第4話「厨二病、人助けをする。」
「大変です! 前、300メートルくらい先で人がモンスターに襲われています!」
アリナさんがそう急いで僕らにソレを報告してきた。
そう、アリナさんは定期的に周囲の安全を確認しに動いてくれていた。
「勇者様、この道はカーブしていておそらくそこに行くまで時間がかかると思うので走って先に行って下さい。」
コメスさんがアリナさんの話を聞いて僕らにそう言った。
僕に言われても…。
ただアリナさんの報告的に急いだ方が良いやつだし、コメスさんも「勇者様、急いで!」みたいな感じを出している。
「あぁ、行ってくる! アルゴン!」
僕はアルゴンを呼んだ。
「いや…勇者様が1人で行って下さいよ〜。」
アルゴンが僕が勇者だという事を皮肉交じりに行きたく無いと言う事を言った。
「あ、いや、ちょっと!? シャーロットみたいに引っ張らないでよ!」
アルゴンはそう言う。
僕はアルゴンの服を引っ張っている。
「結構ヤバいです。 約剣さんとアルゴンさん、行って下さい。」
アリナさんがそう言った。
ニヤッ。
僕はそう少し笑った。
「嫌なんだけど!?」
アルゴンはそう言ったが、僕はアルゴンの服を掴んで一緒に前の方に行った。
「アルゴン、見えた! …結構ヤバくない?」
「オークだね…。 マジ?」
そう、人を襲っていたのはオークだった。
数は10匹程度だったが、何か金属の装備的な物を着けている。
「アレって、魔王軍じゃ無い?」
アルゴンがそう言った。
確かに…普通のモンスターという雰囲気ではない。
「…アルゴン、どうする?」
僕はひとまずアルゴンに聞いた。
魔法を適当に撃っても良いが、襲われている人に当たってしまったらヤバいし…。
「…俺なの?」
そうアルゴンは驚く。
特に何も考えていなかったようだ。
「いや…やっぱ、いいや。」
僕はそう言った。
良く考えてみればアルゴンの指示を聞いて戦うのって僕じゃん。
アルゴンは指示を出すだけで動かないし。
「何なの?」
アルゴンが言う。
「ここに勇者様が居るぞ〜!!」
アルゴンが大きな声を出した。
そうしてオーク達がコッチを見た。
「アルゴン?」
コッチにそのオーク達10匹全て向かってくる。
マジで恐怖だ。
「約剣、魔法を使って!」
いつの間にか結構離れた所に移動していたアルゴンがそう言った。
確かに!
オーク達が襲われている人から離れたから…
「炎よ、俺に力を、ファイヤーボール!!」
ボワッ。
「!?」
そう反応をするオーク達。
僕が撃ったファイヤーボールは見事にオークに直撃した。
ポスっ。
炎がオークが着ているの装備に当たって消えた。
「!?」
何で?
ドズドズ。
オーク達が走ってコッチに来る。
「約剣、もっと強い魔法だよ!」
アルゴンがそう言ってくる。
今言われても…。
「バァ!」
そう言ってアリナさんが急にオークの前に現れた。
溜めが出来た!
強い魔法…「私達魔法使いは詠唱に込められている言葉によって強さが違かったりしますよ。」とアルゴンさんが言ったのを思い出した。
「地獄の業火よ、俺に力を、そして敵を倒したまえ!!」
僕はそう言った。
ボー!!
そういう音がしてオーク達は炎の渦に飲まれた。
サー。
そうして炎は消えた。
「…ヤバいし、やり過ぎじゃね…。」
炎が完全に消えてオークが灰になって消えたのを確認したアルゴがコチラに来てそう言った。
「いや…だって…。」
否定は出来なかった。
どれぐらい強さの魔法が出るかとかは全く分からなかったんだよ…。
「私も…死ぬかと思いましたよ。 既に死んではいますけど…。」
アリナさんはそう言った。
確かに…アリナさんが幽霊という事を知らない人が見ていたらアリナさん、パーティーメンバーごとオークを燃やしたやつだと思われるだろう。
そんくらい巻き込んでしまった。
「申し訳ありませんでした。」
素直に謝った。
なんか…シャーロットとアルゴンには絶対にでも謝りたくないな。
「勇者様、どうにかなりましたか?」
そうして少し経った後にコメスさんが来た。
「はい。」
アリナさんが答えた。
「いつの間にアリナさんも行っていらしたんですね。」
コメスさんはアリナさんが居ることにまず驚いていた。
いや、行くことを伝えて無かったのかよ。
「大変だったんだよ!」
アルゴンが言う。
お前は何もしてないだろ。
てか、今度から馬車を引くのはアルゴンにしてコメスさんが一緒にモンスター退治に来てくれない?
「ありがとうございました。」
そう言ってオークに襲われていた人がコチラに来た。
年はコメスさんと同じくらいに見える。
身長は170くらいで目にはサングラスでも着けているのか、良く見えない。
「貴方達は、何でここに?」
コメスさんはその人にそう言った。
知り合い?




