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第10話「勇者、農業をする。」

「お〜い約剣(エクスカリバー)起きろ〜。」


と、アルゴンの声があり今日は目が覚めた。

シャーロットは…。

アルゴンに起こされるのは少し屈辱的に感じる。

と、ここで枕元に置いていた時計を見る。

7時…。

アルゴンが1人でこの時間に起きるわけ無いし…シャーロットが僕を起こさせに送ったのだろう。

シャーロット自身が来た方が良さそうだが、まぁ昨日の今日だしね…。

身なりを簡単に整えてテントを出た。

今日は香水は…いらないか。



もうテントを片付け始めている。


「勇者様、おはようございます。」


そうベルガさんに挨拶をされて僕はペコっと返した。


「あ約剣(エクスカリバー)さん、おはようございます。」


シャーロットはいつもと同じ感じで挨拶をしてきた。


「おはよ…」


挨拶を僕も言おうとした瞬間に


「え、ちょっと!? 何で俺のテントを畳んでんの? まだ寝るんだけど…。」


アルゴンに横入りされた。

アルゴンはそう言いながらシャーロットの方に言って文句を言い出した。

もちろん、シャーロットもアルゴンに対してグチグチ言い始めた。


「てか、ご飯は?」


お腹が空いていたのでシャーロットに質問した。


「まだらしいですよ。 確か、ここでは朝ご飯は摂らないとおっしゃっていたような…。」


このシャーロットの言葉を聞いた瞬間に


「へ!? 寝床だけじゃ無くてご飯も取られるの…。」


ボーゼンとそんな事をアルゴンが言った。

僕ももちろんだけど文句はある。

騎士団の変態達と一緒に覗きに行って無いし…。

結果がどうだったかはともかく、僕はご飯抜きとは言われて無いし!


「あぁそれはですね、実はここの温泉から次の村までの距離はとても近いんですよ。1時間程で着きます。」


あぁ〜、だからご飯も食べないしこんな時間に出発なのか。

でも昨日、頑張ってその村まで歩いてしまえば、シャーロットに対してちょっと気まずいとかも無かったじゃないか!

まぁ温泉…気持ち良かったけど。


「では、テントを畳み終わったので、出発しましょうか。」


そう言ってここを出発する。




「ベルガさん、ラリーさんの村の時みたいなハプニングはもうないですよね?」


少し経ってシャーロットそうベルガさんに聞いた。


「えぇ、連絡を入れましたので流石に大丈夫だと思いますよ…。」


と、そんな感じの会話をしたり(主にシャーロットがベルガさんと騎士団の人達と)アルゴンがお腹が空いたとか騒いでいる内にその次の村が見えて来た。


「あ、見えて来ました。 勇者様、先頭にどうぞ。」


そうベルガさんが言った。

何故かやっぱり僕は前なのね…。




「こんにちは。私がこの村の村長です〜。」


そう言って僕らを出迎えてくれたのはお婆さんだった。

前回の村みたいに子供がお出迎えとかも、悪くは無かったけど…色々と理解出来ないこともあった。

まぁやっぱり、ご年配の人の方が村長さんだ〜。

って言う何か安心感がある。


「あぁ、この俺がえぇ…伝説の勇者、約剣(エクスカリバー)だ!!」


少し噛んでしまった。

伝説のとか言ったけど、何も伝説は無いな…タウンにあった剣も抜かなかったし…。


「早速ですが、やって欲しい事があります。」


と、村長のお婆さん。


「話が早いですね。」


そう驚きながらベルガさんに話すシャーロット。

確かにそれは思った。

毎回(まぁ、まだ1,2個しか村を回ってないけど…)大抵は「何で勇者様が居るの?」みたいな疑問から始まって家に上げて貰って一段落してから話をするとかだったけど…。

今回はかなり事が早く進みそう。

依頼が難しくなければだけど…。


「はい、先程も言いましたが、連絡を前もって入れておいたので…前の村も連絡を入れておけば良かったですね、今思うと…。」


前回の村は何か…茶番みたいな依頼だったし…。

まぁ、今回からそうしてもらいたい。


「すみません、話が脱線してしまいましたね。 村長さん、続けて下さい。」


シャーロットが話を戻した。

そう、問題はどんな内容の頼みなのかだ。

戦闘系は止してもらいたいけど…。


「お願いしたいのは村の畑を手伝って下さい。」


畑の手伝い…。


「畑の手伝い!?」


そうアルゴンが叫んだ。

いや、気持ちは分かるよ。

僕が勇者っぽいかと聞かれたら何とも言えない、だが…畑の手伝いは違うって!

