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厨二病なのは認めるけど、本当に冒険したいわけじゃない!  作者: 水希
第2章 厨二病勇者、旅に出る!
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第8話「宿に宿泊!」

「タウンに着きましたけど皆さん、行きたい所などはありますか?」


 門を出て少し歩いて行くと、アルさんが騎士団を含めてここに居る皆にきいた。

 だが、何故か少し呆れ気味だ。


「もちろん、飲み会ですよ~。」


 と、騎士団の1人がそう言い出す。


 おそらく騎士団の1人が飲み会と言った事が原因で、アルさんは両目を両手で少し恥ずかしそうに抑えた。


 恥ずかしそうなアルさんを無視するように後に続いて


「えぇ、ミノタウロスとの戦闘もあったんですし。  絶対に!」


 他の騎士の人達も飲み会を主張し始めたのだ。


 清廉潔白みたいな騎士団の人達でも、冒険者が良くやりそうなことをやるのか…とその時の僕は思った。

 まぁただ、考えてみるとどちらも同じ人間だしな。


「私達は今直ぐにでもお風呂に行きたいです!!」


 ここまで飲み会と主張をしていたのは騎士団の男性チームだが、ここで騎士団の女性チームからそう主張が出る。


 ちなみに遅くなったが、5番隊の編成は男性が10人で女性は5人だ。


 お風呂に行きたいという主張は、日本では毎日お風呂に入っていた僕も賛成だった。

 飲み会にはちょっと未成年だしで無理だけど…。


「わ、私もお風呂に行きたいです。」


 男女で意見が分かれて少しピリピリしたムードの漂う雰囲気にシャーロットがそう言った事で一旦収まった。

 が、アルゴンが飲み会と言った為にまたピリピリムーブが始まる。


 てか、アルさんはこうなると知っていたからさっき少し呆れ気味だったんだな。

 完全にコレも仕切きっちゃうべきだと思うんだけど意見なんかは聞かないで…。


「分かってはいたんですけど、やっぱりこうなりましたね…。」


 「ハ〜」とため息を付くようにアルさん。


 やっぱりいつもの事のようだ。


「いつも通り今日、明日は休みにします?」


 「しょうがないですね」と言わんばかりに出たアルさんの提案には


「はい!!」


「お願いします。」


 と、男女変わらず騎士団の皆がそうもうスピードで反応した。


「え…じゃあ俺も。」


 騎士団の人達に圧倒されつつも、アルゴンもそう言っている。


 最初に休みにすると言えばいいのに…もしかするといつものくだり的なやつなのかも…。

 などと思いながらも、アルさんに見られている事に気がついた僕は首を縦に振った。


「では、今日は解散します。 明後日の10時頃にそうですね…冒険者ギルドの前に集合して下さい。」


 結局アルさんがそう言ったことでもう文句も出ずに今日は解散になった。


 てか、集合場所は騎士団の居る所とかじゃなくて冒険者ギルドなんだ。


約剣(エクスカリバー)さんにシャーロットさん、アルゴンさんは私に付いてきて下さい。 宿を取りますので。」


 そう騎士団の人達が散り始めた頃にアルさんが申し出てくれた。


 僕はタウン初上陸という事でかなり不安があった事もあってとてもありがたい。


「騎士団の皆さんは…?」


 と、誰も(約剣(エクスカリバー)、シャーロット、アルゴン、アルさんの間で)喋らなかったのでシャーロットは適当なネタでアルさんに質問した。


「彼らは自腹です。」


 シャーロットにきかれたアルさんは容赦なくそう言い放つ。


「たまにお酒や服で宿代まで使ってしまう人達なので…彼らの分のまで宿代を払っていたら破産しちゃいます。 それに、皆さん(約剣(エクスカリバー)達)の宿代は国王様からも貰っていますし。」


