⭕ 井戸の中からパンパカパ~~~ン♥️ 4
ガンライ
「 ……………………はっ?
えと…………此処は……何処だよ? 」
気が付いたガンライは見知らぬ建物の前に立ち尽くしていました。
今にも日が暮れそうです。
?
「 ──あっ、随分と遅かったじゃん。
此処が村長の旅館だよ。
ほらほら、話はしてあるからチェックインしちゃいなよ! 」
ガンライに声を掛けた主は昼間に遭った白ワンピースを着ていた怪しい男性でした。
今の彼は長い髪を結んでいて、白いワンピースではなく至って普通の格好をしています。
結構なイケメンです。
何故、こんなイケメン男性が昼間のような奇行をしていたのか謎は深まるばかりです。
夏だから──という事にしときましょう。
ガンライは親切なイケメン男性──元ワンピース男に案内されて旅館の中へ入りました。
──*──*──*── 日埜円旅館
旅館のフロントでチェックインをしたガンライは、可愛い仲居に宿泊室へ案内されました。
その間、ガンライは中ぐらいのツヅラをずっと持っていました。
旅館の仲居
「 此方が御客様が宿泊されます “ 百花の間 ” で御座います。
御夕食は18時からとなります。
準備は17時45分からさせて頂きます。
18時15分迄に温泉から御戻りくださいませ。
ごゆっくり、御寛ぎくださいませ 」
丁寧な対応をしてくれた仲居は、宿泊室にガンライを残すと笑顔で宿泊室から退室して行きました。
ガンライは和室の宿泊室へ入るとテーブルの上に中ぐらいのツヅラを起きました。
ガンライ
「 …………このツヅラ……何だろうな?
オレは何でこんな時代遅れのツヅラ何かを大事そうに抱えてたんだ??
…………分かんねぇな… 」
ガンライは取り敢えず、ツヅラの上蓋を開けて中身を見てみる事にしました。
ツヅラの上蓋を取ったガンライは、ツヅラの中に何が入っているのか見てみました。
ガンライの視界に入ったのは────。
ガンライ
「 ──オレの鞄じゃないかよ!
どっかで無くしたと思って諦めてたのに、何でツヅラの中に──いや、そんな事は良いんだ!
無くしたと諦めてた鞄が見付かったんだからな!! 」
ガンライはツヅラの中から鞄を取り出すと、鞄のチャックを開けて中身の確認を始めました。
スマホと充電器,小型の携帯用ライト,財布,ペットボトル,ハンカチ,ティッシュ,マスク,携帯用消毒液,際どい水着ギャルの写真が掲載されている雑誌が入っています。
ガンライ
「 ──全部入ってる!
何も盗まれてない!!
財布の中身は──!! 」
ガンライは財布のチャックを開けて中身も確認します。
財布の中身を確認したガンライは胸を撫で下ろしました。
どうやら何も抜き取られていなかったようで、ガンライはホッと胸を撫で下ろしました。
ガンライ
「 金もカードもクーポン券も通帳も全部ある。
助かったぜ~~~~。
これで旅館代を支払えるぅ~~ 」
ガンライは夕食前に温泉へ入る事にしたようです。
貴重品と温泉セットを持ったガンライは、宿泊室を出ると温泉へ向かって歩き出しました。
──*──*──*── 百花の間
ガンライ
「 ふいぅ~~~~、食ったぁ~~~~(////)
旅館の飯、うっまぁ~~~~♥️♥️♥️
マジで財布が無事で良かったぜ!
ATMもあるから足らない分は直ぐ下ろせるから安心だしな。
温泉に行く途中に土産屋があったよな。
後で色々と物色してみっかな 」
ガンライは空になったツヅラの中へ温泉に入る前に着ていた衣類を入れていました。
上蓋を裏返して鞄を置いています。
ガンライは鞄の中から際どい水着ギャルの写真が掲載されている雑誌を取る為に鞄の中へ手を入れました。
ガンライ
「 ──うん??
何だ?
何か……懐かしい手触りだな? 」
ガンライが鞄の中から手を出すと、鞄に入れた記憶のないビデオテープを掴んでいました。
ビデオテープは歴史を感じてしまう程に随分と古びていました。
ガンライ
「 こんなビデオテープ、確認した時には入ってなかったよなぁ?
何のビデオだぁ?
──って言うか時代遅れ間が半端ねぇな。
今時、ビデオデッキなんか置いてねぇだろうしなぁ?
此処に有るTVだってDVD対応のデジタルだしなぁ 」
ガンライは見られないビデオテープを鞄の中へ入れると、雑誌を取り出して読み始めるのでした。
──*──*──*── 某オカルト雑誌編集室
ガンライ
「 ちぃ~~~す、先輩!
