第1話「勇者、ワープする。」
「了解しました。では隊長、許可を。」
僕の「向かう」と言う言葉を聞いて副隊長さんがそう言った。
許可って…何?
「そうですね〜。 許可しますよ。」
そうマヒナさんは答えた。
「許可って、何ですか? え〜と、マヒナさん。」
シャーロットがマヒナさんにきいた。
アリナさんはシャーロットのコトバを聞いて「あ…。」という反応をしている。
シャーロットはマヒナさんが天然という事を知らないのだ。
「私への質問ですよね~?」
そう嬉しそうにマヒナさんは言った。
…この人、毎回質問とかされないだろうから嬉しんだろうな。
「許可とはマジックアイテムの許可の事ですよ〜。マジックアイテムの使用には各部隊の隊長の許可が必要なんですよ〜。」
そうマヒナさんは答えた。
そっか、マジックアイテムで、時間を大幅にカット出来る!
「帝国に行ったことはあるんですか?」
シャーロットが心配そうにきいた。
確かにそれが問題だ…。
「帝国には無いんですけど〜ズティア国の南の場所、今は国の無い場所に派遣されていたので〜そこへ飛びます。」
そっかそう言えばベルガさんに3番隊の人達はそこに居たと聞いている。
「絶対そこに飛びますか…。」
アリナさんがそう言って副隊長さんにきいた。
「アレ〜私は?」
そうマヒナさんが言う。
「今は、私の番です隊長。」
そう副隊長さんはサッとマヒナさんに言葉を返した。
「まぁ、はい。そうなりますね。」
…そう言えばそこの場所はアリナさんの今はなき出身地。
「あ…アリナさん。」
シャーロットが気づいたようにアリナさんに声をかけた。
「いえ…大丈夫です。 被害が広がらない様に…直ぐにそこにワープしてください…。」
そうアリナさんは少し涙を堪えているのかなと、事情を知っている僕らには分かる感じの声で言った。
「了解です。 では、衝撃に気を付けてて下さい。 ワープします。」
衝撃に気を付けて…?
「3、2、1。」
そう副隊長さんはカウントダウンをして、バックから石を取り出してソレを割った。
パァー。
馬車の周りが光で包まれる。
グラッ。
一瞬大きな揺れがあって光が消えると、数秒前とは違う景色が広がっていた。
「ワープしました。」
副隊長さんはそう言った。
「砂漠…?」
アルゴンがそう言う。
アルゴンの言う通り目の前には砂漠が拡がっていた。
「ちょっと、アルゴンさん!?」
シャーロットはアルゴンにそう言った。
何か少し怒ってる感じだ。
「あ、気をつかって頂いて、ありがとう。 でも、ココは元から砂漠だったからね。」
どうやらシャーロットはアリナさんの事を気づかっていたようだ。
まぁ、ココは元から砂漠だったとアリナさんが言ったから少し無駄っぽくなっちゃったけど…。
「そうだったんですか?」
シャーロットはそうきいた。
見事にここからはオアシスも、建物も何も見えない。
「すみませんね、人前に急にワープするわけにもいかないのでココは街外れの場所です。」
副隊長さんがそう僕らに言った。
「それでですね、ここから少し行くとアルタという都市に着くのですが…寄ります?」
副隊長さんはそう僕らにきいた。
正直…どっちでも良いな。
「行きたい! てか、休憩したい!」
そうアルゴンは主張した。
流石に休むの早すぎない?
「そうですね…勇者様パーティーの中の人にはマジックアイテムでの移動は初めてと言う方が居るわけですし…。」
副隊長さんがそう言って悩み始めてしまった。
確かに言われてみれば、慣れない移動で気分は良くはない。
「この男子2人は大丈夫ですよ、多分。 なので先を急ぎましょう!」
シャーロットはそう言った。
別に休憩するほど気分が良くないわけではないが…何の根拠があっての意見なんだよ…。
シャーロット、鬼だな。
「俺はそれでかまわん。」
僕は別に寄らないで良いし、アルゴンは休憩を主張していはいるが、全然体調は悪くなさそうなので僕はそう言った。
「了解です。 皆さんもそれでよろしいですか?」
副隊長さんは皆にそうきいた。
不思議とアルゴンは反対意見を言わなかったのだが…。
「え〜…。 休憩したいですけど〜。」
マヒナさんがそう言った。
体調が悪いとかなのか?
顔色は…確かに悪そうだ。
ていうか、吐きそうな顔をしている。
「…アルタには寄らないで帝国に向かいますよ!」
副隊長さんはそう、マヒナさんの意見を却下した。
副隊長さんも鬼なのか!?
「マヒナさんは大丈夫ですか?」
シャーロットが副隊長さんにそう言う。
「…まぁ、いつもの事ですし。」
副隊長さんは答えた。
いつもの事か…じゃあ多分大腿大丈夫だな。