アニメでもそんな事をしている勇者はいない。

皆のためにとか言う本物の勇者でも流石にそんなことまではやってない。

てか、何かシャーロットもアルゴンに対して怒らないし…。


「良いですよ。」


ベルガさん!?

いや…流石に畑は村の人達で頑張ってもらおうよ。


「ありがとうございます。 では、コチラに来て下さい。」


やっぱりやることになってお婆さんに案内された。




「ここをお願いします。」


そう行ってお婆さんはその畑の近くの小屋に入って行ってしまった。


「何をどうすんの…?」


お婆さんが小屋に入ってしまったことに付いてアルゴンがかなり不安そうにシャーロットに言った。


「何か不安がっていますが…小屋には道具を取りに戻っただけで直ぐに戻って来ると思いますけどね。」


シャーロットがアルゴンに言った。

…良く考えれば当たり前だな。


「…まぁ、知ってたけど。」


そう当たり前の事をシャーロットに言われてアルゴンが強がってそう返した。

ガチャ


「道具はコレを」


そう言って村長さんが出て来た。


「このニンジン埋めて下さい。」


そう言って皆にニンジンを配る。

ホントにこんな事をやるの?

まぁ、村が平和って事で良いんだけどさ。

ミノタウロスの討伐をお願いしますとか言われても困るし。


「このニンジン、育ち切ってない?」


シャーロットにそう僕は聞いた。

見た目的にこれ以上は育たなそうなんだけど。

地球の常識だと…。


「いえ、もっと育ちますよ。 普通に。」


普通に!?

どんだけデカくなるんだろう…。

まぁ、いっか…。




「…メシは?」


そうアルゴンが言った。


「確かに…。」


ハッとしてアルゴンに同意するシャーロット。


「そう言えばそうですね…。」


忘れてたという顔のベルガさん。

僕も忘れてた。


「村で食べるって話しだったじゃん…。」


そう文句を言いながらもニンジンを埋めていくアルゴン。

ちなみに、話しながらもちゃんと皆ニンジンを埋めている。

効果音を付けるとしたら…


「そうですね…。どうしましょうか、ベルガさん?」


ズボ。


「そうですね…ニンジンをそのままとかは…。」


ズボ。

…シュールだ。


「いや…それは…ベルガ隊長、流石に…。」


グゥ〜〜。

グゥ!?

ズボじゃ無くて?


「…私です。 すみません。」


騎士団の人が言った。

騎士団の人(お風呂を覗こうとして、罰に昨日ご飯を食べれなかった人)のお腹の音だったらしい。


「いや…流石に…。」


グゥ〜〜。

他のご飯を食べれなかった人のお腹も鳴る。


「ちょっと、皆さん…顔が本気ですけど…。」


ズボ。

シャーロットが引いた声でそう言った。


「まぁこのニンジンも女神様からの贈り物ですからね。」


そう、不味くは無いよ。という雰囲気をベルさんが出している…。


ガリ。

そう音が響く。


ガリ!?

マジでいったの?


「美味い…!!」


そう目がいっちゃってる騎士の人がそう言った。


「いや、美味しくは無いよ…。」


アルゴンがそう言った。

お前も食ったのかよ。

ちなみに村長さんはコッチを見てはいるが何も言わない所を見るに、まぁ食べても問題は無いらしい。




「終わりましたね。コレで終わりですか?」


配られたニンジンを全て植え終わった頃にシャーロットがそう言った。

この作業、ゴブリン退治よりも楽なはずだが…メチャクチャ腰に来る。

終わりじゃ無いにしても休憩は欲しい。


「ありがとうございます。終わりで良いですよ。」


そう言う村長さん。

マジ?

こういう時に後アレとコレもとか言われるとキレるぞ。


「お昼ご飯を用意しておりますので村の広場に来て下さい。」


普通に終わりらしい。

それとお昼はどこかの家か何かで良いんじゃないのか?

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