第5話「商人との出会い。」
神かよ…。
軽く鋪装された道を見た時に僕はそう思った。
実際に日本でこんな道を見たなら神でも何でもなくゴミ道だろう。
というか、車に乗って走ったらガタガタなんてレベルではないと思う。
が、さっきまで森の中を歩いていた僕からすると少し鋪装されているだけでも神だったのだ。
「タウンまでは後今日を含めて3日程…森を予定よりも速く抜けれましたので、後2日程で到着すると思ます。」
さらに神な事がアルさんから伝えられる。
1日も速くタウンに着くかも知れないらしい。
予定から1日もずれるって…あの森にどんなモンスターが居ると想像してたんだよ。
かなり検討外れでゴブリンくらいしか出て来なかったし…。
もしかしてだけど騎士団ってけっこう適当だったりしちゃう?
それから僕達は森から出てその簡単に鋪装された森よりは歩きやすい道を歩いて行く。
「森より断然歩きやすいですね。」
かなり感激顔のシャーロット。
「はい、そうですね。」
アルさんからしてもやっぱり森よりは歩きやすいらしい。
というか騎士団だから多少慣れてるとはいえ、やっぱり森道は歩きずらいよな…。
「大きな都市の周辺の道はもっと歩きやすいんですけどね…。」
アルさんは笑いながら話した。
日本の道路くらい凄かったら嬉しい。
…あれ、スモールシティの周辺の道はこの道と大差なかったと思うけど。
まぁ、スモールシティも町とは言ってもスモールって付いてるし?
村とかと比べるとデカいとは思うけど、他の町と比べると比較にならないくらい小さな町なのかもしれないな、スモールってあるわけだし。
まぁ歩道された道以外も、何だかんだ言ってタウンに行くのは楽しみだ。
もしかしたらスモールシティは日本で例えるなら北海道のホントに田舎くらいで、タウンは古くから在る街らしいし日本の京都レベルに発達しているかもしれないかも。
というか、していて欲しい。
今までのようなノンビリ異世界冒険生活も良いけど、やっぱり楽したい!
もう少し歩いて行くと僕らが歩いている道は森を完全に抜け平原、完全に開けて見通しの良い野原の様な場所に出た。
森とは違い遠くの山も見え、風がサ〜と吹き抜けていく。
春の優しい風のようで気持ちと気分がとても良い。
そう言えばこの世界の今の季節は何なんだろう?
スモールシティに居た頃は日本に居た時と同じお夏だと思っていたが…今ここでは春に吹くような少し涼しくても暖かさのある風が吹いているし。
…と言うか、季節はあるのか?
そう言えばだけど、アルさんが少し山の近くを通ると説明していた気がする。
ということは、多分この辺は山の高原の様な場所なんだろう。
僕らは春一番の様な風が吹いたり遠くの山の景色とかが見えたりして全体的にマッタリした雰囲気の中で2,3時間くらい歩くと、
「少しこの辺で休憩してお昼ご飯を取りますか?」
アルさんから提案があり僕はピクニックみたいだと思い、断る理由もないので賛成したことでここで休憩となった。
「では、私達がお昼の準備をしますね。」
アルさんがそう言っていつも通り騎士団の人達が料理を作ってくれる。
別に作って貰っている立場なので特に何かは言えないが、(多分何か言えばシャーロットからもグチグチ言われるだろうし…。)毎回騎士団の人達が作ってくれる料理は毎回ちゃんと美味しい。
美味しいのだが…毎回同じ料理なので流石に飽きてくる。
やっぱり旅をするなら腐らない物などの色々あるのだとは思う。
しょうがないとも思うが、見た目がカレーぽいものがほぼずっと続いていた。
具材もほとんど変わらず毎回同じ。
カレーなら作るのは楽だ。
ちなみに僕でも作れる。
