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⭕ 水洗トイレからパンパカパ~~~ン♥️


 むかし、むか~~し、のお話です。


 ある所に “ セイレム ” という名前の少女がました。

 セイレムは大人しい少女で学校の教室の片隅で毎日ラジオを片手にラジオ番組を聴いていました。

 その日もものように教室の片隅で好きなラジオ番組を聴いていたセイレムでしたが、その日に限ってセイレムはクラスメイトのリーダー的ポジションに位置する “ カイラン ” と言う名前の女子に目を付けられてしまいました。


 虫の居所が悪かったのでしょう、取り巻きをはべらせながら偉そうに上から目線でセイレムへ声を掛けたカイランは、セイレムからラジオを取り上げました。

 カイランは取り巻きの1人にラジオを手渡すと「 トイレの中へポチャンしてて! 」と指示を出します。

 取り巻きの1人は去年までセイレムと同じクラスで仲のかった “ カリメイ ” でした。


 カリメイは人が変わったかのように陰険な子になっていました。

 「 はい、カイラン様 」なんて言いながら、悪女さながらの笑みを浮かべながらセイレムのラジオを持って教室を出て行ったのです。

 友達の豹変に戸惑いながらもセイレムは、ラジオを持って行ってしまったカリメイのあとを追って走りました。


 セイレムが使っていたラジオは、去年まで友達だったカリメイが誕生日プレゼントでくれたラジオでした。

 「 お揃いだよ(////)」と照れた顔でラジオをプレゼントしてくれたセイレムの知っている優しかったカリメイは、一体へ消えてしまったのでしょうか??


 教室を出てカリメイを探していると、歩いているカリメイと鉢合わせしました。

 セイレムは「 カリメイ……私のラジオは? 」とラジオの在処ありかを聞きますが、カリメイは「 トイレの中でも探せばぁ 」とセイレムをくだしながら言うと教室へ戻って行きました。


 セイレムは近くの女子トイレに入るとラジオを探します。

 すると、ラジオが見付かりました。

 水洗トイレの水の中に入れられていました。

 しかも、誰かが用を足したあとらしく、使用済みのトイレットペーパーも入っています。

 カリメイでしょうか??


 水の中に入れられただけではなく、用を足しえた水の中へ入れられていては、ラジオを取り出す事は出来ません。

 セイレムは友達だったカリメイからプレゼントされたラジオを諦めるしかありませんでした。

 無性に悲しくて涙が溢れてたセイレムは、トイレの個室で静かに涙を流します。

 授業の始まる合図を知らせるチャイムがなってもセイレムは個室から出る事は出来ませんでした。


 落ち込んで泣いているセイレムの耳に「 ゴポゴポゴポ… 」という音が水の中か聞こえて来ました。


セイレム

「 な……なにっ?! 」


 声を上げたセイレムは怖くなってトイレのフタを閉めると個室から出ました。


「 呼ばれてないけどパンパカパ~~~ン!

  ラジオの精だよ、コニャンチワ~~ 」


セイレム

「 …………ト……トイレの精…?? 」


自称ラジオの精

「 誰がトイレの精っつったよ!

  ラジオの精だよ、ラ・ジ・オ!!

  ボクはラジオの中に閉じ込められていた妖精なんだよ~~。

  ラジオを壊してくれてがとう!

  きみに御礼がしたいんだけど、ボクの細やかな御礼を受け取ってくれるかい? 」


セイレム

「 …………私はラジオを壊してないよ…。

  私はラジオを壊された被害者なの……。

  ラジオを壊したのはカリメイって言うカイランの取り巻きの子で………… 」


自称ラジオの精

「 あぁ~~~~、そう言うのはいから。

  ボクはね、目の前にきみに御礼をしたいんだよ~~~。

  遠慮しないで素直に受け取りたまえよ 」


セイレム

「 …………がとう……御座います?? 」


自称ラジオの精

「 素直で宜しい!

  素直で従順な子は好きだよ~~ 」


セイレム

「 ……………… 」


自称ラジオの精

なんか反応してよ。

  テンション下がるなぁ~~ 」


セイレム

「 ご、御免なさい……。

  こういう展開は初めてで……どうしたらいのか分からなくて…… 」


自称ラジオの精

「 あぁ、そうなの?

  きみは妖精を見るの初めてかい? 」


セイレム

「 う、うん……。

  私…と言うか、この世界の人達はみんな妖精を見た事はないと思う。

  だって……妖精ってファンタジーの産物だから…… 」


自称ラジオの精

「 ファンタジーの産物って……。

  随分な言い方をされるんだな…。

  妖精も精霊も存在しているんだよ。

  目に見えてないだけでね!

  きみはボクの恩人だからね、妖精の姿が見えているんだよ 」


セイレム

「 …………私が助けた訳じゃないんだけどね… 」


自称ラジオの精

「 そう言うのはらないからね~~。

  さてと──、ボクをラジオから解放してくれたきみがトイレの中に落としちゃったのは、“ 金のラジオ ” かな?

  “ 銀のラジオ ” かな?

  それとも “ 銅のラジオ ” かな?

  3つの中のれかな~~ 」


セイレム

「 ……………………れもちが── 」


自称ラジオの精

「 3択でぇ~~す!!

  金,銀,銅の3択でぇ~~~~す!!

  それ以外の答えは受け付けませぇん! 」


セイレム

「 えぇっ?!

