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第14話「厨二病、動き始める。」

「ハァー、今は…」


大きな欠伸をして僕はベッドから体を起こした。

枕元に置いていた腕時計を見る。

今は朝の6時だ。

つまり…僕は徹夜をしてしまったことになる。

そう、遠足前の幼稚園児の様に、入試の結果発表前日の高校生の様に、僕は昨日緊張で眠ることが出来な無かった。


「ハァ〜マジで…眠い。」


本当に死にそうなくらいの眠さだ。

いや…普通は寝れないじゃん。

命懸けで人の家に侵入する訳だし。

まぁ過ぎてしまった事はしょうがない。

ガチャ。

結局僕は食堂にひとまず行くことにした。

朝ご飯の時間では無いけど…コメスさんなら居そうだし。


「おはようございます。」


食堂に入るとコメスさんが声をかけてくれた。

やっぱり居た…てか、何してんだ?


「勇者様も今の内に朝ご飯を食べておいて下さい。」


そうコメスさんは言う。

確かに何かを食べてはいると思っていたが…しっかりした朝食を食べているし…どこで用意したんだ?


「店員さん、注文、よろしいですか。」


「はーい。」


コメスさんがそう店員さんを呼ぶ朝ご飯の時間では無いのに店員さんは来てくれた。


「どうなさいますか?」


そう聞いて来てくれた。


「じゃあ…C定食で。」


A定食とB定食は既に食べていたのでそれを頼んだ。


「私はアルゴンさんを起こしてきましょう。」


コメスさんはそう言って上に上がって行った。


「…。 眠い。」


少ししたらアルゴンがそう言いながらコメスさんと下りてきた。

本当に眠そうだな、僕程じゃ無いけど。


「C定食で〜す。」


アルゴンとコメスさんが席に着くのと同時くらいに店員さんが朝食を持ってきてくれた。


「美味しそうだな…じゃあ俺も同じのお願い。」


そう言ってアルゴンはC定食を注文した。

僕は起きてから直ぐでは無かったけど…アルゴンは起きて直ぐてよく食べる気になるな。


「てかかコメスさ〜ん、何でこんな早い時間なの?」


まだ少し寝ぼけていそうな…まだ普通に寝ぼけているアルゴンがコメスさんにきいた。

確かに何でこんな時間なのだろう?


「昨日、勇者様のご協力者より行動は9時からと。」


コメスさんが言い始めた。

まぁ、確かにオリビアには言われたけどさ…まだ3時間はあるじゃん。


「その方が教えてくれた屋敷ですけども、どんなに頑張ってもここから1時間はかかってしまいます。」


…え!?

そんなに離れた所に居るの?

オリビアが居る屋敷は歩いて20分、馬車でも1時間かかるって…遠すぎじゃない?

別荘って事かよ…金持ちが。


「なので3番隊の方々と7時頃に合流するように連絡を入れました。」


コメスさんはそう言った。


「もう!?」


アルゴンが驚く。

僕も驚きだ。


「ですのでそこから移動して8時過ぎ、更には事前に下調べをして半頃ですね。」


コメスさんはそう説明をしてくれた。

そう言われるとこの時間に朝ご飯なのも納得してしまう。


「美味しかった〜。」


呑気にアルゴンがそう言った。

コイツ、コメスさんの話しを聞いてないな…。


「アルゴンさんも食べ終わりましたね。」


アルゴンが食べ終わるのを待っていたかのようにコメスさんはそう言った。


「集合場所に向かいましょう。」


続けてコメスさんが言った。




「集合場所までは10分ほどですかね。」


僕らは宿を出てその場所に向かう事になった。

ちなみに、アリナさんは僕が呼びに行ったのだが…ドアを開けたら目の前にアリナさんが浮いていて寝ていないという事もあってかなりの恐怖だった。

アリナさんは今は透明になっている。


「ハァー。」


僕は欠伸が出た。


「勇者様、大丈夫ですか?」


コメスさんがそうきいてきてくれた。


「あぁ、問題ない!」


強がってそう言った。

本当は眠すぎて死にで〜す。


「あ! 勇者様達ではないですか〜!」


少し歩いて行くとそうマヒナさんが声をかけてくれた。


「あぁ、皆、準備は良いか!」


コメスさんに背中を軽く押されたのでそういう事か、と思いそう挨拶をした。

てか…人数少な!?

5人?


「準備は〜、オッケーで〜す。」


そうマヒナさんは言ったが、


「隊長、まだです。」


副隊長さんがそう言った。

…相変わらずのマヒナさんだな。


「ちなみに〜確認等は取れましたか?」


マヒナさんは僕らにそうきいた。


「あぁ、確認が取れた。 シャーロットを助けに行くぞ!」


コレは自発的に言った。

やる気も皆、僕が言ったら多分上がるしね。


「…屋敷に忍び込む人攫いからちゃんと人を助ける勇者として行動が出来ますか、良かった〜。」


そう他の団員は(隊長のマヒナさんも)


「やるぞ~!」


とか、言って盛り上がっているのに副隊長さんだけは冷静にそう言っている。

痛い所をつかないでよ…。

少ししてから


「隊長、皆準備オッケーです!」


副隊長さんがマヒナさんに言った。


「じゃあ、出発しましょ〜!」


僕ら(僕にアルゴン、コメスさん、アリナ)と3番隊隊の人達は人数がそんなに多くない事もあって皆僕らの馬車に乗った。



「暇なので〜着くまでは自由時間で〜す!」


そう出発して15分くらい経った時にマヒナさんが言った。

まぁ、暇ではあるけどさ…マヒナさんって、思考がアルゴン寄りだよね。

アルゴンはマヒナさんとは絶対に合わないとか言ってたけど…。


「隊長、それは流石に…。」


そう言って副隊長さんが焦ってマヒナさんを止めた。

が、止まるはずもなく、アルゴンもそれに乗っかってしまったため副隊長さんの苦労も虚しく自由時間になった。


「自由時間になってしまいましたね。」


笑いながらコメスさんが副隊長さんに言った。


「私達の隊長には困ったものですよ。 アレでも、潜入調査等の腕はピカイチなんですけどね。」


副隊長さんも笑いながらそう言った。


「3番隊の人達は潜入が得意なの?」


アルゴンは興味なさそうにそうきいた。


「まぁ、そうですね。」


副隊長さんはそう答える。


「3番隊は潜入調査等が得意な部隊、なのでこの前までラファルク王国外に居ました。」


へ〜、だからクメシアル集合は難しかった訳か。


「何でこんなに少数なの?」


ここでアルゴンがきいた。


「あ〜それは〜多人だとバレやすいので〜。」


単純な理由だった。

マヒナさん、天然で不思議な感じの人だけど、ちゃんとそういう事は考えてるんだな。


「そろそろですかね。」


コメスさんはそう言った。


「あそこがシャーロットさんの居る〜屋敷ですか〜。」


マヒナさんも言った。

遂に突撃か…やだな〜。

屋敷てか、屋内だと魔法が使えない僕はいる意味皆無だし…。

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