第16話「厨二病、助け出す!?」
カチャ。
僕はシャーロットが居る部屋のドアを開けた。
「シャーロット! 助けに来た…!?」
監視が40人も居て(まぁ、交代とかで20人だったけど)親に結婚を突き付けられたとかオリビアに教えてもらったから椅子に拘束でもされているのかと思ったが…普通にソファーに座っている。
「…へ!? 約剣さん! どうしてここへ?」
シャーロットがコッチを向いて驚きながら僕にそう言った。
「シャーロットを助けに…来たんだけも…。」
僕は驚きすぎて言葉がそれしか出て来なかった。
普通ならそんなもんだと思う。
「え!? 助けに来てくれたんですか? そう言えば何か外が騒がしいですね。 …ひとまず鍵をかけましょうか。」
僕がこの屋敷に来て、さらに外は大混乱。
状況が理解できていないと言う顔のシャーロット。
「助けに来てくれたんですか…。 まずはありがとうございます。」
そうシャーロットは言った。
何かそんなに嬉しそうじゃ無いんだけど…。
「大丈夫ですよ。 結婚式ももうすぐですし…。」
シャーロットは大丈夫と言ったが、顔も雰囲気も両方暗く、嬉しそうではない。
「そうですね…ひとまず、お茶を出してあげましょう。」
そう言ってシャーロットは台所みたいな場所に行ってしまった。
いや…状況を考えて欲しいんだけど…。
「紅茶…しか淹れれないから、紅茶で良いですね?」
シャーロットは本当に今、僕にお茶を出してくれるらしい…。
「どうぞ〜。」
少しするとシャーロットがそう言って紅茶を持ってきてくれた。
「それで…どうしてここへ?」
シャーロットは改まってまた僕にそうきいた。
「助けにだけども…。」
やっぱりそれしか言うことはない。
「では質問を変えます。 どうやってここを?」
シャーロットは今度はどうやってこの屋敷に侵入したのかをきいてきた。
「君の妹のオリビアさんに協力してもらって。」
僕はそう答えた。
「オリビアごですか!? ハァー、全く何をしているんでしょうか…。」
オリビアが僕に協力したと聞いて驚きつつも納得していた。
「最近、オリビアは様子が…もしかして、オリビアが魔法を使えるようになって、性格がおかしくなったのは貴方、約剣さんのせいですね!?」
今度はそうきいてきた。
「まぁ、正解だけど…魔法を教えたのはギルドからの依頼でだけどね…」
僕は何でオリビアに魔法を教えたのかを説明した。
「そうでしたか…。」
てか、かなりのんびりシャーロットと話をしていたが、さっさとシャーロットを連れてここから逃げなければ。
「…ということで、さっさとここから逃げるぞ!」
僕は説明を終えた後にシャーロットに向かってそう言った。
「いえ…私はここに残りますよ。」
そう言うシャーロット。
何で?
オリビアだってシャーロットはパーティーに戻りたいって言ってたけど…。
「私は…お父様とお母様の期待に応えなければ。」
シャーロットはそう言った。
…アレか、アニメとかで貴族の子供によくあるやつだ。
「私は一回逃げてしまいましたから。 コレはしょうがないんです。 さぁ、お帰り下さい。」
断固拒否というシャーロット。
たが普通に僕は、僕とアルゴン、それにシャーロットとのパーティーでの日々がとても楽しかった。
もちろん、アニメにスマホに色々ある地球と比べれば絶対にコッチとは言えないが…この2人とは厨二病言葉じゃなくても楽しく過ごせていた。
アリナさんとも普通に楽しくここまで来れた。
「俺は勇者の約剣! さぁ、俺と一緒に魔王を打ち倒しに行くぞ!!」
僕はそう言った。
「ふざけてますか…。」
シャーロットはそう言う。
「いや…ふざけては…。」
ふざけては無いと言いかけたが、そこから先は出て来なかった。
こんな時にアニメの勇者なら…ハリウッド映画の主人公なら…。
「この状況は私が何とかしますから、さぁ。」
シャーロットはそう急かしてくる。
何か…。
「心のままに。」
そう急に、そんな言葉が頭の中に入って来た。
アリナさんか…いや、そんな事は今はどうでもいい。
「シャーロット! 行きたいなら行くぞ!」
僕はそう大きな声で言う。
そんな時にドンドンドンドンと、ドアが鳴る。
「ハァー、貴方も頑固ですね。 人が来てしまったのでこの窓から出てくださいね!」
そう言ってシャーロットは窓の方に歩いて行って窓の鍵を開けた。
「シャーロット! 一緒に魔王討伐…いや、一緒に冒険に行こう! 強制だ!」
もうチャンスは無い、そう思って僕は大きな声でそう言った。
「いやでも私は…」
結構悲しそうな声でシャーロットはそう言う。
「親の期待に応えなければ…親のために!」
シャーロットは僕よりも少し大きな声で言った。
そして目には少し涙が見えた。
こんな時はアニメだと…。
が、全く思い付かない。
…。
「うるさい!」
僕は叫んだ。
そしてシャーロットの方に近づいた。
「お前は、シャーロットはどうしたいんだよ。」
今度は小さな声で、落ち着かせるような言葉が出た。
「私は…親の期待に応えたい…。」
シャーロットはこんな状況でもまだそう言った。
「本音は?」
また僕は小さな声でそう言う。
「私は…私は…また冒険に出たい!!」
そう半泣きでシャーロットが叫ぶ。
「…じゃあ、冒険出ようよ、ここから逃げて。」
僕はそう言った。
何か…弱みに漬け込んでるみたいになってる…。
僕って本当に勇者なのか…?
「はい!」
シャーロットは遂にそう返事をした。




