第10話「厨二病、先生をやる!?1」
「どうぞって門番には言われたけどさぁ…。」
そう、どうぞお入り下さいと門番に言われはしたが、入ってどこに行けば良いのかとかは言われていなかった。
ひとまず、本館ぽっい正面に見える大きな建物に行くことにした。
デカい家だな〜、流石公爵家って感じがする。
コンコン。
ドアをノックした。
「どちら様でございましょう?」
ガチャ。
そう少しカスレた男性の声がしてドアは空いた。
どうやら出てくれたのはこの家の執事さんのようだ。
「魔法の家庭教師という事で来た、魔法使いの約剣だ!」
僕はそう言った。
失礼かもしれないが、こういうのは大体堂々と自分流を貫いた方が疑われない。
「門番の方が貴方を通したと言うことは…そういう事なのでしょう。 どうぞコチラに。」
そう言って執事の男性は僕を家の中に入れてくれた。
「ただ今、オリビアお嬢様はお出かけてございます。」
居ないの?
いや、普通は居るから家庭教師は頼むものだろ…。
「30分程ここでお待ち下さい。」
そう言って執事さんは僕を椅子のある広間、エントランス的な所に置いてどっかに行ってしまった。
いや…どうすんの?
「…凄い装飾品…。」
壁に絵やら彫刻、シャンデリアもキラキラで豪華なのでそれを見ていたらわりと直ぐに時間は経っていった。
「オリビアお嬢様、コチラの方が例の家庭教師様でございます。」
そう言って執事さんが来た。
「彼が…? 貴方、魔法は使えるの?」
そう言ってオリビアお嬢様と呼ばれる女の子は僕にきいてきた。
見た目的に9から、高くても13歳くらいの女の子だ。
誰かに雰囲気が似ている気がするが…誰かだ?
まぁ、コレは今は忘れよう。
「あぁ、そうだ。」
流石に失礼だったか?
「話し方的にいかにもって感じね。」
そう言うオリビアお嬢さん。
許された、やっぱり自己流を貫いた方がぽいんだよ。
「じゃあ私の部屋に付いて来て。」
そう言われた。
「いいの?」みたいな事を執事さんに目線でうったえる。
伝わったようで「どうぞ」という感じにペコっと礼をしてくれた。
「ここね。さぁ、入って。」
オリビアお嬢さんに言われて僕は部屋に入る。
「私が教えては欲しい魔法はね、攻撃魔法なの。 派手なやつね。」
…そう言われてもな〜。
僕も自分が魔法を使える原理は分からないから…何かこの世界に来たらいつの間にか使えていたし。
「出来るの?」
そうきいてくるオリビアお嬢さん。
コレは魔法が僕が使えるのかではなく、私に教えられるの?
というやつだな、拒否はしたらヤバいやつだ。
「あぁ、もちろん!」
まぁそう答えるしか無かった。
「早速教えて下さい。」
そう言うオリビアお嬢さん。
てか、部屋良いの?
ここで、燃えるかもだけど…。
「部屋は良いのか? ここで。」
教えるのを少しでも先延ばしにしたかったのと、普通に安全面でそうオリビアお嬢さんにきいた。
「まぁ…燃えたらまた直せば。 約剣先生もおりますし、大丈夫でしょう。」
そうお金持ちの発想が出て来た。
ロリコンって訳じゃ無いけど普通に可愛い女の子だな。
何か言葉遣いが大人ぶってる感じだったからどんな女の子なんだ?とかを思っていたけど。
「さぁ、教えて下さい。」
…現実と向き合う時が来た、どうしよう?
まぁ…適当に今日は厨二病言葉でも覚えさせてあげれば…仕上げは明日やるか、夜逃げでもするか!
「魔法を使うと言うのは心の問題なのだ! 心…つまり言葉だ!」
そう何かそれっぽく伝えた。
「言葉…? どういう…。」
オリビアお嬢さんは困惑し始めてしまった。
逃げるか?今なら行けそうだけど…。
「見せて下さい。」
オリビアお嬢さんは困った後少ししてから僕にそう言ってきた。
まぁ何かもうメチャクチャだし…適当に魔法を見せて帰っちゃおうかな。
「行くぞ! 炎よ、俺に力を、ファイヤーボール!!」
ボワッ。
炎が手の上に出た。
「おぉ…。」
オリビアお嬢さんはそう反応だけ。
「…。」
固まってしまった。
「オリビアお嬢様、お時間でございます。」
そうドアの向こうからさっきの執事さんの声がした。
まだ30分くらいしか経っていないんだけど…時間、もしかして執事さん、間違えた?
「了が〜い。」
固まっていたオリビアお嬢さんがそう言って時計を見た。
「では約剣さん、また明日お願いします。 それまでに先生のおっしゃっていた意味を必ず理解してみせます!」
時間は合ってるっぽいな…30分と明日で魔法を使えるようにさせて欲しいとかいう依頼…メチャクチャだよ…。
オリビアお嬢さんは何か僕の言葉に深い意味があるとか勝手に思い始めてくれたから助かったけど…。
明日はどうなるかな〜。
でもギルドのお姉さんからあんなに頼まれちゃったし…。
シャーロットを助けるためにここまで来たのに夜逃げでここを出ちゃうのはな〜。
「執事さん、先生を門まで連れてってあげて。 私は裏門の馬車に乗って待ってるわよ。」
そう言ってオリビアお嬢さんは部屋を出て僕とは反対側に、僕は門まで執事さんに付いてきてもらった。
てか、ここって執事さんが居なかったら普通に迷ってたよな。
「では約剣様、明日もまたよろしくお願いいたします。」
そう言って執事さんは門で僕を見送ってくれた。
オリビアお嬢さんはまたどこかに出かけるみたいだし…貴族も大変だね…。
そう思いながら僕は宿に戻って行った。