 宿代までお酒に使うって、それって完全に騎士じゃなくて冒険者じゃん…アニメ知識だけど。

 やっぱり本質的には同じような者なんだよ。





 解散した場からタウンの中心部の方に少し歩いていくと、宿だと思われる建物が見えて来た。

 思われるというかシャーロットがのぼり旗を読んで宿だと言っている。


「ここで良いですか?」


 アルさんにそうきかれた僕は


「あぁ。」


 と答える。


 まぁ、良し悪しなんて僕にはよく分かんない。

 それにアルさんが選んでくれた宿なら悪くはないだろうという信頼も芽生えていたからだ。


 ガチャ。


 アルさんが宿のドアを開けるて僕らは宿に入ると


「いらっしゃいませ~。」


 そう宿の受付に居た人が出迎えてくれた。


「宿泊で?」


 挨拶をしてくれた受付の女性はアルさんにきく。


「はい、部屋を3つお願いします。」


 アルさんは財布をポケットから取り出しながら答えた。


 その事に対して僕には、「3つ…アルさんの分は?」という疑問が湧く。


「アルさんの分は良いんですか?」


 僕の疑問をそのままきくかのごとく、アルさんの分の宿代を使ってしまったのでは…と恐る恐るシャーロットがきいた。


「いいえ、騎士団の皆さんと同じ宿を取りますので大丈夫です。 明日、私にはやる事もありますし…。」


 アルさんは明日やる事があるってという地獄を事を笑いながら言ったアルさんは、宿の人にお金を払うと


「それでは明後日ギルドの前に集合して下さいね。」


 そう言ってアルさんは宿から出て行った。


 アルさん、かっこいいなぁ〜。

 さっさとお金を払って出ていくとは…見た目は子供だけど、完全にモテ男じゃん。


「ソレではお部屋を案内いたします。 皆様は2階に上がって頂いて。」


 受付に居たお姉さんは僕らの前に出て先導してくれながらそう言ったので僕らはお姉さんにつられて階段を登って2階に行く。


 ちなみに、階段はドアから受け付けまでの道を左に曲って少し行った所にあった。

 そしてその階段を上がり少し奥に進むとお姉さんが


「ここから3部屋201から203までを使って下さい。」


 と言って鍵シャーロットに全部渡すと、


「それと、朝ご飯は7時から8時半までですよ~。」


 最後にそう言ってお姉さんは1回に戻って行った。


 その朝ご飯の時間、僕とシャーロットは大丈夫だろうけどアルゴンは無理だろうな。

 アルゴンは後でグチグチ言ってくるから、シャーロットと明日起こすか…。


 それぞれ泊まる部屋を決めて鍵をシャーロットから受け取ると、


「では、お休みなさ〜い。」


 鍵を渡し終えたシャーロットがそう言って1番に部屋に入り僕も続いた。

 そこからはもう部屋でノンビリしてから寝たのだ。


 時間的にはおそらくまだ3時とかだったので、もしかしたら3人の中で1人くらいは外に出たかもしれないが今日はもう会うことはなかった。




―朝―


 「コケコッコー!!」とかの鳥の鳴き声ではなく、普通にというか自然に目が覚める。


 昨日は久しぶりのフワフワなベッド、久しぶりの安全な寝床、そんな事でぐっすり長時間寝れたのだった。


 今は何時頃なんだろう?

