⭕ 井戸の中からパンパカパ~~~ン♥️ 2
──*──*──*── 空き家・前
ワンピース男
「 ──此処が映画に登場した井戸がある空き家だ。
オレは村長に話して来るから楽しんでてくれよな。
村長の家は旅館なんだ。
今夜は日埜円旅館に泊まると良いぜ! 」
ガンライ
「 親切に有り難う御座います 」
見た目の割りに意外と親切だったワンピース男と分かれたガンライは、空き家の敷地内へ入る事にしました。
──*──*──*── 空き家
ガンライ
「 うへぇ~~~~。
本当に映画で見た場所じゃん!
やべぇわ……此処はマジでやべぇ……穴場だ…。
よし、実況動画を録って先輩に見せるか! 」
ガンライはスマホを鞄の中から取り出すと動画撮影を開始しました。
動画撮影をしながら、空き家の敷地内を歩き回ります。
映画で見た井戸は空き地の裏庭にあった筈だと記憶していたガンライは裏庭を目指して歩きます。
裏庭の奥に目当ての井戸が有りました。
ガンライ
「 うほっ、マジあるじゃん!!
歴史を感じる古井戸来たーーーーーーん!!
蓋がされてるけど、今にもサ◯コが這い出て来そうな雰囲気だな…。
でも、初代主人公がサ◯コの白骨死体を見付けて警察に回収されたのに、2作目主人公も井戸の中でサ◯コの白骨死体を見付けたんだよなぁ。
監督……1作目の設定を忘れてたのか?
2作目は1作目から10年後製作された映画だったしな…。
取り敢えず、蓋を外して井戸の中も撮るか。
こんな事もあろうかと、忘れずライトを持って来てんだよな。
オレって偉いよ! 」
ガンライはスマホとラジオを鞄の中へ入れると井戸の口を塞いでいる蓋を外し始めました。
ガンライ
「 ──よし、蓋を外せたぞ。
早速ライトを点けて、スマホで撮影を──。
っと、いけねぇ。
鞄に入れてたんだけっな 」
ガンライは井戸の口の縁の上に鞄を置いてライトとスマホを出し始めました。
ガンライが鞄の中身を見ながらコソゴソしていると、ガサゴソと草木が揺れる音がします。
然し、ガンライは草木の音を全く気にしていません。
またガサゴソと草木が音を立てて揺れます。
草木の茂みから何かが飛び出して来ました!
飛び出して来た何かは「 ナァ゛~~~ 」と鳴きながら、ガンライの背中へジャンプをしました。
ガンライは得体の知れない何かに背中を押されたと勘違いして、驚いたのか声を上げました。
振り向いたガンライの視界に入ったのは猫でした。
ガンライの背中へジャンプをしたのは、村の何処かの家で飼われいるペルシャ猫のようです。
首輪を付けているので飼い猫なのでしょう。
ガンライが驚いた声を上げたのでペルシャ猫は驚いて逃げ去って行きました。
ガンライ
「 はぁ~~~~、吃驚したぁ~~~~。
部屋猫を放し飼いにしてんなよな……。
これだから田舎の村は嫌なんだよ…… 」
ガンライがホッと胸を撫で下ろすと、井戸の口の縁の上に置いていた鞄が井戸の中へに落ちてしまい、ボチャン……と井戸の中で水音がしました。
ガンライ
「 ──は?
ボチャン??
えっ?
え?
はぁぁぁぁああああああ~~~~嘘だろっ!!
鞄の中には未だ、スマホもライトもラジオも入ってたんだぞぉ!!
オレの財布ぅ~~~~~~中身ぃ~~~~!!
NOOOOOOOOOーーーーーー!!!! 」
大事な貴重品が入っていた鞄を井戸の中へ落としてしまったガンライは、井戸の前で座り込んでしまい方針状態となっていました。
最早、ガンライには立ち上がる気力すら出ませんでした。
ガンライが俯いて地面を見ていると、井戸が淡く光り出しました。
然し、ガンライは井戸が光っている事に気付いていません。
?
「 呼ばれて飛び出てパンパカパ~~~~ン!!
ラジオの精だっよぉ~~~~~~ん!
あれれんれぇ?
──あぁ~~、何だよぉ~~~~、居るじゃんか!
んっもう、ちゃんと僕を見て驚いてくれないと困るよ~~! 」
ガンライ
「 ………………誰だよ? 」
ラジオの精
「 僕はラジオの精だよ~~☆ 」
ガンライ
「 ラジオの精??
