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第5話「勇者、初めての問題解決!!」

「では勇者様、村の広場に来て下さい。」


そうラリーくんが言った。

広場にその問題があるのか?

アレって、本当に何なんだろう。

ちなみに、今回はラリーくんだけではなくて母親だと思われる人が一緒に着いてきた。

じゃあさっきは何でラリーくん1人が来たんだろう…。

まぁそんな事は今は別に良いか。



そうしてラリーくんが案内をして僕らは村の広場に来た。

ちなみにだが、騎士団の全員が来る必要も無いということで休んでいても良いという事になったのだが、ベルガさんは何故か着いてきた。

ベルガさんこそ1番休んでもらいたいんだけどな…。


「あそこに井戸が見えますね?」


そうラリーくんが言った。

あぁ、多分分かった。

井戸に水が無いから出して下さいとかじゃないかな?


「あそこの井戸なんだけど…お水が無くてですね、お水を入れてくれませんか?」


やっぱりだった。

お水をあの井戸に入れて欲しいと言ったけど、入れただけじゃあ多分長期的な解決にはならない。

入れた水を全て使い切ってしまったらどうするのだろう?

またこの村に寄るほど時間があるとは思えないし…。

そもそも、僕はファイヤーボール以外の魔法(炎系以外の魔法)は使った事がないんだよな…。

コッチの方は多分、変な詠唱?みたいなのとノリで行けるだろうけど、やっぱり井戸の水はそんなんじゃあ解決が出来るはずもない。


「ラリーくん、約剣(エクスカリバー)さんが水を入れただけでは、また水が無くなってしまうんじゃ無いですか?」


シャーロットがラリーくんにそう言った。


「あ…!」


そうウッカリしていたと言わんばかりの顔でラリーくんはそう答えた。

やっぱりそこまでは理解してなかったか…。

でも、シャーロットのその一言だけで大体シャーロットの言いたい事を理解したのは8歳くらいの子供としては普通に凄い。


「…何とかしますよ!」


そうラリーくんがまぁコッチで何とかするよみたいな雰囲気で答えた。


「じゃあ…この近くの今は誰も住んでいない家に最近夜中に出る幽霊と噂になっちゃってるのを何とか出来ます?」


続けてラリーくんがそう言った。


「僕はちょこっと怖くてですね…。」


とも最後に少し恥ずかしそうに言った。

…幽霊系か…。

う〜ん…苦手…いや、全然怖くないんだけどね。

うん…全然…。

そう自分の中で意味のない言い訳を自分自身に何故か言っていた。


「勇者様、幽霊系は女神様教に置いて、禁句ですよ!! 是非ともやりましょう!!」


そう何故か着いて来ていたベルガさんが言ってきた。

女神様教って何だよ…。

「さぁさぁ」とかベルガさんが隣でかなり言ってくる。

しかも、ラリーくんが目の前で「やって下さるの!」という顔で目をキラキラさせながら見てくる。

シャーロットに助言を求めようと目を向けた、が、


「幽霊…ですか…。」


そう絶望した顔で下を向いてブツブツ言っていた。

シャーロットもあんなだし、うん、もちろん受けたくない!!

と心を決めたのだが…まぁ当たり前だけど、断れるわけもなく、ベルガさんとラリーくんの勢いに負けて


「この勇者、約剣(エクスカリバー)が幽霊なんて排除してやる。」


と答えてしまった。

僕がそう言ってしまった瞬間、シャーロットがブルブルと体を振るわせて僕の方を絶望の顔でみた。

「ごめん。」今のシャーロットに言っても、可哀想なだけなので心の中でそう謝った。



夜になった。

さっき幽霊退治をすると行ってしまった時に簡単な詳細を決めていた。

幽霊と言うわけなのでやっぱり夜になってからにするぞと、アルゴンがその時に提案した。

何でわざわざ1番雰囲気も怖くなる夜にやる必要があるのかと僕とシャーロットでアルゴンに抗議したのだが…幽霊と言えば夜という正論を言うアルゴンに勝てるわけ無く、僕ら2人はアルゴンに完敗してしまい今になってしまったのだ。

てか、やっぱり何故かベルガさんが着いて来るんだよね。

でもベルガさんが着いて来てくれるのは正解かも。

アニメとかだと回復系の魔法を使える人は幽霊系やアンデット系を倒せるってイメージだし。


「何で、こんな依頼を受けたのですか!!」


そうさっきからシャーロットが激怒している。

僕も受けたく無かったよ!!

