プロローグ
【放課後シグナル】
◇プロローグ◇
清風学園の2年A組。春のやわらかな日差しが教室に差し込み、窓の外には桜が満開だ。
「今年も始まっちゃったな……」
生徒会副会長である相澤直人は、教室の隅で静かにため息をついた。クールで優等生な彼だが、実はゲームやアニメに没頭する超インドア派だ。
「直人!またゲームのこと考えてるでしょ?」
元気いっぱいの鈴木桜が、彼の顔を覗き込んでくる。卓球部のエースで、いつもポジティブな彼女は、直人のクールさに一種の憧れを抱いていた。
「いや、そんなことないよ。ただ、新学期のクラス替えってやっぱり落ち着かないよね。」
「だよね!でも、私たち同じクラスだし、いっぱい楽しいことしようね!」
さくらの無邪気な笑顔に、直人は自然と笑みを返す。
そんな二人のやり取りを、少し離れた席から観察しているのは神谷優馬だ。彼は聡明で、少し皮肉屋。生徒会の書記として、直人の副会長ポジションを密かに狙っている。
「ふぅん、相変わらず鈍感だな、直人。」
そしてもう一人、軽音部のギター担当である中村陽奈は、教室の後ろからひそかに直人を見つめていた。天真爛漫で小悪魔的な彼女は、直人への恋心を胸に秘めつつ、さくらに対して少しの嫉妬を感じていた。
「直人、私も一緒に帰ろうよ!」
陽奈は笑顔で話しかけ、桜も負けじと「私も!」と声を上げる。
新しい季節、新しいクラス、そして交差する4人の想い。
春風が吹き抜ける中、彼らの放課後は、これから少しずつ色づいていく。
──それぞれの胸に、隠れたシグナルを抱えて。
初投稿でうがんばりまう