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厨二病なのは認めるけど、本当に冒険したいわけじゃない!  作者: 水希
第1章 厨二病、異世界に行く!
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第8話「また、ゴブリン退治」

ここまで手直し出来ています。

「さぁクエストを受けようぜ~!」


 能天気と言うか、昨日のシャーロット同様の何が悪いのか分っていない感と言うか…。

 まだアルゴンの特殊ムーブに圧倒され固まっている僕らとは違い、アルゴンはまぁまぁなハイテンションだ。


「…まぁそれが良いですね。とりあえずはクエストを受けましょうか…。」


「…あぁ。」


 アルゴンは1時間半遅れてきた。

 だが、行動をこのまま起こさなければ僕らは2、3時間は無駄にしてしまいそうだったので、無理にでもクエストを受けちゃおうと言うつもりである。


「じゃあまぁ、とりあえずのゴブリンでいいだろう。」 


「…3人も居るのにゴブリン退治ですか!?」


 テンション高めのアルゴン、選んできてくれ。

 そう言ったのは僕とシャーロットだった。が、予想外のゴブリン退治のチョイスに僕ら2人は戸惑った。


 正直、ゴブリン退治をやっていても宿を取って生活するくらいのお金は稼げはする。

 楽にお金を稼げる物ではあるのだが…ゴブリンの死体がグロい割には(僕にとっては)必要最低限の生活費しか稼げないのがゴブリン退治なのだ。

 シャーロットと2人でも多くなかったので、3人でゴブリン退治は賛成できなかったと言う事である。


「いやだって、お前らの戦闘スタイル知らないし。」


「…確かに!?」


 キョトンとしたアルゴンの言葉に、相当納得したのか表情筋も元通りのシャーロットだ。かなりハッとしている。

 僕はこれは確かに…ではないのだ。

 危うく僕もシャーロット同様に惑わさてしまったかもしれない。

 そもそもなのだが、アルゴンは僕の職業が魔法使いと知って加入したはずだ。シャーロット、アルゴンは自分で剣士だと自己紹介をしたんだよ。

 唯一、アルゴンはシャーロットの職業を知らないわけだが…シャーロットは荷物持ち、戦闘不可なので戦闘上の問題はないのである。


「って事で、ゴブリン退治に行きましょう〜!」


 だが僕はなんだかんだ、クエスト用紙を受け付けに持ってくシャーロットを止めようとはしなかった。

 2対1。僕がどんなに正当な反対意見を出した所で覆りはしない。

 …と言うよりは、僕は少数派で反対意見を言える程のメンタルを持ち合わせていないからである。




「あ、そろそろゴブリンの縄張りに入ると思いますよ。あ~、仕事してるの私だけ…。」


 ギルドを出て昨日と同じゴブリンの縄張りへ入って行って。昨日はこの辺でゴブリンを見つけたんだよな…。

 そんな時に初めてシャーロットからクエスト中らしい単語を聞けた。

 自分だけ仕事中などと愚痴も混ざっているが、ダラけながら空を見上げているシャーロットの姿は仕事と言うよりピクニック中の女の子である。


「フワァ〜…。俺もちゃんと仕事はしてるって。」


 シャーロットの文句に欠伸をしながらの矛盾を体現したようなアルゴンが反応した。


「あ、ゴブリンが見えたぞ。…てか、お前らしっかり集中しろよ。」


「…あぁ、そうだな。」


 数秒前の自分の欠伸を思い返してくれ。

 アルゴンに対しそう思いながらも周りを見渡すと、確かに20メートル程先にゴブリン4、5匹を発見できた。


「確かにですね。」


「よし、じゃあシャーロットはゴブリンを引きつけろ。このまま叢を右回してゴブリンの左手から出てこい。」


 シャーロットもゴブリンを見つけると、それを待っていたかの様にアルゴンは急に動き出した。

 まぁ、動いたと言うよりは指示を出しただけなのだが…。


「わ、私がオトリですか!?荷物持ちなんですけど?」


 急に指名されたあげく、オトリに抜擢されてしまったシャーロットは驚きよりも急な抜擢による怒りが強かった。


「お前、荷物持ちなの!?まぁ…いっか。ゴニョゴニョ…行け!」


「へ?は、はい!」


 だがシャーロットはアルゴンに強くゴリ押しされると、意外とすんなり受け入れ、アルゴンから何か追加で説明を受けると言われたとおりに右回して行った。


「想像以上にヤバ〜イ!!」


 シャーロットが右回して行き、少しだけ経つと僕から見て右奥の叢が出て(ゴブリンから見ると真左から)ゴブリンの注意を集めてこちらに走って来た。


約剣(エクスカリバー)さ〜ん!」 


「うん、今だ約剣(エクスカリバー)!」


「急にぼ…俺!?」


 僕には何の説明もないし、きっとアルゴンが剣で仕留めるだろう。

 鷹をくくっていた僕に急に本当に声が2人からほぼ同時にかけられる。

 僕と言いかけたり、周りをキョロキョロしてしまったくらいにはテンパり物。と言うか、何の問い掛けなんだ?


「だから…え〜、魔法だよ。」


 大事な所で作戦を知っているお前がグダるな!