結局言いたい事は、今はピクニックに居る気分。
つまりカレー風な物ではなくサンドイッチ的な物が…パン系が食べたい!という事。
「まぁ今日もカレー風な物か…。」と諦め騎士団の人達が料理を開始しようとするのを横目に遠くを見ているときだった。
騎士団の後方からおそらく誰か近付いて来ている事に気が付いた。
馬車みたいな物も見えるのでゲームで言う山賊系の戦闘を仕掛けて来る人達ではないと思うが…太陽の影でよく分からない。
多分、ただの仕事中の業者さんか何かだと思うのだが…。
「おい、従事する黒い影が来る!」
と、何が来ているのか不安な僕は騎士団の人達に(特にアルさんに)言った。
厨二病言葉を使った理由は…察してくれ。
僕の考えでは旅人とかと思っていたため、なんとなく頭に入れといてくらいだったのだが…。
珍しく僕が口を開いた(アルさんとかの特定の人だけではなく騎士団全体の前で)事とヤバそうな厨二病言葉だった事で、騎士団の人達は「危険な物か?」という雰囲気で武器を持って構えてしまった。
どちらかと言うと、従事と言う不思議な言葉を勇者の僕が発した事でビビってる感じだ…。
この世界には日本の言葉でもない物があるのかもしれないな。
そして、変に警戒させてしまって僕は悪く思っていると
「…おそらくあれは商人ではないですか?」
とシャーロットが言い、その一言で皆の緊張が解けた。
…本当にごめんなさいでした。
もう少し上手く伝えれるようにしっかりと意見も言った方が良いなと思った。
騎士団全体ではなくてまずはシャーロットに伝えておけば良かっただけだったかもしれないが…。
そして馬車が近づくにつれて騎士団の人達の中でも「ほぼ100%商人ではないか?」ということになった。
本当に、なんか警戒させてすみませんでした。
そしてその人が近付いて来ると商人で間違いなと、騎士団の人達の間で話がまとまったようだ。
つばのある黒色の帽子、英語だとhatと言う感じの帽子を被っている男性。
だが…どちらかと言うと商人よりは「執事だろ!」っと言う服装だ。
全身黒色の服を着ているし…アニメでは完全に執事の服装なんだけどなぁ。
身長は普通に高くておそらく170後半、下手したら179,180センチを少し超すくらいでスラッとしている。
そして顔には髭、どちらかというとちょび髭で清潔感が見えるような、紳士という感じの人。
その人は近づく内に僕が勇者と言う事は分からなくても騎士団の人達が居るという事には気づいたようで、僕らをスルーすることなくこっちに来た。
近くに来ると、その人はペコっとお辞儀をして
「ラファルク王国の騎士団の皆さん、そしてそちらの勇者様方パーティーの皆様、はじめまして。 自分は商人のコメスと申します。」
コメスと名乗る人はそう挨拶をしてくれた。
挨拶をされた時は、僕が勇者と言うことも知っていた事について「なんで知ってるの?」って感じだったが…この時にはラファルク王国の国王様が他国にも僕の事を知らせてしまっていたらしい。
ちなみに、この人が「皆さん」でまとめないで「そちらの勇者様方」と言ったのはおそらく僕が少し騎士団の後ろに居たからだろう。
「はじめましてコメス様。」
コメスさんの挨拶を聞いたアルさんがそう返した。
「どうやら、お昼休憩ですか?」
アルさんの返しを聞いた後、コメスさんは警戒を解いてご飯の準備をしている人も居た僕らを軽く見てからそう言う。
「はい、そうです。」
とアルさん。
「パンが食べたい。」
と、アルさんとコメスさんの会話を聞いていたであろうアルゴンがこのタイミングで言った。
商人さんならパンくらい持っていそうだし、流石にコレは狙ったのだろう。
