隠された本音
【放課後シグナル】
◇第4話◇ 隠された本音
昼休み、生徒会室では、直人、優馬、そして生徒会長の三人が次の学校行事について話し合っていた。
「文化祭の出し物、どうまとめるか…」
会長が頭を悩ませている中、優馬がふと口を開く。
「直人、放課後は空いてる?」
「ちょっと用事があるかな」
直人はノートにメモを取りながら、軽く答える。
「さくらと卓球の練習するんだって?」
優馬は意味深な笑みを浮かべ、まるで何かを知っているような口ぶりだ。
「え、なんで知ってるんだ?」
直人は一瞬、ペンを止める。
「いや、ちょっと耳に入っただけ。さくらが直人に声をかけてるところを見かけたからさ。」
「別に、ただの友達として手伝うだけだよ。」
直人は平静を装うが、優馬の視線は鋭い。
「ふーん、ならいいんだけどね。」
生徒会長は二人のやりとりに気づいていないふりをしつつ、話を次の議題に進める。
---
放課後、直人は教室に戻る途中、廊下でばったりさくらと出会った。
「あ、直人! 今日、放課後大丈夫?」
さくらは卓球バッグを肩にかけ、期待に満ちた瞳で見上げてくる。
「うん、大丈夫だよ。行こうか。」
「やった! じゃあ、卓球場まで一緒に行こっ!」
二人が並んで歩く姿は、周りの生徒たちの目を引いていた。
「ねぇ、直人って、やっぱりモテるよね。」
さくらがぽつりと言う。
「そんなことないよ。…なんで?」
「ううん、なんでもない! ただ、陽奈もよく直人と一緒にいるし…」
直人はさくらの言葉に少し引っかかりを覚える。
「さくら、陽奈のこと気にしてるの?」
「えっ、いや、そんなことないけど…」
さくらは顔を赤らめ、視線をそらす。
(もしかして、さくらも俺のこと…?)
直人の胸の中に、少しだけ期待が芽生える。
---
その光景を、廊下の影から見つめる優馬。
「なるほど、二人の距離は確実に縮まってる…か。でも、まだまだだな。」
彼はスマートフォンを取り出し、陽奈にメッセージを送る。
『さくらと直人、今一緒に卓球場に向かってる。どうする?』
すぐに返事が来る。
『へぇ、面白くなりそう。様子を見てから動くわ』
優馬は満足そうに笑い、携帯をしまう。
(次は、どんな一手を打とうか…)
物語の裏で動き出す思惑。放課後のシグナルは、まだ消えない。
やる気はあります