オルクドートの分類
・オルクドートの分類
国民のほぼ全員が何百年も生きる国家であっても、流行や時代の変化はある。それ故、オルクドートと一纏めにしても、どの時代が舞台なのかでジョークの性質が変わる。本著では、古い時代順に第一期〜第三期に分類する。
【第一期】
グスタフ・ファルケンハイン王の即位からエルフィンド戦争期までの頃が舞台。
第一期の特徴として、オーク族の野蛮さをネタにしている事が挙げられる。だいたいの話にて、グスタフ王が何かしようとすると、側近が野蛮な提案を行ってオチをつけるのが黄金パターン。またこの時代でも既に、「グスタフ王は農業大好きおじちゃん」というイメージが定着しており、グスタフ王と農業ネタは鉄板となっている。
ちなみに、エルフィンド戦争そのものを取り扱ったジョークは意外にも少ない。というのも、エルフィンド戦争参加者が現在でも多数存命であり、「命がけの戦を茶化すな」とオーク族やコボルト族はもちろん、エルフ族からもオルクドート化を忌避されているからである。
【第二期】
エルフィンド戦争後からグスタフ王崩御の頃までが舞台。
第二期から白エルフ族が話に登場する。ただし時代が時代なため、白エルフを差別する傾向が見られる。(黒エルフはアンファングリアの名声もあって、悲劇の民族か脳筋として書かれる)
またこの時期は第一期以上に技術と政治の発展がめざましく、それらについていけない懐古主義者をおちょくるという、現在のオルクドートの一角を担う「懐古主義者」ジョークが登場した。
【第三期】
ディネルース女王即位から、九六五年現在までが舞台。
この時期になると、第二次星欧大戦にて白エルフ族の乗る戦闘機が国防を担ったり、平和維持部隊にて最後まで戦い続けるなど武勲が上げられたため、白エルフ族に差別的なジョークは激減している。
第三期は西側と東側との対立もあって、徴兵対象者がエルフィンド戦争期よりも増加。結果、軍内での内輪ネタや、高級将校への皮肉といったネタが増えた。
その一方で、ジェット機やコンピューターなどの技術革新が多くなったため、懐古主義者ジョークも相対的に増えている。
またグスタフ王が天から現代社会を見つめて感想を述べたり、死んだ側近らと議論するという内容の「天のグスタフ王」ジョークが登場した。
なおアスカニアの「悪魔」については、オルクセンでの法律に則り、本名を出さない事とする。(※1)
※1 九四八年制定の「記録抹消法」では、教科書・公式記録以外で「悪魔」の名を出した場合、5ラング(アキツシマ圓なら10円 この例えが分からなくなる後世のために説明すると、日雇労働者の平均日給10~17日分に相当する)を支払わなければいけない。
このようにオルクドートは時代とともに進化を重ね、今も兵営や酒場、一般家庭などで語られ続けている。
次ページからは、オルクドートを時期ごとに見ていく。
なお、便宜上タイトルを入れているが、これは分別のため筆者が暫定的につけたものであり、本場オルクセンでは通じるものではない事をご留意して頂きたい。