「…馬車にありますよ。 食べます?」
アルゴンの話を聞いたコメスさんは優しい声でそうアルゴンに返した。
「アルゴンさん、流石に…。」
シャーロットはコメスさんに申し訳ありませんという顔をしながらアルゴンにそう声をかける。
だが、コメスさんは「どうぞ」と言ってパンを馬車の積み荷の中から取り出してアルゴンに手渡してしまった。
「あ、じゃあ私も…」
アルゴンがパンを貰えたのを見たシャーロットが「欲しい」と言いかける。
が、アルゴンに注意した事もあってシャーロットはハッとなって言いかけただけで欲しいとは言えてない。
そんな中、
「俺も貰おう。」
僕も欲しかったので、シャーロットの様にアルゴンに言った訳ではない僕はシャーロットの方を少し見ながら素直にそう言った。
ちょっと意地悪感が出ていたかもしれないな。
「皆さんの分も差し上げますよ。」
一連の様子を見ていたコメスさんが軽く笑いながら皆にパンを渡してくれた。
「ヤッター!」
と、パンを受け取ったシャーロットはテンション高く喜んでいる。
逆にアルゴンは、
「チッ」
自分に注意したシャーロットも貰った事で舌打ちをした。
貰ったパンはバケットみたいなやつ。
バケットも良いんだけど…僕は完全に食パンをイメージしていた。
でも見た目はバケットだっただがそんなに固くなく、食パンみたいにフワフワではないがガリッとはならないくらいの固さだった。
まぁなんだかんだお昼はパンを食べれると言うことでさっきよりさらにピクニック気分である。
「…やっぱりパンは美味しいっすね〜。」
ご飯の準備が終わっり、皆がご飯を食べ始めて少し経った頃に騎士団の1人がそう言った。
騎士団の人でも毎回同じ食事は辛いらしく、
「そうだよね〜。」
「飽きるしね。」
などと、最初に言った人を筆頭に次々と声が出て来た。
「そんなに文句は言わないで下さいよ。」
と言ったのはアルさん。
そして、
「勇者様が一緒に行動していると言うことで、国王様にいつもより良いご飯を食べられる様にしてもらっているんですから…。」
続けてアルさんは「頑張りましたよ…。」という感じで説明した。
つまり…いつもはこれよりも美味しくないのか。
いや、美味しくない訳ではないんだけど…。
いつもはもっとシンプルなご飯が本当に毎日って事…。
騎士団はとても辛いですね。
そんな事をワイワイ話したりもしていたが、何だかんだ僕らや騎士団の人達、いつの間にかコメスさんも近くで一緒にご飯を食べていた。
「コメスさんは今どこに向かわれているんですか?」
と、ご飯を一通り食べ終わっていたシャーロットがきいた。
この辺の道を通っていると言うことはタウン1択だろうと僕は思ったが
「私はクメシアルに帰る途中ですよ。」
コメスさんはそう答えてくれたのだった。
まぁ確かに、商人ならタウンに行くよりかはクメシアルに行くよな。
「そうですか…では後1日は同じ道ですね。 ご飯のお礼も兼ねて護衛として途中まで同行しても良いですか?」
と、僕らの話を聞いていたアルさん。
何だかんだ言って、アルさんもパンが嬉しかったのかな?
だが冷静になってコメスさんの方を見ると、コメスさん以外には誰も居ない。
アニメじゃ大抵はモンスターが出たりしてしまうから護衛を雇うんじゃなかったけ…?
「では騎士団の皆様、勇者方様、お願いします。」
少し考えてからコメスさんはお願いした。
「この辺のモンスターならおそらく商人の方々でも簡単に倒せるレベルですけど…ここから先はたまにとても強いモンスターが出るときがありますからね。」
アルさんいわく、そうらしい。
商人でも倒せるモンスターはゴブリンの事かな?
