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【番外編2】エルフドートの世界

オルクドートの他にも、「エルフドート」というものもエルフィンド州を中心に普及している。

これはエルフィンド王国時代、言論弾圧の時代を舞台に、当時のエルフィンド王国が歪み、おかしかったかを皮肉る内容がほとんどである。

なおエルフドートは全てオルクセン連邦併合後に作られたもので、これを作る者もベレリアンド戦争後に産まれた白エルフが中心となっている。つまるところ、エルフドートはエルフィンド王国を知らない世代が、エルフィンド王国の残滓にすがりつく同族を皮肉るために作った、一種の「懐古主義者」ジョークでもあるのだ。

                ~ベレリアンド戦争前~

・掃除人

あるエルフが友人に悩みをぶちまけた。

「ねえラミール、仕事が決まらないの!あたし軍人なんて嫌だわ!なんでもいいから仕事を頂戴!」

「いいよ。じゃあ外に出て大声でダリンウェンのクソッタレと叫ぼうか。そうすりゃ掃除人に就職さ」

エルフは悩まずに軍隊へ入った。


解説

ダリンウェン時代、秘密警察に逮捕された政治犯や重犯罪者はエルフィンド首都ヴィハネスコウ近郊の強制収容所に死ぬまで収監されました。そこに収監された者はヴィハネスコウの「汚れ」を洗い流す作業に矯正従事させられるため、白エルフ達は「掃除人」と呼んで蔑んでました。



・無かったこと

あるエルフの役人が仕事でミスを犯し、上司に謝っている。

「申し訳ございません!この落とし前はあとでつけさせていただきます!」

「何言ってるの?あなたが私に10ティアーラばかし払えば、始末書も書かずに済んでこのミスは"無かったこと"になるのよ。」


解説

ダリンウェン政権は長期政権だったが故、末期の方になると「如何にしてダリンウェン首相に嫌われずに済むか」を重要視して行動する役人が増え、「事なかれ主義」が蔓延しました。

この事なかれ主義蔓延の結果、ベレリアンド戦争開戦時に外務省がダリンウェンに宣戦布告通知を届けなかった事態を招いたと指摘する歴史家もいます。



・ノルマ

ある日、ダリンウェンはブレンウェルを呼び出し、こう命じた。

「近頃、指導者の教義に反する不当な輩が増えている。そういった連中を一人残らず拘束せよ!」

ブレンウェルは首相執務室から出ると、部屋の前で待機していた部下にこう命じた。

「黒エルフを晒し上げてノルマを達成しろ。さもなきゃ私含めた全員収容所送りだ。」


解説

ベレリアンド戦争直接の原因となった八七五年の「黒エルフ虐殺」は、当時ダリンウェン政権に参加した改革派黒エルフの処刑に端を発するというのが通説です。

しかし一部の歴史家は当時の秘密警察官の証言をもとに、ブレンウェルの保身のため黒エルフが槍玉に挙げられたという説を提唱しています。

しかし、終戦時に秘密警察が資料を焼却したため、真相は永遠に闇に葬られています。



・コーヒー

あるエルフがコーヒーハウスでコーヒーを飲んでいた。そこに別のエルフが質問を投げかけた。

「なんであなたはそんなに砂糖とミルクを淹れるの?これじゃ紅茶だわ。」

「ブラックコーヒーなんか飲んでみろ!黒エルフ派として秘密警察に目をつけられる!」


解説

白エルフの間では、ベレリアンド戦争中は代用コーヒーが多数登場したことから分かるように、コーヒーが何より愛されています。

流石に飲むコーヒーの種類で収容所送りにされることはなかったと思います。




                  ~ベレリアンド戦争期~

・国民皆兵

オルクセンとの開戦後、ダリンウェンは全国民を兵士とする国民皆兵令を発布した。

これにサエルウェン・クーランディア元帥が待ったをかけた。

「首相!言葉も話せぬ赤子にも戦えと申されるのですか!」

「元帥、赤ん坊は"人の盾"に使えるじゃないか」



解説

オルクセンとの戦端が開かれ、ダリンウェン政権は全国民を徴兵できるよう「国民皆兵令」を発布しました。

しかしこの法令によって市民・軍人の区別ができなくなり、結果、「ノアトゥンの悲劇」や「ヴィハネスコウの落日」といった都市砲撃事件を招きました。



・アイツのせい

とあるエルフが長い配給の列に並び、結局品物を変えなかった時、こう叫んだ。

「全部アイツのせいだわ!」

エルフは早速秘密警察に逮捕され、尋問が始まった。

「貴様はよくもダリンウェン首相、ひいては白エルフ族の名誉を汚したな!」

「あら?私が言ったのは、あの憎きオークのグスタフ・ファルケンハインのことよ。皆様、一体誰を想像したのかしらねえ?」

秘密警察は誰も答えられなかった。


解説

有名なエルフドート。

本家アネクドートにも同じものがあり、派生型も多数あります。

あまりにも有名なため、本当にあったエピソードとして紹介されることすらあります。



               ~ベレリアンド戦争後~

・農地改革

ある地主が農地改革に反対して演説した。

「詰まるところ、今回の農地改革は食糧不足を名目にした、エルフィンド王国の基盤の破壊である!」

それを聞いたグロワール人外交官は言った。

「革命の時ならアイツら全員吊るされてたね」


解説

小作制度を実質解体する農地改革は、地主層に大打撃を与え、壊滅させました。

しかしながら、財産を用いて別分野に投資・経営することで成功した地主も少なからずいました。結局の所、地主達は祖先がやったように、自分達の才能一つで成り上がるチャンスを与えられただけに過ぎなかったということです。


・建築資材

あるエルフ至上主義者の白エルフが演説した。

「白エルフ文化は全ての物の上に立たねばならない!」

これを聞いてた黒エルフはヤジを飛ばした。

「全ての上に立つための階段にされた魔獣族、黒エルフ族の命をなんだと思っているんだ!」

白エルフはすかさずこう返した。

「建築資材に慈悲をかける奴はいないぞ!」


解説

白エルフの傲慢さを極端に強調した作品。

ちなみにエルフィンド王国国歌には「我らエルフ族よ 全ての物の上にあれ」という歌詞があります。

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