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第3話「厨二病、上手に移動する。」

「アリナさん、申し訳ないけどさ、周辺にモンスターが居ないか見てきてもらえない? 戦いたくないしね。」


アルゴンがアリナさんに言った。

戦いたくないしって、仮にもお前は勇者パーティーの剣士だろ。

普通は僕、魔法使いよりも戦うポジションなんだよ!


「いや、お前はもう少し戦えよ…。」


小さな声でアルゴンに伝えた。

が、ソレを聞いていなかったコメスさんがタイミング悪く


「確かにですね! 時間も短縮出来ますし、体力も温存出来ます。 アリナさん、よろしいですか?」


と言った。


「はーい。 分かりました。」


そう言ってアリナさんは馬車の進行方向の方に飛んでいった。


「…。」


アルゴンが睨んでくる。

無言の圧力をかけようとしているのだろうが、全く怖くない。

お前はそんな事は考えていなかっただろうし、本当に戦いたくなかっただけだろ…。


「…。」


お互いにトントンという感じなので僕も無言の圧力で対抗する。

ただ、シャーロットがする無言の圧力よりも怖くないだろう。

アルゴンと同レベルだ。


「…。」


2人して無言で見つめ合っている。

何の時間なんだかわからなくなってきた頃にアルゴンが飽きたのか、そっぽを向いた。

勝った!

と、戦っていたのかわからない状況に勝手に勝った宣言をした。




「にらめっこでもしていたのかな?」


アリナさんが馬車の壁を貫通して急に出て来た。


「うわ。」


僕もアルゴンもそんな反応だ。

てか何で馬車の前方向に行ったのに馬車の後ろの壁から出て来んだよ。


「私も後で入れてね。」


そう言うアリナさん。

別ににらめっこをしていたわけでは…。


「まぁソレはいいや。 コメスさん。」


アリナさんはコメスさんを呼んだ。

ちなみにこの馬車は馬を制御している人が乗る所から僕らが座っている荷台部分までに壁は無い。

なのでコメスさんが後ろを向けば簡単にコンタクトが取れる。


「おぉ、アリナさん。 ご苦労さまです。 何かありましたか?」


コメスさんが後ろを向いてアリナさんに聞いた。

ちゃんと前を見ていてて欲しい。

馬が今急に変な方向に走り出したりは流石に無いよな…。


「この道の前方にモンスターの群れがが居ました。おそらくオークだと思います。」


アリナさんは前で見たことをコメスさんに報告した。

オークって…どれくらい強いの?

この世界だと。

イメージ的にはBからA級くらいのモンスターだと思うんだけど。


「オークはc急にくらいのモンスターと言われていますが…。 何匹程の群れでしたか?」


オークはc級くらいなんだ。

コメスさんなら問題なく倒せるレベル。

僕は…頑張れば多分何とかなるかな?


「え〜と、確か…10匹から15匹くらいでしたよ。」


結構多くない?


「10から15匹ですか…。 5匹程度でしたら倒しておこうと思いましたが、10匹以上居るのなら鉢合わせ無いように行きましょうか。」


コメスさんはそう言った。

どうやらオークらを避けて進むらしい。




そうしてオークが前に居るとアリナさんから報告があってから30分程経った。


「オークとは鉢合わせ無かったですね。 ナイスコース取りです!」


アリナさんがコメスさんに言った。


「ありがとうございます。 一旦アリナさんは休憩をして下さいね。」


コメスさんがアリナさんに優しく言った。

ん!?

アリナ()

考えないようにしよう。

アリナさんはこの馬車の前に危険は無いかなどをさっきからずっと見て来てくれている。

あのアルゴンの自己中的な発言から…。


「アリナさん…アルゴンには苦労するよ。」


僕はアリナさんにそう言った。


「うん!? まぁ私は大丈夫ですよ。 戦闘は出来ませんし、こういう所で働きます!」


僕が何を伝えたいかは分からなかったようだ。


「では、また見てきますね。」


また少ししてからアリナさんはそう言ってまた前を見に飛んで行ってしまった。


「今度は狼みたいなモンスターが群れで20匹程居ました。」


アリナさんがまた帰ってきてコメスさんに伝える。


「強くは無いですけども…体力の消耗がかなりすると思うので、またコースを変えて進みますか。」


コメスさんがそう言った。

僕の時計って…確か狼みたいなモンスターなら寄せ付けなかったと思うな。


「コメスさん、そのモンスターはおそらくこの馬車には寄って来ないので、そのままこのコースで進んで下さい。」


僕がそう伝えた。


「はい、了解です。 勇者様のパワーですか?」


コメスさんが聞いてきた。

いや、僕の時計の力なんだけど…。

今僕は長袖の服を着ているので時計は袖で隠れていて人には見えていない。

変な事になっても困るし、否定はしとこう。


「流石は勇者様ですね!」


僕が違いますと言う前にコメスさんがさらに追加で褒めていた。


「凄いですね。 やっぱり勇者様なんですね!」


コメスさんの言葉にアリナさんが反応をする。


「え!? そんな力あったの?」


キョトンとアルゴンも話に入って来てしまった。

そして以外だけど勇者何だなという雰囲気をアルゴンも出し始めてしまった。

てか、この時計の事を知っているのは一緒に買いに行ったシャーロットだけだ…。

否定をしてくれるシャーロットは居ない。

1対3。

うん、この僕にこの人数比で否定する勇気は無い。

適当に何か言っておこう。


「あぁ、もちろん。 この俺のスーパーハイレベルパワーだ!」


マジで適当に言った。

アルゴンはもちろん、アリナさんにコメスさんとは何か打ち解けた感じで今更厨二病は全開じゃ無くてもいい気がするけど…。

普通にこの状況を説明するのは…コミュ症の僕には無理だ。

上手い理由が何も思い付かない。




そして狼みたいなモンスターが居たという報告を受けた所も時計の力で…スーパーハイレベルパワーで何もなく通れた。


「本当に何も無かった。 流石は勇者様って事だな。」


アリナさんがそう言った。


「そうですね。 本当に流石です。」


と、コメスさん。

何か結構興奮してるなこの人…。


「…。」


と無言のアルゴン。


「アリナさん。 とても疲れると思いますが、頼みます。」


「いえ、何故か大して疲れないんですよね〜。」


コメスさんの言葉にアリナさんはそう答えた。


「今の所凄く上手い具合に移動出来てますね。」


コメスさんは僕とアルゴンにそう伝えてくれた。


「…じゃ、このまま何も戦闘もせずに行くぞー!」


アルゴンがホントに戦闘とかヤダ、と簡単に分かる顔でそう言った。

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