撮影に使えそうな空き家を見付けて来ましたよ 」
先輩
「 おぅ、ガンライか。
スマホの編集動画見たよ。
良さそうな場所じゃん。
何でも【 Withサ◯コ 】の映画撮影されてた場所なんだって?
凄ぇじゃん。
【 呪緣 】の舞台に良い候補もな 」
ガンライ
「 アザっす。
先輩、呪縁の “ えん ” の字が変わってますけど何かあったんすか? 」
先輩
「 誤字ミスだったらしくてよぉ、“ 縁 ” じなくて “ 緣 ” の方だったんだと。
ったくよぅ~~、誤字ミスとかマジで止めてほしいぜ 」
ガンライ
「 超絶迷惑っすね~~~~ 」
先輩
「 ──あっ、そうだ。
お前が速達便で送ってくれたビデオテープな、面白かったからネットに上げて拡散しといだぜぇ。
何だったんだよ、あの映像。
一昔前の良きホラーを意識して作った映像だったのか?
臨場感ヤバかったぜぇ~~~~。
あれ作った奴、マジで映像の神な!! 」
ガンライ
「 そんなに良かったんすか? 」
先輩
「 おぅ、映画の冒頭に入れてぇぐらいの出来だからさぁ、上に掛け合ってるんだよ。
出所も制作者も分からねぇなら難しいかも知れないけどな 」
ガンライ
「 随分と古い年代物のビデオテープでしたし、著作権とか切れてるんじゃないっすか? 」
先輩
「 そうだと良いんだけどなぁ。
──あぁ、そうだ。
月刊Xフ●イルの記事で、あのビデオテープの内容を取り上げる事になったぞ。
評判良かったからなぁ~~。
月刊Xフ●イル公式サイトに登録してくれてる登録者限定で無料ダウンロード出来るようにしてあるんだ。
登録者がダウンロードした動画は、月刊Xフ●イル公式サイトに登録しないと再生出来ないようにしてるんだ。
動画を見たいユーザーには月刊Xフ●イル公式サイトに登録してもらう仕組みにしてるんだ。
凄いだろ 」
ガンライ
「 それじゃあ、動画の拡散なんて出来ないじゃないっすか。
ちゃっかりしてますねぇ、先輩 」
先輩
「 なはははは!
月刊Xフ●イル公式サイトの登録者数を稼がないとだからな!
絶好の餌を蒔けたよ。
お前に感謝だ! 」
ガンライ
「 喜んでもらえて良かったっすよ 」
先輩
「 今から昼飯の出前を取るから、お前も好きなの頼んで食べてけよ 」
ガンライ
「 アザっす、先輩! 」
ガンライはメニューを持って昼食の出前を聞いている編集部の社員に声を掛けて、食べたい料理を頼むのでした。
出前が届くまで時間がある為、ガンライは編集室を出ると資料室へ向かうのでした。
──*──*──*── 月刊Xフ●イル編集室
ガンライが資料室から編集室へ戻って来ると、編集室の扉が開いていました。
出前を届けに来てくれていた配達員が腰を抜かしているのか、動けずに震えています。
ガンライは首を傾げて編集室の中へ入りました。
ガンライ
「 ──な゛っ…………何だよ、これはぁぁぁぁぁぁーーーーー!!!! 」
ガンライは編集室の中の状態を見て声を上げました。
編集室の中には大勢の編集者達が息を引き取っていたからです。
全員が白目を剥いており、血の混ざった泡を口から出して死んでいます。
一体全体、編集室で何が起きたのか、ガンライには分かりません。
ガンライが編集室を出て資料室へ向かう迄は至って普通でした。
ガンライが資料室で調べも物をしていた2時間の間に一体何が…………。
ガンライは腰を抜かして動けないでいる配達員に手を貸すと、編集室から出ました。
一切の事情が分からないガンライでしたが、取り敢えず警察へ通報すると、第1発見者でもある配達員の傍に居る事にしました。
第1発見者である配達員を逃がしてしまえば、ガンライが原因不明の大量殺害事件(?)の犯人として駆け付けた警察官に疑われてしまうかも知れません。
それを防ぐ為にガンライは、ショックを受けている配達員を落ち着かせ、宥める事にしたのです。
第1発見者の配達員とガンライが、月刊Xフ●イル編集室で起きた原因不明の大量殺害事件(?)の真相を知る事は無いでしょう。
きっと誰にも真相へ辿り着ける者は居ない事でしょう。
今回の不可思議で不可解な事件は、迷宮入りの未解決事件として、お茶の間を騒然とさせ震撼させてくれる事でしょう。
人気が低迷し、廃れていくオカルト雑誌が、水を得た魚のようにピチピチと潤い始めるのは、そう遠くない未来となるでしょう。