何か分からないけどアルゴンはこういう系いける気がする。


「お前、ビビリじゃん!」


やっぱりアルゴンは何か大丈夫らしい。

そう言ってシャーロットを煽りやがった。


「ググググググ…。」


そうシャーロットは唸って手をグーにしてアルゴンを殴る気満々だ。

あ、シャーロットがアルゴンを殴ったなアルゴン、煽り過ぎて死んだな。

と思った瞬間


「っわッ。」


そうアルゴンがシャーロットを脅かした。

ちなみにシャーロットが殴ってくると察したのか、アルゴンが先手を取ってシャーロットに殴られる前に脅かした。


「きゃあー!!」


そうシャーロットが軽く叫んだ。

そんなに大きな声じゃなかったのを考えるとこんな夜に大声で叫ぶのは…とでも考えたのだろう。


「ハハ、ビビった。」


そうアルゴンは笑いながら言った。

コレは何だ、多分だけどアレだ。

敵にアルゴンが突っ込むと言う悪魔の様な事を決めたシャーロットへの軽い復讐だな。

多分どっかでまたコレをシャーロットがやり返して続いてくんだろうな…。

面倒くさいな。


「後で覚えておいて下さいね。」


シャーロットはビビりながらもアルゴンにそう言った。

でもアレだな、流石にアルゴンは調子に乗り過ぎてるな。

ちなみにだが、この一連の流れではベルガさんは特には何も言わずに笑いながらそのやり取りを見ていた。



そんなこんなで目的の家に着いた。


「ここですか?」


何故か以外にもシャーロットはビビらずにそう言いながらドアノブに手を置いた。

キー。

ドアがそう音を出して開く。


「…アルゴンさん前進んで下さいよ、早く!」


やっぱり怖いのか、そう言ってアルゴンを先頭に立たせた。


「私が前を歩きましょうか?」


そうベルガさんが提案してくれた。


「いえ、アルゴンさんに前を行ってもらいたいので!!」


シャーロット的にはアルゴンにビビってもらいたいのだろう、ベルガさんの提案をそう言って断った。


「え! 前に行ってもらえば良いじゃん…。」 


そうアルゴンは自分が前を歩くのは面倒くさいのか何なのかは知らないが(怖いという訳では無さそう)独り言を言った。


「うるさい! 前を歩け!!」


そうシャーロットがアルゴンの独り言を一蹴してやっぱりアルゴンを前に歩かせる。




「…電気、付いてますよ。」


そう奥の部屋に進んだ所でシャーロットが小さな声でビビりながら言った。

シャーロットが言わなくても流石に皆そんな事は分かった。

その奥の部屋は僕たちが来た道からは見えない所にある部屋で、その道では無いところだと場所によってはその部屋は見えるような絶妙な位置にあった。


「よし!! 約剣(エクスカリバー)行け!!」


そうアルゴンが急に指示を出してきた。

いや、魔法使い(後方支援)だぞ!?

ふざけんな。


「いや、お前が行くんだよ。 ベルガさんも着いて来ているので。」


僕がビビっているとシャーロットがアルゴンにそう言った。

まぁ、そうだ。

敵にはアルゴンが突っ込む事に決まっていたのだった。


「…」


シャーロットがアルゴンを見つめる。

そのシャーロットの圧に負けたのかアルゴンはその部屋のドアノブに手を掛けた。


「開けるぞ。」


ガチャ。

そうアルゴンが部屋を勢い良く開けた。


「うわ〜!?」


そう声を上げたのは僕でもシャーロットでもアルゴンでもベルガさんでも無かった。


「キャ〜?」


そ今度の声はシャーロットだ。

「うわ〜!?」という声に驚いた様だった。

てか、何で疑問形?




「悪霊退さ〜ん。」


そう言って部屋に居たお爺さんに走っていくのは幽霊系は禁句だと言ったベルガさんでは無くてアルゴンだった。

が…


「村長さん!?」


そうベルガさんが言った。


「は!?」


というのがアルゴン。


「…ラリーくんのことですよね? ボケました?」


と、少し失礼なシャーロット。


「…」


僕は絶句の状態だ。


「あれ…貴方は王国騎士団4番隊の隊長のベルガさんでは無いですか! どうしてここに?」


そうそのベルガさんに村長さんと言われたお爺さんは言った。

2人って知らない?

