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厨二病なのは認めるけど、本当に冒険したいわけじゃない!  作者: 水希
第1章 厨二病、異世界に行く!
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第11話「村からの依頼?」

「おはようございます。」


「…何時?」


 『今は何時なんだろうか? 僕の体内時計がまだ起きるなと言っている…(気がする)。』


 眠い眠いと無理無理開けた目には、正座をしてこちらを見てきているシャーロットの姿が見えた。


 シャーロットのおはようございますは、僕が寝返りをうって動いていたかつ、1人だけ起きてるのは…という事らしく声をかけたらしい。


 スタンドガラスから差し込んでくる日の角度的に、まだかなり早い時間な感じがする。


「まぁ、まだわりかし早い時間ですけど?」


ササ、ズバッ。


 シャーロットの返事を聞いた僕は、音を立てるくらい素早く寝袋の奥深くまに潜った。

 普通にまだ眠いのである。


「ちょっと!? 約剣(エクスカリバー)さん、起きて下さいよ!」


 シャーロットはさっきよりかは大きな声を出しているが…僕の寝袋防御は完璧。


 見た感じだと、まだアルゴンもウィリムさんもエラさんも起きてな居なくシャーロットだけだ。


 シャーロットが何でこんな時間に起きているかは置いておいて、どうせまだ行動する時間ではないはず。

 ということで僕はもう一度夢の世界に入った。




―時間が経って―


「起こしますか。」


「うん…フワァ〜。」


 シャーロットとアルゴンの話し声が静かな教会に消えていった。


 と思ったら次の瞬間。


 バシッ!!


 その静かで音が消えていくはずの教会に、けっこう大きな音がしっかり鳴り響いたのだった。


「痛!?」 


 『頭がかなり痛い…。』


 教会内でモンスターにでも襲われたのか?痛みよりもそんな恐怖から僕は寝袋から上半身を出した。


 すると、モンスターの様な怒り顔をしたシャーロットとアルゴンの2人だけがそこには居たのだった。


「叩いたのは…シャーロットだな?」


 アルゴンが叩いてくるイメージは出来ない、さらに状況的にシャーロットしかいないのだ。


「もう9時なのですけど…。」


 シャーロットから返ってきたのは私だと認めた様な返事。

 叩いたという事はかなり怒っているはずだが…言葉から怒りは感じなかった。

 それどころか起きたばっかに見た表情は、今見ると怒ってもいない中途半端な何ともいえない顔に見えた。


「そうだぞ…!」


 シャーロットに無理矢理賛同した感じのアルゴンの声はパンチがなく弱々しい。

 さらに、顔に至っては目が半分くらいしか開いていなかった。


 要は、怒っているようないないような2人だったのである。


 『ていうか…アルゴンは欠伸しちゃってるよ。 シャーロットは…』


「あれ、シャーロット。 何か髪の後ろの方にピョコンと立ってるぞ?」


「へ!? …マジ寝癖だ。」


 シャーロットは僕に指摘された箇所を手で押さえながら呟いた。


「そっかー、寝癖かー。(棒読み) …お前ら2人って、寝起きだったりするよな?」


「そ、そんなわけないじゃないですか! 嫌ですねぇ〜…。」


 寝起きを全否定しながらも、シャーロットは僕と合っていた目をどっかの方向へ向けたのだ。


「…そ。 じゃあ、ウィリムさんとエラさんは?」


 しつこい男は嫌われる。

 しょうがないのでここは僕が大人になり話を変えた。


「お二人なら散歩で外だと思いますよ。 …アルゴンさん、寝袋に潜らないでください。」


 自分は蚊帳の外で会話に入る必要がないと思ったのか、サラッと寝袋に入ったアルゴンをシャーロットが発見し、2人でアルゴンをひとまず引っ張り出した。


 アルゴンの行動で2人共寝起きという事を突き通すのに無理を感じたのか、はたまた何なのかは分からないが、シャーロットは僕の気遣いを潰して色々と言い訳を始めたのである。