 この部屋には時計はなく、シャーロットは腕時計を持っていたのでシャーロットと合流する事にする。


 ガチャ。


 シャーロットと合流しようと自分の部屋のドアを開けると、


「あ、おはようございます。」


 バッタリとほぼ同じタイミングでドアを開けて廊下に出て来たシャーロットと顔があった。


 多分、僕のことを起こそうとしていたのだろう。

 シャーロットがアルゴンを起こそうとした事はほぼ決定だが…1人で起こすよりも2人で起こしたほうがアルゴンからの文句が少ないと考えたのだろう。


「では、アルゴンさん起こしますか。」


 やっぱりアルゴンを起こそうとしていたようで僕の顔を見るなりシャーロットはそう言う。


 時間をきく為にシャーロットに会おうと思ったのだが、アルゴンを起こす事に付き合う事になった。

 その後、僕らはアルゴンの部屋のドアの前に移動。


 コンコン。


 シャーロットがドアをノックしたのだが…


「反応がない…。」


「はい、やっぱり反応ありませんね。 は〜…入りますか。」


 案の定アルゴンから返事はなかったために部屋に突入する。


 ちなみに、何故か鍵はかかっていなかった。

 もしかしたらアルゴンは僕らに起こしてもらう事を見越しての事だったのかもしれない。


 シャーロットはズカズカと入っていくな…そう思いつつもシャーロットに続いて僕もズカズカと入って行って行く。


 ()()()


 シャーロットがアルゴンの寝ていたベッドの前まで来ると、そう叩いた音が鳴った。


「痛っ!!」


 叩かれたアルゴンはそう言って飛び起きる。


 そしてアルゴンが一発で起きたのに満足したのか、シャーロットは僕の方を向いて親指を立てて(グッドをする指で)グッジョブと言わん感じで僕の方を見ていた。


 いやシャーロット、グッドではないから…。


「もう朝ご飯の時間ですよ。」


 少し拗ねた感じのアルゴンにシャーロットが言と、


「だとしても叩かなくても…。」


 とアルゴンはやっぱり文句を言った。 


 アルゴンの文句にシャーロットは


「だって〜起きないじゃないですか…。」


 と。


 両方の主張は両方もっともだな。

 正直僕には何とも言えないので、特に何も言わいことでこちらにヘイトが来ないよう上手く立ち回った。


「…で、ご飯に行きます?」


「当たり前だけど…。 叩かなくても。」


 シャーロットはアルゴンと言い合うのが面倒くさくなってご飯に行くかきいたが、アルゴンはまだ少し言ったが、


「まぁ、いいや。 行こう。」


 アルゴンも切り替えて皆でご飯に行くことになった。


 そして皆で階段を下って1階に降りていくと


「おはようございます。」


 昨日の受け付けのお姉さんが食堂に案内してくれた。


 食堂の場所は昨日僕らが部屋に行った道と真反対。

 お姉さんにつられて食堂に入った。


「この宿ではご飯の代金も最初に払っていただいているので、食べたいものを話してもらえれば食べられます。」


 そう説明まですると受け付けのお姉さんは入口の方へ戻った。


 食堂はバイキング形式ではなく、料理屋さんのように席に座って店員さんに食べたい物を注文していくシステム。

 雰囲気はフランス料理店のような洋な作りだった。


 メニューには何があるんだろう?

