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第1話「厨二病、競走?」

「勇者様、飛ばすので何処かに捕まっていて下さいね。」


バシッ。

コメスさんが鞭でスピード馬車のスピードをあげた。

ガタッ。


「うぉ!?」


そうアルゴンが声を出した。

コメスさんが初めに言ってくれていたのでそこまで被害は無かったが、結構凄い衝撃が来た。


「大丈夫でしたか?」


コメスさんは僕らにそう言って心配してくれたが、コッチを向いてはいなくて本当に急いでいるようだ。


「何でそんなに急ぐの?」


アルゴンがコメスさんにそう聞く。


「急いでいるのでサッとですけども…。」


そう言うコメスさん。

マジのマジで急いでいることが伝わって来る。


「シャーロットさんが連れ去られたのが今さっき、でしたらシャーロットさんを拐った相手がどんなに急いでも馬車であるならまだこの辺で追い付く可能性があるからです、」


そう早口で言った。

口調的に話は途中で切れているような…。

後は察してくれと言う感じだ。

アルゴンは聞き返しそうだな。

シャーロットも居ないし…僕がそれを止めよう。


「アルゴン、聞き返すなよ。」


釘を刺した。


「知ってるよ。」


本当に知ってたのか?

まぁソレはいいや。

確かにそうだな…。

シャーロットが連れ去られたのがさっきだった。

ならワンちゃん追い付くのか。


「この馬車は結構スピードが出るヤツです。」


さっきの言葉が優しさが無かったと思ったのかは分からないけど、コメスさんがそう追加で説明してくれた。

どんだけスピードが出るんだ?


「おう、じゃあ急いでくれ!」


アルゴンが言った。


「お願いします!」


僕もアルゴンに続いて言った。

そうしてコメスさんがメチャクチャ馬車のスピードをあげてシャーロットを拐ったヤツの馬車を追ってくれた。




―1時間後―

1時間後程、馬車を飛ばして馬車を追ったが、全く追い付かなかった。

流石に飛ばし過ぎたこともあって馬が疲れて今は残念ながらスピードを落として進んでいる。


「全く見えなかった。」


アルゴンが少し重い雰囲気のこの場を壊してくれた。


「はい…、申し訳ありませんでした。」


コメスさんが謝った。


「いえいえ全然…。」


僕も堂々とありがとうとは言えなかった。


「ここまで急いでも馬車が見えなかったのを考えるに…。」


そう言ってコメスさんが考え始めた。


「考えるになんですか?」


「うぉ!?」


コメスさんが少し話をためた事でアリナさんが気になり出て来てそう言ったので僕がメチャクチャ驚いた。


「どうしましたか、勇者様?」


そうコッチを向いて話をかけてきたコメスさん。

ヤバい、協力してくれるのだからいつかは言わないとと思っていたが…幽霊のアリナさんをこのタイミングで見せちゃっても大丈夫か…?


「貴女は誰です…。」


コメスさんが冷静を失った様な表情になった。


「すみません、疲れている様です。」


そう言って直ぐに冷静になったコメスさん。

流石だが…疲れているわけじゃ無いんだよね…。

さて…伝えるべきなのか。


「…僕とアルゴンも見えています…。」


結構いつかは言うんだし、と思い僕はコメスさんに伝えた。


「幽霊のアリナです…。」


アリナさんは自重した感じで自己紹介をした。


「…貴方は勇者様、約剣(エクスカリバー)さんは勇者様…。」


そう自分を抑える様に僕は勇者だと言うコメスさん。

これは…伝えて良かったのか。


「はい、始めまして。 私、カール商会会長のコメスと申します。」


流石商人さんと言う感じだ。


「彼女は…?」


コメスさんが質問してきた。


「彼女はアリナさん。 訳あって何故か幽霊ですでですね…」


混乱しているコメスさんに混乱させた本人が言うのもと思い、僕が軽く説明した。




「それで、考えるになんですか?」


僕の説明が終わった後にアリナさんがコメスさんにさっきの話の続きを聞いた。


「あ!そうでした。 そのシャーロットさんを拐った相手がこの馬車でどんなにスピードを上げても追い付かなかった。 おそらくですが…マジックアイテムでアルソフィナ王国に直接転移したかもしれません。」


コメスさんが説明をしてくれた。


「マジックアイテム…。」


僕のイメージ的にはとても高価な物だが…。


「かなり高価ですよね?」


アリナさんはそう聞いた。


「はい、その通りです。 つまり…シャーロットさんが連れ去られたのは完全に奴隷関係では無いと考えて良いと思います。」


そう言うコメスさん。


「それも、関わっている人はアルソフィナ王国内で地位の高い貴族だと思われます。」


そう追加で話してコメスさんは考え始めた。


「どうしたの?」


アルゴンがコメスさんに聞いた。


「そうですね…、コレはアルソフィナ王国に着いても簡単に…お金では解決出来なそうです。」


コメスは答えた。


「ひとまずは馬を休憩させながらアルソフィナ王国に向かいますかみ、それで良いですかな?」


コメスさんは言った。


「はい…。」


僕はそれしか答えられなかった。


「まぁ、とにかくアルソフィナ王国に行って事情を知るしかないだろ!」


明るくそう、空気を読まずにアルゴンが話した。

空気を読まないアルゴンか話してくれて暗い雰囲気が壊れた。


「そうですね。」


と、コメスさん。


「あぁ!」


と、僕。


「そうですよ。 まずは着かないと! 明るく行きましょ!」


アリナさんもこの場を元気付けてくれた。


「目的地は変わらない。 さぁ行くぞアルソフィナ王国!」


僕が大きな声でそう言った。

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