 内容としては文句が多い様な、叩いたのは悪くないなんて言う様な言い訳だった。


 どうやら僕が2度寝した後、シャーロットも眠気に勝てず2度寝してしまったらしい。

 アルゴンは…もちろん、相変わらずさっきまでずっと寝ていたと。


 シャーロットはまた起きた後直ぐ、置き手紙に気づき手紙に9時頃に戻ると書かれていたために急いで僕らを叩き起こしたということらしい。


「そろそろ起きたかい? そんなに急がないでもいいよ。」


 ウィリムさんとエラさんが入って来たのは丁度、僕の水魔法でシャーロットが寝癖を直していたところだった。


 ちなみに、自分が寝癖を直している所を僕ら(僕とアルゴン)以外に見られた…!?というシャーロットの顔は傑作だった。

 そもそも、叩き起こした僕に頼み事をすると決めた時の顔も良かった。


「…いえいえ、別に。 焦ってはないですよ。 」


「本当に? では、そろそろ洞窟に行こうか。」


 準備が終わったと言わんばかりのシャーロットの髪からは、まだ水が少しポタポタと垂れている。

 明らかに僕は、多分アルゴンも準備は終わっていなかったのだが、見栄を張ろうとしたのかのシャーロットである。


約剣(エクスカリバー)さん、風魔法をください。(小さな声) !? はい、行きましょう!」


「そう? じゃあ行きましょうか。 何が起きるか分からないから、くれぐれも油断しないようにね。」


 僕が風魔法でシャーロットの髪を乾かしているのを見て返事を聞いてのエラさんはシャーロットの見栄に乗っかるかのごとく今すぐ出発する感じを出している。


 そんなわけで僕とアルゴンは急いで仕度をした。

 なんだかんだウィリムさんとエラさんは僕ら2人を待ってくれ、準備が遅い事に不満そうな顔をしていたのはせっかちシャーロット1人だった。




「…朝のお散歩はどうでしたか?」


 教会を出て洞窟に向け少し歩く森に入ったくらいのタイミングで、教会から続いていた沈黙が耐えられなくなったと言わんばかりにシャーロットが口を開いた。

 かな〜り気不味い空気が謎に流れていたのだ。

 だが、それを気にするのは僕とシャーロットの2人だけという謎の謎。


「静かで涼しく良かったわ。」


 正直、天然なのかなんなのか分からないが、エラさんは人目を気にせず堂々と伸びをした。

 僕とシャーロットはくぎ付け、残念ながら欠伸で目を閉じていたアルゴンも確実に見たであろう程にちょっと、普通に…いや、かなりエロかった。


「そうだね、モンスターには出会わなくてゆっくりと歩いて回れたよ。 君たちは良く眠れたかい?」


「あーうん、良く寝れてさっきまで寝れてて、あ…うん、良かったよ。」


 やる気のないとりあえず返事をした感じのアルゴンはシャーロットを見るなり何か感じたのか、さっきまで寝てた事をはぐらかしていた。

 が、もう既にやる気がない事がバレていたようでウィリムさんにエラさんは笑顔で話を聞いていた。


「ウィリムさん、さっきさらっと言っていましたが、森を散歩していたんですよね?」


 シャーロットは、今の一連の流れを全く笑う事なく、アルゴンに起こるわけでも呆れるわけでもなく深妙な顔をしていた。


「あぁ、森であっているよ。」


「それ、おかしくないですか? 昨日森を探索した時もですけど、森にモンスターも動物も出なかったんですよ…。」


 シャーロットに続き話を聞いたウィリムさん、エラさんまで深妙な顔を仕出してしまい、その空気感から僕らは少し立ち止まった。

 僕だけ分かっていない感が出ている…いや、流石のアルゴンもよく分かっていなさそうな顔で立っていてくれた。


「昨日、動物も見なかったのかしら?」


「はい。 昨日はたまたま出会わなかっただけだと思っていましたが…本当に何も居なかったとすると、その洞窟やその近くの森には何かがありそうですね…。」


 何だか物騒な話になっていきそうな雰囲気である。

 僕自身アニメ好きな男の子ではあったが、全くもってハラハラ・ドキドキなんて展開はゴメンである。


「シャーロット、それくらいにしろ!」


 このままシャーロットが話を続けると、アニメでのお約束ごと。フラグが立ってしまいそうだったので僕は話に割って入った。


約剣(エクスカリバー)さん、何ですか? 軽く怒っているような口調で…。」


「怒ってはないけど…。 さぁ行こう!」


「じゃあ、何なんですか? ちょっと、聞いてます? スタスタ無言で行かないでください!」


 シャーロットにこれ以上絡むと説教が飛んでくるかもしれない。

 それと、さっさと洞窟に行ってないもないことを確認して気楽になりたいという事でこの場に立ち止まったパーティーを力ずくで動したのだった。

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