アルさんが「とても強い」と言うことは…これから僕は魔法を使わないとかもだ。
その時は僕がそんな強くないって事をバレないようにしないといけない。
まぁ、騎士団の人達がどれ程の魔法を見たことがあるかは分らないけど…。
「…スモールシティに居た人達の反応的にはファイヤーボールで何とかなるか!!」と気楽に現実逃避…いや、気楽に行くことにした。
あの場を出発して今はコメスさんが馬車の手綱を引いて馬車をゆっくり走らせ、僕らはその隣を歩いている。
「…勇者様、乗ります? パンのお礼と言うだけで護衛をしてもらうのも良くないので。」
コメスさんは歩いている僕らを見るとそう言ってくれた。
正直僕はメチャクチャ乗りたい。
「え、俺乗りたい!」
と遠慮なしにアルゴン。
アルゴンなら言うと思った…。
シャーロットが何か言うとも思ったが、コメスさんからの提案と言うこともあり特に何も言わない。
それどころか、シャーロットも馬車に乗り込もうとしていた。
ということで僕も馬車に乗ったが、騎士団の人達は馬車には乗らなかった。
せっかくだから休めば良いのに…。
―馬車に乗ってから少しの沈黙―
「勇者様は商業等に興味はおありですか?」
沈黙を破る様にコメスさんがそう僕に話しかけて来た。
コメスさんに言われた事…正直、勇者とか言う良く分からない物よりは興味がある。
未だに勇者がよく分からないもん。
まだゴブリン以外でちゃんと戦った事もないし…。
「…私はパスします。」
僕ら皆に教えてくれそうな感じだったが、シャーロットはそう言ってパスした。
シャーロットは戦う事は向かないから商人になった方が良いと思うけどな…。
「なんせ、国王様からお金をタンマリ貰ってしまいましたしね。」
シャーロットは笑顔でそう言った。
思い返してみれば…確かにその通りで、国王様から沢山貰ったためにお金を稼ぐ必要は全然ない。
なのだか、この世界の金銭感覚などが全く知らないので、
「あぁ、少し頼む。」
商業について教えてもらえれば、なんとなく分かるような希望を持ってお願いした。
それに金銭感覚が分からなくてお金持ちな今、僕は地球で言うお金持ちのボンボンみたいで嫌なのだ。
「そうですか。 では簡単にそうですね…アクセサリーくらいは売れる程度お教えしましょう。」
とコメスさんからの提案だ。
アクセサリーを売れる程度ってどういう事だ?
セールスの上手なやり方でも教えてくれるのだろうか。
正直、教えてもらうのは金銭感覚だけで良いんだけどな…。
長くなっても正直面倒くさい、さてどうしようと僕が考えていると
「そう言えば…勇者様はおそらくこの世界でのお金のことは詳しくないと思うので…物価等を教えて欲しいかもです。」
と、アルさんが言ってくれたため、お金について簡単に教えてもらう事になった。
「まず大前提ですが、この世界のお金の単位はピソです。」
そう言うとコメスさんはポケットから銀色のコインを取り出して僕に見せた。
ピソか…当たり前だけど、馴れない物だ。
今まで「100円」と言っていたものが「100ピソ」って言わないといけないのか。
「え〜基礎知識として、季節にもよりますがりんこの値段は大体300ピソくらいでしょう。」
りんごいや、りんこが1つ300円…300ピソだとしたら日本とほぼ同じくらいの価格というか価値じゃないか?
てか、今は関係ないけどちゃんと季節あるんだ。
「基本的な料理屋などでしっかりとご飯を頂くとしましょう。 大体、1000〜1500ピソくらいでしょう。」
コメスさんがそう言うと、教えてもらわないと言ったはずのシャーロットが「へ〜。」という顔をしている。
まぁシャーロットの事はほっとこう。
この世界ではご飯の値段も大体は日本と同じようだな。
「クエストを受けて受け取る事のできる金額は難易度にもよりますけど、ゴブリン退治ですと1匹200ピソですね。」
最弱なモンスターだけあってやっぱり安い。
1匹200ピソ…本当にゴブリン退治はグロいくせに割に合わない仕事だ。
てか、こんなにもお金が貰えないのにも関わらずパーティーを結成した当初はゴブリン退治しかやらなかったのか…。
そりゃあ、お金がまったく貯まらないわけだ。
でも逆に、ゴブリン少し(5匹程)倒すだけで1日くらいなら普通に生活出来るんだ!?
それを考えると…ギルドではシャーロットがクエスト持って来てたけど、シャーロットって実はスローライフが送りたいのかな?
