第11話「勇者、強くなる!?」
「お昼はコレをどうぞ。」
そう村長さんは言いながらニンジンを、持っている。
まさか…。
「ニンジン?」
そう驚くアルゴン。
いや…お前はニンジン食ってたし別に普通に食えるだろ。
「いえ…コレはペットのおやつですけど…。コレが良いですか?」
そう村長さんに言われてアルゴンはブンブンと首を横に振った。
結局、お昼はおにぎりをベルガさん達が作ってくれたのでソレを村人と一緒に食べた。
ご飯を食べ終わって少し経った頃に何か村人が周りに集まっつて来る。
「では勇者様、世界を頼みます。」
そう言って村全体でサヨナラをしてくる村長さん。
「え!? もう、出発ですか?」
そうかなり驚いた顔でベルガさんに質問するシャーロット。
僕もメチャクチャ驚きだ。
この村ではニンジンを植えて、食べてしかしてないし。
「はい、もう出ますよ。」
そう答えるベルガさん。
マジでもうこの村を出発するらしい。
「頑張って下さいね〜。」
など村の人から色々な言葉が聞こえてくるが、この村では大した事をやって無いし、何かな〜…。
村を出てまた森の中に入って行く。
「この村…何で来たんですか?」
そうベルガさんに聞くシャーロット。
正直に言って、大して意味は無かったと思う。
ラリーさんでの村は茶番劇みたいだったが、ここよりは行った意味はあったと思うレベルでこの村では何もしていない。
「勇者様を国の皆さんに知ってもらうためです!」
そうベルガさんはアルさんにも言われた事をシャーロットに説明した。
色んな人に僕を知ってもらうのって…何か意味あるの?
「それって、意味あるの?」
僕が思っていた事をそっくりそのままベルガさんにアルゴンが質問してくれた。
アルゴンお前…心の中が読めるだろ、て言うレベルだな。
「えぇ〜と、女神様教ではですね。」
ベルガさん…何か違そうな事を言い始めたけど…。
「信じる者、つまり教徒が多いほど、女神様の力も上がり、教徒の使える魔法もレベルが上がります。 コレを国王様に軽い気持ちで前に話したことがあるんですよ。 」
そう何か良くわからないことを僕らに説明してくれるベルガさん。
シャーロットもアルゴンもキョトンとしている。
「それでですね、勇者も信じる、応援する者が多くなれば強くなるのでは?と言う結論に国王様はなっちゃいまして…。」
つまり…村を回らされているのはベルガさんのせいってこと?
「ただ、やっちゃったと思って、タウン等で調べてみたのですが…勇者様も強くなるとかはあるらしいのですよ。」
…やっちゃった自覚はあったんだ。
まぁ、でも結果として僕が何もせずに(トレーニングとかをせずに)村を回るだけで強くなるならありかも…。
「私…ここまで着いてきた必要、無いじゃないですか…。」
シャーロットが何かそんな事を言い始めた。
まぁ、それは良いとして…そんな信じる人が多いと勇者が強くなるとかいうアニメの常識的な事が、異世界の常識をブチ壊して来たこの世界で有り得るのか?
そんな事よりやっぱ伝説の剣が欲しい。
「シャーロットさん、貴女は勇者様パーティーなのでね…。」
そう当たり前の、普通の事をシャーロットに告げるベルガさん。
てかどのくらい強くなれるのかは知らないけど、この世界に来た時と比べるとかなり強くなってるのかな?
今だったらウィリムさん達と戦ったあのドラゴンに勝てたりするのだろうか…。
「ちなみに、次の村までは何日掛るんですか?」
少し経ってからシャーロットが聞いた。
「いえ…もう村には寄らないですよ。 クメシアルに向かっていますよ。」
もうクメシアルに向かうの?
4番隊と合流してからまだ2つしか村を回ってないけど…。
「この辺って、村がないんですか?」
驚きながらそう聞くシャーロット。
「そうなんですよ。そもそもラファルク王国には村がかなり少ないので。」
…そうだったんだ。
クメシアルに行く途中に10個くらい回らされると思っていたけど…てか、都市はどんくらいあんの?
「ずっと歩くの?」
そう何か覚悟した尚且つ絶望した顔でそう聞くアルゴン。
「1日くらい歩けば馬車に乗れるはずです。」
そうベルガさんは答えた。
1日は歩くのかと思いながらもかなり嬉しい。
…信じる人が多いと勇者が(僕が)強くなってる。
本当にそんな事があるのなら、魔王なんてイージーゲームじゃあないか!




