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第5話「厨二病、魔法使いを辞める!?」

「コメスさんこそ何故ここへ?」


その襲われていた人もコメスさんにきいた。


「…。」


僕もアルゴンも今は透明になっていて見えないが、多分アリナさんもこんな反応だったと思う。


「ひとまずは紹介をしますか。」


僕らが呆気にとられているとコメスさんがそう言ってくれた。


「このたびは助けていただき誠にありがとうございます。 私はクメシアルで商人をしておりますゼクトと申します。 コメスさんとはクメシアルの議会仲間という事を関係ですね。」


そうゼクトさんは僕らに自己紹介をしてくれた。

コメスさんの議会仲間という事は、この人もコメスさんと同じでかなり凄い人なのでは…?


「俺は勇者、約剣(エクスカリバー)だ!!」


「俺は、こいつのパーティーメンバーのアルゴン。」


僕とアルゴンはそう挨拶をした。


「勇者様!? ラファルク王国のですか?」


そうゼクトさんはきいてくる。

ペコっと返した。


「私は今、勇者様のお仲間様がアルソフィナ王国の者に拐われたという事があって、アルソフィナ王国に一緒に向かっている途中です。」


コメスさんがゼクトさんにここに居る事情を話した。


「何と…。 私は逆にアルソフィナ王国へ用事があり行って、クメシアルに帰る途中でした。」


ゼクトさんはそう言った。


「護衛の方は?」


コメスさんは気になったようでゼクトさんにきいた。

僕もゼクトさんはコメスさんと同格の商人さんなのに護衛が見えないことに疑問を感じていた。

コメスさんも護衛は居ないけど…。

もしかして、ゼクトさんも元冒険者とかなのか?


「非公式での用事でしたので。 護衛は少ししか付けていなかったんだ。 そいつ等もさっきので殺られてしまったしな。」


そうゼクトさんは一言だけ言って後は誤魔化していた。

なので僕もコメスさんも深くは触れなかった。

ゼクトさん自身が元冒険者ってわけでは無さそうだ。




「ところで、勇者様は無謀にあのオークに突っ込んでませんでした?」


少しして落ち着いてからゼクトさんは僕にそう話しかけて来た。


「…。」


僕はこう。

護衛をほとんど付けないでこんな所に来たゼクトさんには無謀という言葉は言われたくないな…。

図星でもあるんだけど。


「まぁね。」


アルゴンはそう答えた。


「アルゴンさん…。」


と、何故かコメスさんは「あ!?」という顔をした。

何かまずい事でも言ったかな?


「武器とか、使いませんかね?」


そう言ってくるゼクトさん。


「私の専門は武器なんですが、どうです?」


と、ゼクトさん。

コメスさんが「あ!?」という顔をした理由が分かった気がした。

要するに、押し売り的なやつだ。


「見たところ、勇者様は剣の一本も持っていませんが。」


当たりだよ。

モンスターと接近戦する気は無いからね。


「あぁ、要らん。 我が魔法で十分だ。」


僕はそう答えた。

要ると答えたら剣が貰えたかもしれないが…もう一度言おう、モンスターと接近戦する気は無い!


「ですがさっきは何故かオークに隙が出来ましたが、普段はそんな事ありませんよ。 勇者様のパーティーは人数が少なく見えますし。」


…反論出来ない。


「勇者って、魔法使いだろ。 剣なんて要らないよ。」


驚いた事にソレを言ったのはアルゴンだった。

使わない剣をずっと腰にさしているアルゴンだ。

てか、アルゴンなら僕に剣を持たせて自分はさらに戦闘に関わらなくて良いようにすると思ったけど…。


「いや、大丈夫ですよ。 ラファルク王国で言うなら最強の1番隊の隊長さんも剣と魔法を使う魔剣士らしいじゃ無いですか。」


そう答えるゼクトさん。

1番隊の隊長さんって、そんな戦闘方法なんだ。

魔剣士で最強なら僕も成ろうかな、魔剣士。


「いや、でも…。」


何か否定をしようとするアルゴン。

何でだろう、またいつものアルゴンとは違う。


「まぁ、ラファルク王国の王国騎士団の1番隊隊長さんの戦闘方法は魔剣士で合ってますよ。」


コメスさんが何故か否定をしようとしているアルゴンに言った。

てか思ったんだけど、ラファルク王国最強人が魔法を使えるなら、魔王討伐はその人でいいじゃん。

駄目なん?


約剣(エクスカリバー)は?」


アルゴンが少し怖い声でそうきいてきた。

どうやら、僕には魔剣士にはなって欲しくは無いようだ。

ただ僕は魔剣士にはなってみたい。


「剣を使えるように訓練をしても良い!」


剣が合わないのなら後で止めれば良い、ってことでそう言った。


「では勇者様、この剣をどうぞ。」


そう言ってゼクトさんは僕に剣を渡してくる。

見た目はロングソードだ。

タウンにあった剣に似ているが、それよりもシュッとしている。


「…そんなに重くない…。」


そう独り言を言った。


「この剣はミスリルですので。」


そうサッと凄い情報をゼクトさんは僕に言った。


「さぁ、どうぞ。 剣の基礎はコメスさんにでも習って下さいよ。 すみませんが、私は結構急ぎの用がクメシアルにもありますので。」


そう言ってゼクトさんはゼクトさんが乗っていたであろう馬車は壊れていたので、馬に跨りクメシアルの方に行ってしまった。

アルゴンはおそらく何を言っても前には出ないだろうし。

シャーロットが戻って来ても、シャーロットは戦闘は出来ないし。

アリナさんも頑張ってサポートしてくれてはいるけど、戦闘力はゼロだし…。

戦闘スタイル…本当に魔法使いから魔剣士に変えようかな。




「結構、剣を使うの?」


アルゴンが不屈そうに僕に言ってきた。


「まぁ。」


僕はそう答えた。

僕が怪我をしないか心配をしているなら、お前が戦闘で前に出れば良いんだけどな…。


「剣は私が教えましょう。 おそらく彼が勇者様にミスリルの剣をあげたのは口封じ。」


そう何か物騒な事をコメスさんは言い始めた。


「彼は武器商人。 アルソフィナ王国へ行っていたのは武器の密売、おそらく大量に。 クメシアルの法律上、違法です。 ただ、彼なら普通にやりますよ。」


そうコメスさんは本当に物騒な事を言う

仲は良さそうに見えたけど…。


「え、じゃあ剣は? 安全?」


アルゴンがそう言った。

確かに!

