の中、灰色の空が稲妻で裂ける中、一人の男が走っていた。

命がけで走っているように見える。


荒い呼吸、乱れた息遣い。黒い帽子で顔を隠し、雨水が滴る。

ジェイ・ベイカー――誰も彼だと気づかないだろうが、街に似つかわしくない姿をしていた。


フル装備の戦術服、バーガンディ色のフード付きパーカー、黒いポケットたくさんの戦術ベスト、補強されたカーゴパンツ、そして戦闘ブーツ。

右手には黒いピストルを握る。威嚇ではなく、生き残るための武器だ。


まだ十八歳の若者だが、体には傷と血がにじむ。左の袖は破れ、ベストにも深い跡がついている。奇跡的に防がれた弾か、装備のおかげだろう。


—くそっ…まだ追ってくるのか? —歯を食いしばり、怒りと少しの不安を吐き出す。


弾丸の音が近くを飛ぶ。何発も。

頭のすぐ横を通る音は、巨大な虫が飛ぶかのように響く。


パン!パン!パン!


壁に当たると火花が散る。


ジェイは後ろを見ない。

今はそんな余裕はない。全身の筋肉が、今日の運を使い果たした者の必死の動きで震える。


角を曲がると、避けられない光景が現れる。

路地の先に、フードをかぶった警官五人。雨の中、銃を構え、彼を待っていた。


—まじか… —ジェイは初めて足を止め、低く呟いた。


行く手は塞がれた。後ろからも追撃が迫る。


横には、ほぼ三メートルの壁。

雨で滑りやすく、さらに高く見える。

だが、唯一の逃げ道だった。


—まあ…まだ奇跡が残ってるかな —指先を震わせながらも、皮肉な笑みを浮かべる。


壁に手をかけ、全力で登る。手首に痛みが走る。

警官たちが容赦なく撃つ。


パン!パン!パン!


コンクリートの破片が顔の近くを飛ぶ。

だが、一発も当たらない。


彼は気づかない。最後の力を振り絞り、必死に登ることだけに集中していたのだ。

そして、向こう側に何があるかを見落としていた。


落下する瞬間、声を上げてしまう。


世界が回る。

背中への衝撃で息が止まり、罵る余裕さえ奪われた。


—ああっ…くそっ…!


雨の中、地面に膝をつき、息を整える。

筋肉が痛む。傷が熱い。視界が揺れる。


よろめきながら数歩進む。

滑る。もし手が水たまりに止まらなければ、顔から倒れていた。


ここで終わりだ、と彼は思った。


遠くで警官の足音。

彼らは壁の向こうに出なかったのだろう。ジェイは、彼らが危険を冒さなかった落下をした。


ジェイは深く息を吸った。

最後の空気を吸い込み、覚悟を決める。


そのとき――


目の前に何かが現れた。


青い蝶。


普通の蝶ではない。

青く、光り、まるでガラスの破片でできたように形が欠けている。

それでも、羽を優雅に揺らし、生きているかのようだった。


ジェイは瞬きをする。


—な、なんだ…これ…?


蝶がゆっくり近づく。

まるで彼を選んだかのように。


彼は手を伸ばす。勇気ではなく、ただの驚きから。


そして蝶が指先に触れた瞬間――


世界が消えた。


光が全身を包む。

まぶしく、熱く、身体の中まで通り抜ける光。


次の瞬間、ジェイは浮いていた。

コンクリートも雨も、冷たさも痛みも感じない。

傷も消え、服も重くない。すべてが新品のようだ。


目を開ける。


そこに広がるのは、常識を超えた景色だった。


銀河。

無数の星が広がり、暗闇の中を流れる。

天の川は光の川のように輝き、空間を横切る。


その隣には、巨大なアンドロメダの姿。

しかし…どこか壊れている。

光の小さな欠片が宙に浮かび、破片のように散らばる。


—これ…現実じゃない…


考える暇もなく、アンドロメダがジェイを引っ張る。


まるで重力の力のように、逃げられない。

呼ばれているような感覚だ。


ジェイは圧倒的な速度で引き寄せられる。

周りの宇宙が光の線のように伸びる。

未知の惑星が光の閃きの中を通り過ぎる。

星が一瞬で生まれ、消える。

頭がついていけない。理解を超えている。


—な、なに…!?