まぁ今はそんな事どうでもいいな。
「1番早く多くお金を稼ぐ方法はやはり冒険者ですね。」
コメスさんが説明を続ける。
やっぱりアニメと同じで冒険者は稼げるようだ…強ければだろうけど。
「高ランククエストでモンスターを倒せば一気にお金を手に入れることが出来ます。 もちろんとても危険です。」
コメスさんはそう言って僕らに注意をしてきた。
…僕らってちゃんと冒険者やってたんだけど…それに(ゴブリン退治しかしてなかったのもあって)そんなに危険は感じなかったんだけどな。
「少し安全な職業となるとこの国では…高ランククエストを受けての一獲千金などは出来なくなりますが、王国騎士団でしょうか。」
コメスさんはアルさん達騎士団の人達を見ながらそう言った。
パーティーの人数も桁違いに多くなるし冒険者よりも安全なのは理解できるが、高ランククエストを受けれないのは意外だ。
危険なモンスターは冒険者の他には騎士団がなんとかすると思ってたんだけど…。
「失礼しました、訂正ですね。 騎士団は高ランククエストを受けれないのではなく、解決しても王国から支給される金額は変わらない…と記憶しております。」
コメスさんは騎士団の人達の反応を見ると、思い出したようにそう話した。
僕的には、命をかけて高ランククエストを解決してもボーナスがないと地獄だろう。
ブラック企業に近そう…。
「…私から軽く補足です。」
と、ここまで話を聞くだけだったアルさんが右手を肩辺りまで軽く上げてから馬車の近くに来て言う。
「高ランククエストを解決すれば、多少ですけどもその月は金額が高かったりしますよ。」
アルさんは優しく、どちらかというと僕ではなくてコメスさんに教えるようだった。
やっぱりボーナスはあるらしいな
まぁ、ボーナスというのはかなり仕事に対するモチベーションに関わる物だし。
「騎士団の次は私達商人になりますね。」
コメスさんがまた話し始める。
アニメでは商人さんが騎士団を雇ったり冒険者を雇ったりしていたイメージだった事もあって、商人が騎士団よりも稼げる額は下という事はかなり意外な事だった。
「いえ…正確には、稼いでいる人と稼いでいない人との違いがとても大きいということですね。」
コメスさんの言い方的には、さっきの説明は少し間違えたという感じだな。
思った事は、地球での職業関係に最も近いのは商人なのだろう。
社長さんはお金持ちだけど、アルバイトの人は金欠の人も多いみたいな感じ?
「稼いでいる人は、クメシアルのトップの方々だと…ラファルク王国の国王様くらいお金を持っている人もいらっしゃります。」
コメスさんは「全く大げさではありません」と付け加えて言った。
シンプルにそれってヤバいな、というのしか出て来ない。
僕、勇者辞めて商人に成るかも…いや、国王様からお金はタンマリ貰ってるからこれ以上稼ぐ必要ないんだった。
そもそもだが、僕は地球の自分の家に帰りたいんだよ。
本題の金銭感覚や物価はそこまで知れなかったが…最初の方の説明で、僕は買い物の値段を考える必要もないくらいお金をもらっている事が分かり、どうでもよくなってしまった。
今、馬車には御者席でコメスさんが馬の手綱を握っていて後ろのワゴンの座れる場所で僕とシャーロットにアルゴンが仲良く座っている。
ちなみにさっきコメスさんから説明を聞いている時に僕は業者席に座っていた。
だが別にワゴンでも問題なく御者席に居る人とは話せる構造になっている。
なので僕が話を聞く時御者席に居たのは、ただの礼儀とかの問題である。
「コメスさんはクメシアルの商人なんですか?」
お金の説明が終わって少し経った後にシャーロットがそうきいた。
さっき商人だろうってあなたが言ったでしょ…。
まぁでも、見た目は執事って感じをしているので気になるのは分かる。
「私はカール様と言う方に雇って貰っている執事でございますよ。」
シャーロットの質問にコメスさんはそう回答。
え…やっぱり執事なの?
…よく考えてみれば、勝手にこっちで商人と決めつけていたてただけでコメスさんの口から「商人です。」とは言われてないわ。
「カール様はクメシアルの議会のトップに居るお方ですね。」
と、今度はアルさん。
それってめちゃくちゃ凄い人じゃん!?
ならさぁ、「そんな凄い人の執事がこんなとこに居ても良いのか?」という疑問が直ぐに出て来た。
そんな事を僕がきこうかきかないか悩んでいると
「え!? コメスさん…貴方ここに居ても大丈夫なんですか?」
そうシャーロットが驚いた声できいた。
それは皆気になるようで、このシャーロットの質問に騎士団の人達はこの会話に耳を傾ける。
「えぇ大丈夫ですよ。 今私はカール様からお休みを貰っておりますので。 気分転換で出かけた次いでに荷物を運んでいる途中です。」
コメスさんは笑顔で答えたけど…休暇でも働いてる事になるくね?
メチャクチャなブラック企業じゃん…。




