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厨二病なのは認めるけど、本当に冒険したいわけじゃない!  作者: 水希
第1章 厨二病、異世界に行く!
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第10話「臨時のパーティーメンバー!?1」

『カッコいい大人の声の人だ…。』この男性に話しかけられてまず思った事は、どうでもいいがそれだった。

 実は、この世界に来てから時間が経ったが、成人したカッコいい大人の声を聞いたのは初めてだったのである。

 お爺さんはシワれたような声だった。

 そしてタングは、あの見た目で声が高く可愛い感じの声だった。


 『正直需要はけど…タングの声の事をギャップ萌えと言うのだろう。 いや、別に今こんな事考えてもなぁ…。』


 とにかく、今度は声ではなく容姿に目を向けてみた。


 男性は、声は渋くてカッコ良かったが見た目は特段に渋いなどなく20代半ばくらいで、タングと同じくらいにイカツイ体格。

 髪は短げで黒色。特段に特徴的ではないが、目元はキリッとしておりイケメンに入る分類だ。

 服装は茶色と緑で迷彩とはいかないが近い感じで、見た目の極めつけには男性は背中に大きな金属の盾を背負っていた。


 『女性の方は…』


「このパーティー、まぁマトモなの居ないけど宜しくね。」


「え?、アルゴン!? 何言ってんの!?」


 色気を漂わせており、男性の方よりも気になっていたその容姿を確認しようとした所だった。

 アルゴンは急に、マイナスな事しかないような問題発言をしたのである。


 『自分は一切戦わないアルゴンが自分の事を棚に上げて話してる…。 てか、僕はマトモだと思うんだけど!?』


「アルゴン! あのねぇ…」


「そ、そうか…まぁ…宜しくだね!」


 アルゴンに注意をしようと思っていた時、男性がそう言って握手を求めてきた事で僕はここには初めて会った人がいる事を思い出した。


「ゴニョゴニョ…評判を落とす行動はよしてほしいんだけど…ゴニョゴニョ…。」


「うん!? どうかしたかい?」


 コミュ症が発動した僕は一旦、ツッコむ声のボリュームを下げて一歩だけ後ろに下った。

 ボリュームの低い声を問題なく聞いた男性は、アルゴンと先に握手をして僕に一歩近づいてきた。


 距離の詰め方に話し方、諸々の行動からこの男性は苦手な熱血タイプなのかもと思い、僕はまたさらに一歩後ろに下った。


「い、いや何も。 知っていると思うが、この俺は約剣(エクスカリバー)だ。 よろしく頼む。」


 一歩下った後、僕はとりあえず、厨二病ポーズを取り握手をした。


「えっと、この2人はどちら様でしょう? もしかして…新しいパーティーメンバーですか!?」


 『そろそろ手を離してよ…』そう思ってきた頃、お金を貰って戻って来たシャーロットが声をかけてきてくれた。

 お金を手に握りこちらを見て笑いながら固まっているシャーロットの目はキラキラ輝いていた。


「こんにちは。 2日間、臨時でパーティーに入れてもらう事になったの。 私はエラ。 彼はウィリムよ。」


スッ。


 ウィリムと呼ばれた男性からちょうど良いタイミングで手を離せた僕は、ここでやっと女性の方を見れた。


 第一に目を引いたのは紫色でショートの髪の毛に、174センチの僕と同じくらいの女性にしては高い身長。

 トロンとしており、そして右の涙袋にホクロという目からはエロい雰囲気が出ている。

 服はほぼ黒で露出もまぁまぁという、シンプルに可愛いシャーロットとは違った方向で目を引く姿だった。

 さらに、声というか喋り方はエロく甘い感じで所々で会話中に僕ら3人と目を合わせてきていた。


「臨時ですか…。 2日間だけというのは勿体ないですが、よろしくお願いしますね!」


 綺麗なエラさんからの視線に少し照れた様な反応をしながらシャーロットは丁寧な挨拶を返した。


 『シャーロットって…なんだかんだで常識的だな。』


 シャーロットとエラさんの絡みを見ていた僕の頭には、美少女と美女のコラボ!とかではなく、何故か自然にそんな事が浮かんだ。


 『何よりシャーロットがこのパーティーに無理やり入って来たのも、ここ外のパーティーには入れなくて追い詰められていたみたいだったし。 …てか、臨時って?』


約剣(エクスカリバー)さん、臨時って何それみたいな顔をしていますね…。 知りません?」 


 考えが表情に出ていたのか、シャーロットはそう言って僕に話しかけてきた。


 隠すことなくシャーロットの言う通りである。

 どの異世界系アニメでもそんな単語はなかった。

 ギルドでの事項的なものもあるらしいのだが…文字は日本語でもないしもちろん見ていない。

 

 『臨時とは?で検索できた時代が懐かしいなぁ〜。』


 シャーロットは説明をしてくれそうな感じだったので、僕は首を縦に振りお願いした。


「しょうがないですね~。 説明してあげましょう! 臨時とは言葉の通り、臨時で少しの間パーティーに入ってそのパーティーの雰囲気などを知るための物ですよ。」 


 シャーロットはいつも通りの(人が知らない事を教える時の)嬉しそうな勝ち誇った顔をしながら説明をしてくれた。


 『この勝ち誇った顔…凄げぇムカツク…。』


 そんなシステムがあるなら、パーティーメンバーの選別的な事は出来たはず…。

 そんな事実を勝手に無理無理入って来たシャーロットの口から言われたような気がしてしまった僕は、衝動的に拳が突き出してしまいそうで色々と頑張って抑えていた。流石にDVはできない。