僕もそう思い、剣を見つめる。


「口封じの意味もあるので、剣はちゃんとミスリルの良いヤツですよ。 私も鑑定しました。」


コメスさんは僕らを安心される様にそう言った。

てか、手に取っても無いのに安全か分かるのかよコメスさん。


「アリナさんも出て来て良いですよ。 彼が私達を監視していたりは無いですから。」


そう言うコメスさん。

だが…違法な事を普通にやるという人がアルソフィナ王国に行った事を見た人に監視を付けたりは本当にないのか?

アニメの悪役ならほぼ絶対、100%監視を付けるぞ。


「本当に大丈夫という顔ですね。」


僕の不安に気付いたのか、安心させるようにコメスさんはそう言った。


「何故なら、前に彼に監視員を付けられたときにその監視員をボッコボコにしましてですね。 それからはそんな事は無いですよ。 今も近くに私達以外の気配を感じませんし。」


そうしっかりした根拠を付けて話してくれた。

ボッコボコにしたって…。




またそれから時間が経った。


「日暮れまで後2時間はありますが、ここで休憩にしましょう。 早速、剣の訓練をしましょうか。」


馬車を止めて皆でテントを張り終わった後にコメスさんが言った。

ちなみに、テントの数は4つ。

僕とアルゴンとコメスさん、それにアリナさんの分だ。

幽霊だし要らなくない?と思うが、一応彼女もちゃんとした女性なのだ。

プライベートは必要だろう。


「あぁ、アルゴンは?」


僕はアルゴンにもきいた。

てか、普通にアルゴンにも訓練を受けてもらいたい。

やっぱり剣を持っていて、職業は剣士と言っている訳だし…。


「いや、俺は遠慮しておく。」


そう言ってアルゴンはテントに入って行ってしまった。




「まぁやってみますか。」


コメスさんはそう言った。


「まずは剣はこう持ちます。」


そう言ってコメスさんは持った剣を手に持って僕に説明をしてくれる。

が、アニメとかでなんとなくなら剣の持ち方は知っている。


「知っていたんです?」


コメスさんが驚いて僕にきいた。

僕は頷いて答えた。


「ミスリルのロングソードでしたら…縦に振り下ろすよりは横に剣を振って攻撃したほうが良いでしょうね。」


ロングソードって、縦に振り下ろすのが普通の使い方だと思ったんだけど…。

そう僕は思っていたのでコメスさんに言われた事とは反対だが、縦に剣を振り下ろしてみた。

スカッ。

何か風を切る音が出るわけでも無いし、振り下ろしたにしては速度が出ない…。


「縦で試してみましたか。 鉄等の鉱石でしたら縦に降るのが1番良いんですけどね。 ミスリルだと重さが無いので振り下ろしても速度が出ないので、パワーは弱いですよ。」


コメスさんがそう説明をしてくれた。

確かにそうだと理解出来た。


「確かに…。」


そう、ミスリルと言えば軽くて丈夫という強味がある。

逆に言えば軽くてパワーは出づらい。


「申し訳ありませんね。 この木に横切りで切りつけてみてください。」


コメスさんはそう言って僕に気を切ってみることを促した。

アニメだと…何か、こう…。

スパッ。

剣に傷が入った。


「初めてにしては素晴らしいです。」


そう言って褒めてくれるコメスさん。


「足の出し方はこうです。」


コメスさんはそう言って足両足を揃えるのではなく、どちらか一方の足を前に出した。

ズバッ!

そう音を立てて目の前の木は倒れた。


「薪も無くなってしまっていたので、ちょうど良いですね。 勇者様、後1本ほどお願いしますね。」


コメスさんはそう言ってテントの方に戻ってしまった。

どうしよう…。

とりあえず、コメスさんのフォームを思い出して…。




スパッ。

さっきからやってはいるが、木に傷が付くだけで完全に切れない。


「…まだやってるの?」


アルゴンがそう言ってテントから出て来た。

完全に寝ていると思っていたけど…起こしちゃったかな?


約剣(エクスカリバー)切れないの?」


そう少し笑った顔で言ってくるアルゴン。


「こうやんの!」


そう言ってアルゴンは腰にささっていた剣を抜いた。

良くアルゴンの剣を見たことは無いけど…形はこの僕が貰った物に似ている。

…多分アルゴンには木を倒すのは無理だろ。

ズバッ!

そうして木は倒れた。


「マジかよ…!?」


メチャクチャ驚いた。


「まぁね!」


得意そうにそう言うアルゴン。

…まぁ、腐っても剣士だし…剣士だし…。

言葉が出て来ない。

てか、剣を扱えるなら何でコイツは戦闘で一切前に出ないの?

…まぁ、僕にはアニメで蓄えた魔剣士達の動き方の知識があるし。

アルゴンだってたまたまだろ、きっと!

アルゴンが戦闘で前に出るとは思えないし、やっぱり転職だな!

ただの魔法使いは引退。

そして今日から魔剣士だ!

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