目の前に裂け目が現れる。

黒く、内部が光る裂け目。生きているかのように脈動する。

選択肢などない。裂け目に吸い込まれる。


•••


場面は変わる。


温かい朝日が高い山を照らす。

黄金色とオレンジ色に染まる光が、壮大な景色に広がる。


遠くの谷間には王国がそびえる。

高い城壁、尖った塔、赤い屋根の家、狭い道、煙が立つ。

中世の王国のようで、少しだけファンタジーの色がある。


その王国のずっと上、山の頂上付近、空に小さな裂け目がある。

サッカー場くらいの大きさだ。


そこから一人の人物が落ちてくる。


ジェイは湿った草に着地する。

だが、今回は叫ばなかった。痛くないのだ。


仰向けに寝転がり、深く呼吸をする。

空は青く、雲もなく、雨もサイレンもない。


ゆっくりと体を起こす。


そして気づく。


体は無傷。

傷も、打撲も、血もない。

服も新品のようだ。


—な、なんだ…これ…


顔を触り、胸を触り、腕を触る。

すべてが完璧だ。


視線を下げ、遠くの王国を見る。

ゲームやアニメでしか見たことのない景色。


心臓が早くなる。

恐怖、興奮、アドレナリンが混ざる。


そして叫ぶ。


—ここ…別の世界!?本当か!?


声が山に響く。

近くの鳥が驚いて飛び去る。


ジェイは息を整えながら、顎に手を当てて低くつぶやく。

今までの出来事を整理しようとするかのように。


雨、追跡、蝶、銀河、落下、この場所…


そして結論に達する。


—…なんて、ベタなんだ。


ジェイはしばらく草に座り、遠くの王国を見つめる。

呼吸は落ち着き始めたが、心はまだ興奮している。

山の風が顔を撫で、今の混乱を少しでも落ち着かせようとするかのようだ。


—よし… —彼はこめかみに手をやり、低くつぶやく—。整理しよう。カラカス、追跡、警察、弾丸…青い壊れた蝶、銀河、アンドロメダが磁石みたいに引っ張る…そして王国。なるほど、超ベタだな…


目を転がし、草に背をつけてため息をつく。

疑問の霧が、朝の山霧のように彼の頭を包む。


ジェイはゆっくり立ち上がり、足を組み、肘を膝に置く。

ひとつ答えが見える。


—ここは異世界だ。さて…どうする?


まず思い浮かんだのは、どの異世界アニメでもおなじみのこと。

ギルドだ。必ずある。ルールのようなものだ。


—よし、ジェイ、考えろ…ベタに従うならギルドに行く…か教会…いや、直接城に行って魔王と戦うのかも —彼は空中に線を描くように手を動かす—。でも…もしギルドがなかったら?もしここに人間がいなかったら?頭に目がひとつあるとか、変な人間だったら?


王国をじっと見つめ、遠くから人間がいるか考える。

城壁は高く、屋根は尖っている。煙が出ている家もある。普通すぎる。


—まあ…建物は人間っぽいかな。多分。 —額を軽く叩く—。さすがプロ分析だ。


立ち上がり、パンツを払って、裂け目がゆっくり閉じるのを見上げる。

まるで傷が自然に癒えるようだ。


—さて…下で何か教えてくれるかな —言って、山を下り始める。


山道は急で、草が高く生えている。

一歩ごとに湿った草がギシギシと音を立てる。

太陽が少しずつ昇り、地平線をオレンジ色に染める。

鳥の鳴き声が遠くで聞こえる。鷹とオウムの混ざったような、不思議な音だ。


ジェイは片手をポケットに入れ、もう一方の手で持っている銃をしっかり握る。

落下のあと、体は軽く、チュートリアルもない不思議な世界に適応しているかのようだ。

戦闘用のベストと武器、いくつかの弾薬を持っていることを確認し、少し安心する。


—ふぅ…少なくとも無防備じゃない —とつぶやく。

ここでの最初の一歩は、まだ安全な装備で始められる。


だが、心の中には不安が広がる。

—でも…チュートリアルとか出ないのかな…? —空に向かって声を出してみる。

窓のように浮かぶ画面、導く妖精、年老いた幽霊…何でもいい、せめて剣か食料くらい…


沈黙。


ジェイはため息をつき、手を振って苛立ちを表す。


—そうだよな、この世界で基本的な助けを求めるのは無理か…完璧だ。強い敵がいなければいいけど… —考えながら山を下る。

—運が悪ければ飛ぶ恐竜とか出るかもな…


王国が近づくにつれ、その輪郭がはっきり見えてくる。

城壁、塔、屋根…現実感が増してくる。

一歩ごとに心拍が上がる。興奮、恐怖、そしてこれから始まる何かへの期待。


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