「まぁ大抵、臨時というのはパーティーとかで何か問題が起こってしまった時に使う物ですけど…。」


 説明を終えた後のいつものシャーロットのスカした口から出た言葉は何気なく、意味はなさそうなスカしたいだけの感じの言葉で、さらにムカついた。


「とりあえず、パーティーのリーダーは約剣(エクスカリバー)さんかしら?」


 メンバー募集要項はまだギルド内に掲示してあるはずだ。

 『エラさんにウィリルさんも、アルゴンと同類のそういうの読まない人達ですかねぇ?』


 まぁただ、募集要項を読んでいたとしてもここまでの絡み方的にはシャーロットの方がリーダーに見えるのかもしれない。

 僕はたまに厨二病言葉で話すだけで、ウィリムさんとエラさんにはシャーロットが積極的に話しかけていた。


「無論、この俺約剣(エクスカリバー)である!!」


 久しぶりに厨二病全開の声の低い挨拶。ちゃんと左目を隠すポーズも取っている。

 

 引かれるかもしれないが、このパーティーのリーダーは自分だとここでしっかり認知してもらいたかったのだ。

 実際、積極的に人とコミュニケーションを取るシャーロットがパーティーリーダーだと認識している人もギルド内には多いのである。


「…約剣(エクスカリバー)さんって、あんなキャラクターでしたっけ?」


 いつの間にかのタイングで僕から少し離れて居たシャーロットの口から高ダメージ攻撃が飛んできた。


「…。 まぁ、何かあったら俺に頼むぞ。」


 シャーロットの様なやじ野郎は学校に通っているときでも居た。

 一番の対策としては、無視する事である。


「まぁそうなんじゃない? 少しそんな感じのオーラはあったし…。」


 こちらもいつの間にかに、シャーロットと同様に僕から離れていたアルゴンである。


 『…グスン。』


 無視をして自分はそんなやつじゃない感を出しては居るが、無視している時に限ってよく聞こえ、自分に来るダメージは大きい…。


「そんな感じのって…どんな感じですか…。」


 そんな感じにまぁ、シャーロットとアルゴンはうるさかったが、ウィルムさんとエラさんは特に突っ込む事も笑う事もなかったので僕は


「何かやりたいクエストでもあるか?」


 2人の言葉にダメージを受けていない風の雰囲気を出しながら、パーティーリーダーらしく提案をした。

  

「それなら…近くの村から依頼が来ているこれなんかどうかしら?」


 エラさんはクエストボードに行くなり、クエスト用紙をとって来て僕らにきいた。

 きいたと言っても、クエスト用紙をとってしまっているので、どちらかと言うと答えは「Yes」と決まったような物だが。


「俺はそれで構わん。」


「そうですね…。 村からの依頼というのは基本はどんなクエストか全く分かりません。 難しかったり簡単だったり色々です…」


 僕が即答したのとは対照的に、シャーロットはエラさんからクエスト用紙を受け取ると渋るような雰囲気と共に喋りだしたのだ。


「というもので、大抵はですよけども…」


「よし、ソレにするぞ!」


 シャーロットの説明を遮って、パーティーリーダーの僕はそう言った。


 シャーロットは言葉を遮りられて、なおかつ「Yes」と決められたことでかなり、凄く約剣(エクスカリバー)を睨んだ。

 「普通に失礼だなぁ」や「…私の言葉を遮った!?」という内心、まぁまぁ拗ねかけてもいた。


「決定だ決定!」


 結局、シャーロットから可愛いよりも怖い視線が送られていたが僕はスルーし、宣言系で話を進めた。


 シャーロットを無視して話を進めた理由。

 それは、まず知識自慢はそんな聞きたくなかった。

 シャーロットの知識は多分ゆうてだし、歳上のウィリムさんとエラさんの方が知識は絶対にあるからである。


 そして一番の理由は、シャーロットの決定を待たずにクエストボードの近くで(人が多い所で)決定する事で、おのずと僕がパーティーリーダーに見えるという作戦だった。


「じゃあ、これに決定で良いですか?」


「わ、私は反対です。 何故なら大抵、そういうクエストは難しいと聞いたからです!」


 「Yes」雰囲気の中、シャーロットはまだ「No」を強調する。


 シャーロットはうるさかく、謎にアルゴンも不満を抱いてはいたが、多数決。3対2でそのクエストに決まったのだった。


「村の場所はここから近くて2時間もかからない場所だよ。」


 熟練の冒険者の如く、地図を見ずに場所を言ったウィリムさん。

 

 2時間もかからなと言う事は、裏返せば1時間はかかると言う事。

 馬車は(料金が)高いだろうし、歩いて行く事になる可能性が高い。


 『もっと近場な楽なクエストで良かったかも…。』


 多数決で決めたが、賛成派筆頭の僕の頭にはそんな事浮かんでいた。

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