 そう何を頼もうかウキウキしながらメニュー表を見ると、


「…。」


 A定食とか、B定食としか書かれていなかった。


 普通は何か名前が書いてあるでしょ、ポテトの何とかだとか肉の何とか丼とか…。

 まぁでも、この世界の食べ物を名前を知らない僕には関係のない話である。


「すみません、注文良いですか? 私は…A定食…?」


 シャーロットが食堂の店員さんを呼んで注文したが、何が出で来るか理解していない感じで恐る恐る「A定食」と言っていた。


「B定食で…。」


 僕はシャーロットと同じ物は少しつまらなそうだと思ったのでB定食を頼んでみる。

 どんなのが出て来るか分からなくて少し怖いけど…。


 ちなみにアルゴンはまだ悩んでいるというのが店員さんにも伝わったのか、僕とシャーロットの注文を聞いたら一旦厨房の方に行ってしまった。


「アルゴンさんはどうするのですか?」


 人は厨房に行ってしまったが、シャーロットは「君も速く何か選んで」とアルゴンを急かす。


「すみません、もう一度お願いします。」


 その急かした雰囲気のままシャーロットが人をまた呼んだ。


「う〜ん…A定食って…」


 急かされたアルゴンはシャーロットと同じA定食らしい。

 せっかくなら皆違う物が良いと思うけど…。


「A定食って何が付いてくるの?」


 アルゴンが店員さんへ質問した事を聞いた僕とシャーロットは


「は!?」


 という驚いた反応。


「アルゴンのさん、そういうのはシークレット的なやつなんじゃないんですか…。」


 「シークレットを、自分は分からないもの頼んだのに!」と訴えるような目でシャーロットはアルゴンに言う。


「いえ、別にシークレットとかではありませんけど…。」


 シャーロットの言葉にはそう店員さんだ。

 店員さんは続けて、


「A定食はパンにトロ~リとしたスープ、他にはベーコンなどですね。」


 と各定食の説明を始めた。


 A定食は地球でいうと、フレンチっぽい感じの朝ご飯だろうか。


「B定食は季節のお魚が少しと、お米にスープです。」


 僕が頼んだB定食は地球でいうと和食のようだ。

 …スープは味噌汁みたいな物でいいのか?

 流石に季節のお魚にお米ときて、コーンポタージュみたいのはないよね…。


「C定食は細麺です。他に何か1品とかではなく、麺の上に具材がてんこ盛りに乗っています。」


 細麺って…何の麺だ?

 細って言うから、うどん系じゃなくて蕎麦とかだろうか。


「じゃあ、C定食で。」


 アルゴンは興味満々でC定食を注文した。


 細麺がかなり気になるからちょっと貰って食べてみようかな…。


「まずはA定食とB定食の2つですね。」


 少しすると注文した順番通りに僕とシャーロットのが来た。


 僕が食べたのは、説明してもらった通りにお米と魚にスープとは味噌汁その物。

 魚は地球では食べたことのないような見た目で、体は細長くてサンマみたいな…でも顔は細いわけじゃなくて、鮭のゴツいやつみたいな感じ変な体をしていた。


 まぁ普通に美味しかったからいいけど。


 シャーロットが食べたのは想像通りのフレンチ系のような物。

 トロリとしたスープとはポタージュ系のスープだろう。


 少ししてから来たアルゴンが頼んだ細麺とは地球でいうとラーメンのような物。

 アルゴンは美味しそうに食べていたし僕も食べたいとは思ったけど、朝からラーメンは…。




「では皆食べ終わりましたし、出かけますか?」


 後からご飯が来たアルゴンが食べ終わると、シャーロットがそう提案する。


「俺はもうちょっと寝たいから置いてってね。」


 が、アルゴンはそんな感じで断った。


「…そうですか。 約剣(エクスカリバー)さんはどうしますか?」


「腕時計が買いたいな…。」


 皆で出かけたかったのか、シャーロットのテンションは少し下がった。


 僕はここで前々から欲しいと思っていた時計を買いに行くことにした。

 この2人と出会って直ぐくらいから時計が欲しかったくらいだ。


 シャーロットには申し訳ないが、1人でノンビリ行くつもりである。


「では、暇ですし私も付いていきますね。」


 僕は1人で行こうと考えていたが、シャーロットは一緒に行こうと言ってきた。


「1人でいいんだけども…。」


 うん、普通に1人でいい。

 僕は全面的に「No」を出してそう言うが、


約剣(エクスカリバー)さんはこの世界で買い物をしたことはありますか?」


「いや、でもコメスさんに簡単に習ったし…。」


 シャーロットにきかれた僕は100点満点の回答をした。

 こういうときのためにコメスさんからお金について簡単に習ったわけだし。


 たが、


「時計の相場知ってます?」


 そうシャーロットに言われてノックアウト。


 いくらお金があると言っても金銭感覚は日本に居た時と変わらないので、ボッタクられるととても悔しいだろう。

 ボッタクられないためにも僕はシャーロットに「お願いします。」と頼んだ事で2人で行く事になった。


 陰キャとしてはやっぱり1人行動でボッチ買い物が好きなのだが…。

 そうマイナス気分だったのだが後々考えると、これは人生初のデートが決まった瞬間であった。

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