とりあえず説明をプリーズ。


「あぁ勇者様、この方はこの村の村長さんですよ。」


そうベルガさんは言った。

ホントにボケたか?


「何を言ってんの?」


アルゴンが聞いた。


「ラリーくんは臨時の村長と言っていましたよね。 この方が、この村の本当の村長さんですよ。」


ん?

…は〜。

理解理解。

で、何でこの人がこんな所に居るの?


「村長さん、この方は約剣(エクスカリバー)さん、国王様に認められた勇者様です。」


ベルガさんはその本物の村長さんに言った。


「こんにちは、私はこの村の村長をしております。 ところでベルガ殿、どうしてその勇者様がここに?」


そう村長さんはベルガさんに聞いた。


「実はですね………と言うわけなのですよ。」


そうベルガさんは僕が何でこの村に来ているかを村長さんに説明した。

この人、何も知らんかったんだな…。




「それで、何で貴方はこんな所に?」


今度はシャーロットが村長さんに聞いた。


「ラリーちゃんってとても可愛いでしょ!! そのラリーちゃんに少しの間村長を臨時で任せてみようって思ってね、私もかなりの年なので…。 それでね、ラリーちゃんがしっかりと村長出来ているかを観察しようって思って。 問題にどうして取り組むかも観察して、毎日ここでノートを書いてたんだよ。」


そう村長さんは親バカの様な…孫バカかな。

そんな感じで説明をした。


「ラリーくんって…ラリーちゃんって女の子だったの?」


そうシャーロットが言った。

驚きだけども、突っ込む所はそこじゃ無いだろ!


「問題にどう取り組むかって…井戸の水も貴方が?」


そう!そこだよベルガさん。


「まぁ、はい。ホントにその井戸の問題がヤバくなったら直ぐに直すつもりでしたよ。」


村長さんはと言った。


「私達は幽霊がここに最近出るって言われて来たのですが…。」


シャーロットがそう言った。


「…私ですね。 おそらく。」


はい、幽霊事件解決!!

ついでに井戸も!!


「幽霊は貴方でしたよとラリーくん…ちゃんに伝えますか?」


シャーロットがそう質問した。

ラリーちゃんはどんな反応をするんだろう?


「いえ、もう少しラリーちゃんの村長さんを見ていたいので私が居ることは伝えないで下さい。」


そう村長さんは言った。

ってことは…幽霊事件はお蔵入りかな…。


「井戸は…ラリーちゃんじゃあまだ難しいようなので、元に戻しておきます。 ですが、直ぐに水がいっぱいになるわけでは無いので勇者様、少しお水を出して下さいませんか?」


そう村長に頼まれてしまった。

まぁ、このままだと何もしていないやつになってしまうのでそれくらいは普通にやろう。



「では村長さん、またお会いしましょうね。」


そう村長さんにお別れを言ってベルガさんはその家のドアを閉めた。


「いや〜幽霊の正体はまさかの村長さんでしたか〜。」


そうシャーロットが言った。


「メッチャビビってたな。」


そうアルゴンは言った。


「アルゴンさ〜ん。 覚悟してくださいね!」


そう笑顔でアルゴンに言うシャーロット。


「え!? いや…あの…。」


そうビビるアルゴン。


「まぁ、今日は遅いので明日にしませんか?」


そうベルガさんが提案した。

確かに眠い。


「そうですね。 今日はもう解散しましょうか。」


シャーロットもあっさりとそう言ったので、村長さんが居た家から少し進んだ所で今日は解散した。



皆は部屋に戻って行ったのので僕も部屋に帰って早く寝ようと思ったのだが、井戸にお水を入れていなかったことに気がついた。

やべっと思い、井戸に走る。

ファイヤーボールで炎の玉だから…


「水よ、俺に力を、ウォーターボール!!」


ジャボー。

少し水が出た。

が、これではどう考えても足りない…。


「は〜。 水よ、俺に力を、ウォーターボール。」


そうまたやるのかと思い、気の抜けた詠唱だったが、普通に使えた。

…まだ足りない…。


「水よ、俺に力を、ウォーターボール。 (省略)ウォーターボール。 (省略)ウォーターボール…。」


コレを何回か続け水がある程度井戸に貯まるまで30分から1時間は掛かったと思う。

やべっ、メッチャ眠い…。



そうして水も井戸にある程度貯めて、村での問題を2つも解決してベッドの上でグッスリ今日は寝た。

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