◆ 3・世界の在り方 ◆
この大地は一度滅んだと言われている。
大地が割れ、海が浮かび上がり、山が沈んだ。
世界は絶えず地響きを繰り返し、いくつもの火山が噴火して数知れぬ島が消え、いくつかの湖が干上がった。割れた大地は離れ行き、谷間からは黒い高熱の海が覗き、星の心臓のような高熱の黒い球体を晒すまでに至った。
脈打つように絶えず揺れる大地は、ついに散り散りに四散しかけたと言う。
数名の研究者は四散したのだとも言う。
それらを止めたのは伝説では『女神』であり、歴史としては『科学』の力となっている。現在の人間には分からない。
四散しかけた台地を蛇のような未知の鉱石が縦横に突き刺さり、世界を繋ぎ止めているのは事実である。
壊れた世界は崩壊を止め、現状を維持してすでに三百年。
以前の世界とは明らかに違う世界が始まっている。
生き残った人類から『戦争』は消え、新しい世界に生まれたのは我が身を犠牲にし世界を繋ぎ止めて黒い心臓部に眠ったとされる『女神』への信仰と、死者の処理方法だった。
死体が出来ると、適切な処理をしない限り記憶も知恵もない死体が蘇り、大地を貪り食うのだ。
世界に残された大地はたった一割。
中心たる黒い核の周囲には黒い高熱の海が広がり、割れた過去を物語るように何もない空白の世界と、繋ぎ止める蛇のような鉱石の荒縄が一割ずつ。
残りが海である。
女神伝説の真偽がどうであれ、死体が土を貪り食う事は変えようのない事実だった。
狭い大地がこれ以上侵されないように世界の国々は手を取り合い、国土保全機関を立ち上げたのが二百年前の事だ。
国土保全機関の一部門である情報調査部によって正しい死体処理法が確立すると共に、葬儀に纏わる全てを新たに立ち上げた葬祭部主導の下に遂行するようになる。それが敵わず生き戻ってしまった死体らは総称『モドリモノ』として軍事部が処理する事となった。
世界は穏やかに秩序を取り戻し、現在に至る。
1部完結まで書き終えていますので、毎日更新いたします。
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