 と言うか、魔法でしたか。集団の敵には確かに魔法の方が剣よりはヤりやすい。

 だとしても、こんな直前になって声をかけないでもらいたかった。

 そして、魔法と言われても…炎系は駄目だから…。


「風よ、俺に力を、フィンドカッター!!」


シュン


 ザバッと言う音と共にゴブリンの首などが体とお別れしてゴブリン達は一遍に倒れた。

 アニメの様な風の刃が出てきて見えたのかと言われると、No。全くもって技を放った僕も見えなかったし、発射時に狙いも上手く定められていなかった。

 オトリ役だったシャーロットに当たらなかったのはただの幸運だったかもしれない。

 という事で、風魔法は封印と言う事に決まった。


 まぁだがとにかく、アドリブだったが風魔法が上手くゴブリン達に当たって良かったと僕は胸をなでおろした。

 と言うか、アルゴンが入った事で確実に…


「戦いやすかった。」


「ゴブリン退治に戦いづらいってなんか分からないけど、だろ〜!」


 そう、僕の言葉を聞いたアルゴンが調子に乗ってダル絡みしてくるのはイラッとくるが、前回よりも格段に戦闘がスムーズだったのである。


「いや、あのですねアルゴンさん。貴方…戦ってませんでしたよね。指示だけ出して。」


 調子に乗ったアルゴンをジーっと目を細め見つめながら、シャーロットはテンションの低い一言。


 シャーロットの言葉にアルゴン加入に喜んでいた僕はハッとし、少し思い返した。

 まずシャーロットがゴブリンを引き付けて、僕が魔法を放って…。さらにゴブリンの耳はアルゴンをチラチラ睨んでいるシャーロットが削ぎ落としていた。


「…本当に何もやってないな。」


「お前もかよ!?ていうかさ、いや〜アレだよ、武器がなくて…。」


「「…。」」


 僕とシャーロットの目線を逸らす様にそっぽを向いたアルゴンに、僕らは互いに顔を見合わせて頷きあった。

 アルゴン君、お前の腰にその武器、立派な剣があるんだけど…。と。


「腰に剣があるじゃないですか?」


「…。」


 シャーロットの言葉と共に僕ら2人がその剣に目を向けた事で、流れでアルゴンも触って確認してしまった。

 すると流石にもう何も言えないのであろう。

 すっかり黙り込んでしまった。


「まぁ、戦いやすかったですから、今回はいいですけど…。」   


「散々いった割にはいいのかよ!」


 自分で攻めるきっかけを作って自分で救って。そんなシャーロットの手のひら返しには思わず僕も声を出してしまった。


「まぁ。そんな事より、さぁ、帰りましょう♪」


 結局は報酬金、お金と言う事なのだろう。シャーロットは倒したゴブリンの耳を今度はポーチに入れると、大量に採れたからかスキップでスモールシティへ移動し始めてしまった。

 …このパーティー、リーダーのはずの僕が振り回されまくって、リーダーの威厳がなくない?少人数にしたはずなのに。

 それが3人での初クエストを終えた僕の感想であった。


「ところでアルゴンさん。昨日は一様剣士と言っていましたけど、本当の職業は何ですか?」  


 スモールシティへ入る前の街の音などしないこの空間に嫌気が差したのだろうか?

 いや…先頭を歩いていたシャーロットが下がって来たのだから、話題作りなんかではなくけっこう真面目なやつなのかも。


「職業…!?だからアレだよ、剣士!」  


 アルゴンはまたそれ?と言いながらさっき自滅の原因になった剣を鞘から引き抜き僕らの前で振ってみせた。

 素人目線で悪いが、少しフラッとしているような…軍師とでも言い張った方が良さそうな太刀打ちに見えるんだけど…。

 まぁただ、事実立派な剣を持ち本人が剣士と言い張っているならそれ以上追及する意味はなかった。


「…まぁ、いい。お前らは?」


「私…ですか…?あのですね、ですから、その…。」


 もう良いだろ!そうとばかりにアルゴンは僕らに話を振った。


「私ですか…荷物持ち(ゴニョゴニョ)。」


 今度はシャーロットが自滅。

 そっぽを向いて、反応だけからでも触れないでと言うオーラを放っている。


「本当に荷物持ちなのか…。」


 マジの論なの?アルゴンはそう僕の顔を見てきたので、僕はコクリと頷く。

 アルゴンは僕と確認を取ると、はれものに触らないように静かになってしまった。

 アルゴンって、空気読めたんだ!?絶対読めないタイプと思っていたよ。

 もう入っている者はしょうがないと、自分自身でも謎に別の事を考えるくらいに冷静だった。


「それじゃあ、戦闘は約剣(エクスカリバー)にやってもらうか…。」


「は!?」


 アルゴンの急な発言に、僕の冷静な頭は瞬時にどっかに消え去って行った。

 この荷物持ちに触れないための話題作りじゃ…?

 だがアルゴンは僕の目をしきりに見てくる。

 マジのヤツである。

 いやいや、反対意見、反対意見。あ、居ないんですか。まぁこのパーティー3人だし…。


 ていうか、このパーティー本当に大丈夫か?

 まぁ陰キャがパーティーリーダーって所でオカシンだけどさ…。


「は〜…。」


 さらに僕は思いながら昨日のシャーロットに引き続き不安的な要素が入ってしまったパーティーに、ため息を付いたのだった。

作中でエクスカリバーは、シャーロットとアルゴンと普通に会話しちゃってます。

ですがこれはエクスカリバーの陰キャコミュ症、人とは会話出来ない設定がなくなったわけではないです。

2人と普通に会話できちゃってる理由としては、2人共初対面から初クエストまででヤバい奴だったので、ツッコんでたりするうちに、自分のペースが(厨二病キャラが)崩されて、で、出来てるって感じになります。

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