毛
貴族の令嬢たる者、いずれどこかへと嫁いでいく運命。
私も例に漏れることなく、この国で名家と呼ばれる公爵家へ嫁入りすることになった。
今日から身も心も旦那様のもの。
夜になれば、もちろん情熱的な初夜を迎えることになるでしょう。
そこで私はひとつ疑問に思うことがあります。
淑女の皆様方、下の毛は一体どのようにしていらっしゃるのでしょうか。
お恥ずかしながらこんなセンシティブなお話、他の誰にも相談など出来ぬままここまで来てしまいました。
少なくとも常識外れであったり、殿方が不快に思われたりしないように最適解を選びたいわけではありますが、初心な私ごときでは本当にどうしたらいいのかわかりません。
ですが自分なりに一生懸命考えました。考えに考え抜いた末、取るべき選択肢としては大きく分けて3。それぞれに利点と欠点があるところまでは分析済みです。
それぞれを解説していきましょう。
まずは選択肢1つ目、手つかずの自然な状態。
この選択肢の利点としては、無垢であり無知であるという、純真な心を持っている事を表現することができます。
まだ私は誰のものでもなく、あなた様に初めてを捧げるというそんな意思表示。
そういう健気な立ち振る舞いが好みだという殿方も多いと聞いたことがあります。もし旦那様がそうであれば、この選択肢は正解でしょう。
しかし欠点としては、いかにも無頓着な女であると思われてしまう可能性もあるというところでしょうか。
大切な場所の手入れも出来ないようでは、名家に嫁ぐ者としての責務を果たせるのだろうか。と、旦那様が疑念を抱いてしまうこともあり得るでしょう。
そうなれば、灼熱の太陽より熱い愛も初夜にして冷めてしまい、公私ともども今後の生活に大きな支障だって出てもおかしくありません。
選択肢の2つめはその真逆、すべてキレイに取り去ってしまった状態。
この選択肢の利点としては、なんと言ってもその清潔感にあるかと思います。
お医者様の文献によれば、除毛によって様々な病気を予防できるのだとか。
さらに、すべてキレイに取り去ることで、幼さというものを醸し出すことも可能です。
旦那様の好みがそこにピッタリとハマるようであれば、これ以上ない選択肢であるのは間違いないでしょう。
しかし、当然ながら旦那様の好みに刺さらなかった場合は悲惨なことにもなり得ます。
また、生きている以上は毛が生えてくるもの。つるつるな状態を保つためには今まで以上に念入りな手入れが必要になります。
多忙とされる公爵夫人の身になったとき、果たしてそこまで手が回るでしょうか?私は不安でなりません。
最後の選択肢は上記2つのちょうど中間。程度よく整えた状態にするというもの。
利点も欠点も間をとったような形で、一見悪い選択肢ではないように思われます。
それならばこの選択肢を選ぶのが良いのでは?
そう思われるでしょうが、ひとつだけ私には不安なことがあるのです。
ちょうど良く整えているということは、大切な場所を『見られる』ということを過度に意識しているのではないでしょうか。
いえ、見られることを意識することは悪いことではないと思います。ですが、いざ初夜を迎えるにあたりこんなに意識をしているなんて、とてもはしたない女であると思われてしまったらどうしましょう。
悩みに悩んでも最終的な結論は出てきません……。
ああ……、誰か答えを教えて頂けないでしょうか……。
読んで頂きありがとうございます
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