  3択って………………じゃあ…………銅のラジオで… 」


自称ラジオの精

「 おやおや、銅のラジオでいのかい?

  ほんとういのかい?

  後悔しないの?

  ファイルアンサー? 」


セイレム

「 ……ファイルアンサーで… 」


自称ラジオの精

「 オッケー♪

  はぁ~~~~~~……。

  きみってさぁ、欲がないよねぇ 」


セイレム

「 え? 」


自称ラジオの精

「 こう言う時はだね、金のラジオを選ぶものだよ。

  質屋で金のラジオを売れば、新しいラジオも買えたのにさぁ。

  きみみずからチャンスを潰すタイプだよね 」


セイレム

「 えぇ~~………… 」


自称ラジオの精

きみはねぇ、もう少し貪欲になった方がいと思うよ。

  そんな残念ちゃんなきみには、これ!

  ボクからプレゼント・フォー・ユーさ★ 」


 自称ラジオの精がセイレムの前に出したのは、1段の重箱でした。


セイレム

「 えぇと……重箱??

  どうして?? 」


自称ラジオの精

「 生憎と今はツヅラを切らしていてね~~。

  代わりに重箱にしたんだよ。

  安心して、高価な重箱じゃなくて100均で買った重箱だから 」


セイレム

「 そうなんだ…… 」


自称ラジオの精

「 その重箱をカイランに渡すといよ 」


セイレム

「 え?

  どうしてカイランに渡すの? 」


自称ラジオの精

「 ボクは妖精だからね。

  一部始終を見ていたのさ 」


セイレム

「 ラジオの中に閉じ込められてたんじゃないの?? 」


自称ラジオの精

「 ラジオの中から見てたんだよ!

  は言わずともさっする所だ・ぞ★ 」


セイレム

「 …………御免なさい… 」


自称ラジオの精

「 まぁ、なんでもいから、兎に角 “ カイランに重箱を渡す ” って事だけは忘れないようにね!

  渡したあとは知らん顔しとけばいから 」


セイレム

「 う、うん……。

  く分からないけど……がとう? 」











セイレム

「 ………………あれ??

  私……なんで屋上にるんだろう??

  ………………屋上って立ち入り禁止の筈じゃなかったかな??

  ………………重箱??

  ん~~~~??

  なんで私……重箱なんて持ってるんだろう?? 」


 セイレムは記憶にない重箱を見詰めながら首を傾げます。


セイレム

「 取り敢えず……教室へ戻らないと…… 」


 セイレムは重箱を持ったまま、屋上のドアを開けて階段を降りると教室へ向かって歩きました。

 の教室もだ授業中のようです。

 教室の前に着いたセイレムは教室の戸を開けて中へ入ります。

 教室には誰もません。


セイレム

「 そっか、今の時間は移動教室だっけ。

  あと10分で授業が終わってみんなが戻ってるんだ。

  …………この重箱、どうしようかな?

  う~~ん……なにかを忘れている気がするんだけどぉ~~……なんだろう?? 」


 セイレムは持っていた重箱をかカイランの机の上に起きました。

 か、こうしないといけないような気がしたからです。


 カイランの机の上に重箱を置きえたセイレムは自分の机に向かって歩く途中に気を失いました。

 プツリ……糸が切れたように床へ倒れたセイレムは、教室に戻ってたクラスメイトに発見されました。

 保健係から担任の教師へ連絡が行き、セイレムは救急車に運ばれて病院へ搬送されて行きました。


カイラン

「 ──全く、人騒がせな人ね、セイレムさんって!

  まさか、ラジオの件が原因じゃないわよね?

  ──あら?

  重箱ぉ?

  ワタシ、重箱なんて持っててたかしら?? 」


 カイランが不思議そうに首を傾げながら重箱の蓋を開けると、白い煙がモクモクと出てました。

 カイランは煙をなんとかしようと重箱に蓋をしようとしますが、真っ白い煙で重箱が見えません。

 白い煙は教室中に広がり、廊下にも出て行きます。

 出続ける白い煙はほかの教室の中へも入り込みます。

 重箱から出続ける白い煙が学校中のすみ(ずみ)へ行き渡ると真っ白な煙は消えてしまいました。


 学校中のからは「 オギャーーー 」と泣く赤子の泣き声が響いていました。

 学校内にた教師や生徒は、校庭にた教師,生徒を残して赤子の姿に変わってしまったのです!!

 校庭にた教師や生徒は白い煙の被害に遭わずに済んだのでした。


 学校内にた教師や生徒が赤子に変わってしまった不可思議な現象は、連日ニュースで報道されました。

 校舎内に発生した白い煙は一体なんだったのか──、科学的に解明される日はるのでしょうか??

 発見された大量の赤子達は、保護されて両親がる赤子は両親の元へ返される事になりました。

 親のない赤子は施設へ送られ育てられるか、養子縁組をしてくれる相手を探してもらえる事になるそうです。


 病院へ運ばれたセイレムは、その日の内に無事に帰宅する事が出来ました。

 セイレムが学校で起きた不可思議で奇妙な事件を知る事になるのは、もう少しあとになります。

◎ 訂正しました。

  銀のラジオ ─→ 金のラジオ

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― 新着の感想 ―
[良い点] 何とも言えない面白い話の連続です。話の作り方が、上手ですね。 [気になる点] 無 [一言] 無
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