第18話「厨二病、お風呂に入る。」
「お風呂はね、お姉ちゃん…姉上の部屋をずっとまっすぐに行った所だぜ! デカいから驚くなよ?」
オリビアはお風呂の場所を軽くそれだけ言って何処かに行ってしまった。
まぁ、朝と同じ道を辿れば良いんだけど。
朝は監視こら逃げる感じでグネグネ、迷路みたいに来たからな…。
まぁ、ひとまずは屋敷の中に入るしかない。
「…。」
やっぱりここの屋敷は凄いな。
全く持って何処にお風呂があるのか分からない。
え〜と…確か、ひとまずシャーロットの部屋の前に行こう。
「ハァー、やっとだよ…。」
グルグル屋敷内でお風呂を探し回る事15分…。
やっとシャーロットの部屋を見つけることが出来た。
マジでどうなってんだこの屋敷は。
ここからまたまっすぐ進むとか言ってたけど…後何分かかるんだ?
そこからはホントにまっすぐ進むだけで1分くらいで分かった。
入浴場と札が書いてあるドアの前に来た。
いや…お風呂じゃなくて入浴場ってどういう事なの?
ガラガラガラ。
ドアを開けて脱衣所に来た。
ドアは横にスライド式で脱衣所は日本の銭湯のような造りになっている。
服を脱いで入浴場に向かう。
服を置く所も10人分くらいは入れれるスペースが、用意されていた。
「ホントに入浴場と書いてあるのが理解出来る…。」
そう、そこはお風呂ではなく入浴場、銭湯そのままのような…いや、アニメ知識で言うなら日本の銭湯と言うよりは西洋の大浴場に近いな。
「…入るか。」
体をしっかり洗ったら上がろうかと思っていたが、何故かお風呂も沸いていたので入る事にした。
…ていうかコレを一回お湯を張るだけでいくらかかるんだよ。
前は湯気で凄いことになっていて良く見えないし…。
大浴場は凄く気持ちいい、宿の入浴場も十分広かったがココはレベルが違い。
何か爽快感がある。
でも少しぬるい…もう少し温かい場所に移動をしようと思って適当に移動する。
その時だった。
「約剣さん!? 何でここに?
…キャ〜!?」
そうシャーロットの声がした。
「何で居るんですか!? まずとても恥ずかしいのでソッチを向いていて下さいね。 」
何故かシャーロットが入っていた。
シャーロットの家のお風呂何だからシャーロットが入っているのは普通なのだが…。
「…。」
何か気まずい。
前も似たような状況があった気がするけど…いや、今回ほど気まずく無かった。
「で…約剣さんはどうしてここに? あ、コッチは向かないで下さいね。 本当に恥ずかしいので!」
そうシャーロットは僕にきいてきた。
「ニワトリのフンが…。 シャーロットは?」
「門辺りでやられたんですか…じゃあオリビアですね。 私は…冒険に出ればお風呂に入れない日もあるので、今の内に満喫しようと思いまして…。」
シャーロットのその考え方、メチャクチャ分かる。
「じゃあ…先に居たことですし、先に上がります。 15分は上がって来ないで下さいね。 それと、絶対に見ないで下さい!」
そう言ってシャーロットは先に上がって行った。
15分は上がらないでって…死んじゃうんだけど…。
(時計は脱衣所に置いてきてしまったので体感だが)15分くらい時間が経ったので僕もお風呂を上がった。
「お、約剣…勇者だ! お風呂で存分に体を清められたか?」
お風呂を出て門の方に行くとオリビアに会った。
さっきどっかに行ったけど…また戻ってきたのか?
「…あぁ。」
そう答えはしたが…ハプニングもあったしで大して清められてはいない。
「じゃあまたいつか会おうね〜。」
そう言ってオリビアはまたどっかに行ってしまった。
僕も宿に戻って荷物を取りに戻る。
ガチャ。
ドアを開けて宿に入った。
「お帰りなさいませ〜。」
店員さんがそう言って出迎えてくれた。
僕の部屋がある2階に上がり僕の部屋に入って荷物を持った。
「アルゴンは…。」
心配になったのでアルゴンの部屋を見ようとしたが…。
「あ、お客様〜、この部屋のお客様ならもうすでにご出発なされましたよ。」
そう店員さんが言ってくれた。
…あのアルゴンが!?
まぁ多分コメスさんのおかげだろう。
そうして僕もこの宿を出た。
「あ! 約剣さん来ましたね。」
集合場所のアルソフィナ王国の門の所に行ったらもう既に皆集まっていた。
「では勇者様、もう少しお供したかったのですが…商会の方が少しありましてね。」
コメスさんは流石にこれ以上僕らと行動するのは時間的に難しいという事でここでお別れだ。
「クメシアルからここまで本当にありがとうございました。」
僕はそう言う。
「いえいえ、勇者様、この世界を頼みましたよ。」
コメスさんはそう答えた。
コメスさんには本当にお世話になった。
「あぁ、もちろんだ!!」
もうコメスさんとは完全に打ち解けて厨二病をやる意味はないのだが…今は少しカッコを付けたかったので厨二病言葉で僕は答えた。
「では、行くのですね〜。」
マヒナさんがそう言って馬車が動き出す。
ちなみに、ここから魔王城までは馬車での移動の予定だ。
というのも、3番隊の人達は良く情報収集などで遠くに行くため馬車を持っているということだった。
「最高〜。 後は魔王討伐だけだしね。」
アルゴンが完全にだらけてそう言う。
魔王討伐が簡単なわけがない…。
「もう街も小さくなってしまいましたね。」
シャーロットが少し寂しそうにそう言った。
そんな時だった。
「隊長! 伝書バトですね。」
副隊長さんがこの馬車に向かって飛んできていた鳥を指してそういった。
嫌な予感がするんだけど…。
いや、きっとアレはニワトリだよ!
「国王様からです。」
副隊長さんがそう言う。
何かありそうだな…。
「手紙には―勇者こと、約剣殿へ。急だが、西の帝国へ向かって欲しい。 帝国に動きがあった。 今は魔王よりも優先してくれ。―だそうです。」
ここから西に迎えと…。
今は1番東に居るんだけど…。
「え!? それ、断れない?」
アルゴンの余裕が崩れた。
「はい、国王様の命ですから…。 さらに勇者様はシャーロット様のために1度勇者を辞めるとまで言ってしまっていますから…。」
副隊長さんが僕らに説明する。
そう言えばそんな文を書いた覚えがある…。
「…向かうぞ!!」
僕はそう言った。
いや…コレはもうしょがない。
僕も一回国王様にムチャな事を言っちゃってるし。
時間はかかりそうだけど…行きますか、西の帝国!