そうかよ………… 」
ラジオの精
「 テンション低いなぁ。
何々~~、大事なラジオを井戸ポチャしちゃったのがショックなのかな~~?
僕はラジオの中に閉じ込められていた妖精なんだ。
君がラジオを井戸ポチャしてくれたお蔭で、外に出る事が出来たんだよ~~!
僕からの “ 有り難う ” の気持ちを受け取ってほしいな~~ 」
ガンライ
「 ………………じゃあ、井戸ポチャした鞄を返してくれ 」
ラジオの精
「 僕は精霊じゃないから、その願いは叶えられないよ。
めんごぉ~~ 」
ガンライ
「 使えねぇ妖精だな…。
鞄を返してくれないなら消えてくれ… 」
ラジオの精
「 それは出来ないんだよ~~。
君が井戸ポチャしたのは~~ “ 金のラジオ ” かな?
“ 銀のラジオ ” かな?
それともぉ~~~~ “ サ◯コのラジオ ” かな? 」
ガンライ
「 …………サ◯コのラジオぉ?
何だよ、サ◯コのラジオって? 」
ラジオの精
「 サ◯コの呪いを受けた特殊なラジオに決まってるだろ~~。
だって、この井戸はサ◯コが父親に落とされた井戸なんだよ。
この井戸にはサ◯コの怨念が染み付いてるのさ☆ 」
ガンライ
「 いやいやいや、あれは映画だから!
映画はフィクションなんだぞ。
脚本家の考えたファンタジーなんだよ。
ファンタジーって分かるか?
作り話って事だぞ。
アーユーオーケー? 」
ラジオの精
「 君達の世代は知らないか。
いいかい、サ◯コは実在した人物だし、父親だって実在した人物さ。
貧しい暮らしをしていた両親が食べ減らしの為に幼い子供を井戸へ落として殺した事件なんて、昔なら何処にでもあったんだよ。
サ◯コの場合は食べ減らしじゃなかったけどね。
事情は何であれ、父親に頭を殴られてたサ◯コが井戸へ落とされたのは事実さ。
それを近所の子供が目撃していたのさ。
その近所の子供が脚本家の父親だよ。
父親の日記を読んで、映画の参考にしたんだよ 」
ガンライ
「 …………それこそ、お前の作り話なんじゃないのか? 」
ラジオの精
「 僕は妖精だよ。
妖精は人間みたいに嘘を吐いて騙したりしないのさ!
井戸へ落とされた子供の死体は、翌日には井戸から引き上げられて村全体で供養される事になっているんだけど、大人の身勝手さや理不尽さに殺された子供達の怨念は井戸の中に渦巻いているのさ。
人間は “ 残留思念 ” って言うんだってね。
だけど、残留思念は何も出来ないから、人間に悪さをする力も無いし、人間を守護る力もないんだ。
残留思念と怨念は別物さ。
残留思念を無とすれば、怨念は負だね。
負が集まると呪に変化するのさ。
この呪を活用する為に生み出されたのが呪術さ。
呪術を扱う者を呪術師って言うようになったんだ。
男の呪術師は呪術士,女の呪術師を呪術婦って区別をしたんだ 」
ガンライ
「 …………何で妖精が呪術に詳しいんだよ? 」
ラジオの精
「 妖精だからさ。
因みに、妖精が成人したのが精霊だよ。
僕は未だ成人してないから妖精なんだ。
成人したら僕も精霊になれるのさ! 」
ガンライ
「 ……………………何か嘘っぽいんだが? 」
ラジオの精
「 信じるか信じないかは、君達の自由さ★
妖精も精霊も低能な人間如きに信じてもらえなくても気にしないよ 」
ガンライ
「 おい、『 低能な人間如き 』って随分と上から目線じゃないか 」
ラジオの精
「 事実だからね。
人間は自然と調和,共栄共存をする生き方より、破壊して奪う生き方を選んだ時点で仕方無いんだよ 」
ガンライ
「 耳が痛い話だな…。
──で、仮にサ◯コのラジオを選んだら、オレはサ◯コに呪われるのか?」
ラジオの精
「 サ◯コのラジオは、サ◯コの私物だよ~~。
君が呪われる事はないから安心しなよ。
但し、手放したら不幸が訪れるよぉ~~~~ 」
ガンライ
「 要らねぇよ、そんなラジオ 」
ラジオの精
「 じゃあ、そろそろ “ 金のラジオ ” と “ 銀のラジオ ” と “ 銅のラジオ ” の中から選んでくれるかい? 」
ガンライ
「 3択かよ 」
ラジオの精
「 3択だよ~~ 」