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部室&夏休みにて

一話一話短いですが、読んでいただけると光栄です。


では、どーぞっ!

「諸君ーっ!聞きたまえー!」

今日も部長、稲葉峻介は元気なようだ。

「残念ながらーっ、我が伊呂波高校写真部はーっ、存続の危機に瀕しているーっ!」

「そんなの分かり切ったことでしょう。部長もう諦めましょうよ」

そう言ったのは副部長の若狭博美。我が伊呂波高校のマドンナである。

「なーんでマドンナ若狭先輩がいるのに部員三人なんでしょうね」

と言ったのは僕、柏木直人。運動と同じくらい勉強のできない男だ。

「あーあ。三人じゃ麻雀すら出来ないなー」

副部長がぼやく。すかさず部長が

「おいおい、麻雀部じゃないんだからさ」

とツッコミをいれた。

「ねえ部長、こうなったら私のヌード写真をばらまいてさ、部員がっつり……」

「増員どころか廃部になるわっ!」

「部長、今日はツッコミが冴えてますね」

これはぼくの本心だ。

「あと、何でマドンナがいるのに部員三人なのかって理由、分かった気がします」

「俺も同感」

僕と部長は同じ考えのようだった。

「どんな理由よ?言わないと部室の『金田少年の事件簿』全巻持って帰るわよ」

「そう言う性格だよ!」


と、こんなことがほぼ毎日起きているのが、僕の所属する『伊呂波高校写真部』です。




某月某日 部室にて


「今日も新入部員ゼロか」窓辺にて一人呟く部長。それを聞いた副部長は

「更衣室に侵入者ならいたけど」

「新入と侵入をかけたのか」

「ええ」

「分かりづらいな」

「そんなことないわ。柏木、面白かったでしょ?」

「いえ、分かりづらかったですよ」

僕は正直者だ。


「そうそう、お前も柏木みたいに上級生には敬語使ったらどうだ」

部長らしい意見だ。

「そんなの関係ねぇ」

マドンナはそう返した。古い。実に古い。

「あ、そうだ部長。もうこんな時期なのに受験勉強はいいんですか?」

僕は前から気になっていたことを聞いてみた。

「何とかなるさ。写真があれば」

「部長はスクープ写真撮って新聞社に入るつもりなのよ」          副部長は怪しい笑みで部長を見た。

「ま、どーせヌード写真家になるのがオチでしょうね」

「お前ヌードって言葉好きだな」

「僕も同感です」




某月某日


今日の一番乗りは僕だ。次に副部長が来た。

「あー。早く来年にならないかなーっ」

そう言う副部長。

「来年何か良いことあるんですか?」

僕は聞いてみた。

「ん?だってさ、来年は私が部長なんだから」

「来るな、来年」

「何よそれ。どういう意味よ」

「いや、そのままの意味なんですが……」

「……まあいいわ。来年、楽しみにしてなさい」

そう言って副部長は出て行った。




某月某日  夏休み


とある駅に集まった、写真部三人。        「今日は、夏休み恒例心霊写真撮影会をする予定だったが、延期になった」

部長がそう言う。

「何でですかー?」

僕は質問した。

「副部長がカメラを家に忘れた」

「……ごめんなさい」

と副部長。

「副部長、なんだか今日はやけに素直ですね…。明日は嵐かな?」

「俺も同感」

僕と部長は波長が似ているようだ。


翌日


携帯に電話がかかってきた。部長からだ。

『よう、柏木。唐突だが今日の心霊写真撮影会は嵐のため延期になった』

「ほんとに副部長が嵐を呼びましたね」

『何かの能力者なのかもな』

「じゃあ、いつやるんですか?」         『未定。じゃ、通話料アレだから切るわ』

部長、通話料気になるならメールでもいいのに。


某月某日 夏休み


僕らは今、とある田舎の小さな駅にいます。

「台風一過はこんなに晴れるのか」

と、空を見上げながら部長が言った。

「ん〜……日光がお肌に悪いなぁ…」

長い黒髪にワンピース、大きめの麦わら帽子をかぶった副部長。不覚にも可愛いと思ってしまった。


田舎道を先頭になって歩く部長の後ろ姿に、僕は照準を合わせた。

本格的なカメラマンではないので、距離とピントを合わせる以外はカメラが自動的にやってくれる。

そして、右手の人差し指に軽く力を込めた。

ピントがロックされる。さらに指に力を入れて


カシャッ


「あっ!この野郎、肖像権違反だぞ!」

シャッター音に気づいた部長がそういって振り向く。彼は写真に写るのが嫌いなのだ。

副部長はそれを見て微笑んでいる。学校でもその感じなら写真部にたくさん入部希望者居ただろうな。



結局この日はこれ以上の作品は撮れなかった。

唯一の写真『夏日』

田舎道を高校生くらいの男の人が振り返るそぶりもなく歩いている後ろ姿がそこには写っている。

山の緑、空の青、地面の茶。ザ・田舎道!な写真を、僕はそっとアルバムにはさんだ。

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