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ソウルライク。あるいは死にゲー

 前回おれは仁王について書くと言いながら、その実、仁王の中身には全く触れていなかった。これはもう仕方のないことだ。ここに置いてある文章は、結論に向かって段階的に論を展開していくような類の文章ではなく、リアルタイムで生成されるとりとめのない走り書きのようなものだからだ。話が脱線したまま元に戻ってこないことも十分にありうるし、それならそれでよしとしている。

 だが文章を書く以上、読み手への意識はしっかりとある。

 おれはこの文章を、読まれることを前提に書いている。とりとめのない走り書きではあるが、読んでいて面白い走り書きにしたいと強く思って書いている。そこだけは、はっきりとさせておきたいと思った。はっきりとしたか? ならよし。今回も仁王について書く。


 仁王はハクスラか否か。おれはそこのところを見定めようと、厳しい態度でもって本作に挑んだ。結論はあっけなく出た。仁王はハクスラではない。

 ちょっと待て。落ち着け。いくらなんでも性急過ぎやしないか? いや、これでいいのだ。おれの経験上、ハクスラが人前にその姿を晒すことは滅多にない。なぜか。わからない。そういうものだと言うしかない。特にこの日本において、在来種のハクスラをおれは見たことがない。存在しないとは言わない。きっとどこかにそいつはある。おれの知らないどこか……例えば生活苦に陥ったクラブDJが自慢のレアグルーヴクラシックを手放したことにより生まれたレコード棚の空きだったり、ゆくゆくはドイツ年間ゲーム大賞受賞も期待される新進気鋭のゲームデザイナーが肌身離さず持ち歩くアイデアノートの一片だったり、そういうおれとは全く関係のないどこかにきっと……。いずればったり出くわすこともあるかもしれない。準備はしておこう。

 以上の結果により、仁王はハクスラではなかったと証明されてしまった。おれは落胆したか? いやしていない。仁王は完全なハクスラではないが、ハクスラ要素はある。倒した敵がランダムに落とす装備には等級があり、付与されているオプションもまたランダムだし、スキルツリーのようなものも一応ある。

 逆を言えば、それだけの要素ではハクスラにはなり得ないと言うことも立証されたわけだが、そろそろハクスラの話はやめておこう。必要以上にハクスラを連呼して、その筋の連中に目をつけられてはたまらない。かなり危険な連中だ。軽々しく口にしていい言葉ではない。


 さて、実を言うと仁王はハクスラ要素よりも更に大きな、コアとも言うべき部分がある。ハクスラ要素は懐に隠し持つ寸鉄に過ぎなかった。やつは最初から物々しいだんびらを振り回していたのだ。

 ソウルライク。あるいは死にゲー。なにやらきな臭くなってきた。なにしろ死だ。生きとし生きるものすべてが恐れる死だ。なるべくなら目を背けていたい。そう考えるのが自然だ。だが説明はせねばならないだろう。それがおれの責任だ。


 デモンズソウルというゲームがかつてあった。いや今もある。やつは原初の輝きを失っちゃいない……と思う。語尾が少し弱々しくなったのは、おれがこのゲームに触れたことがないからだ。だがよい噂はかねてから聞いているし、信頼のおける筋からのかなり好意的な評もうちのポストに届いている。名作の中の名作と言って差し支えないだろう。そしてその後継作として、世界中から圧倒的な支持を集めたダークソウル1〜3があり、その他にもブラッドボーンやSEKIROも姉妹作としてこの系譜に入る。このあたり実は適当に書いているが、合っているか? まあ概ね間違っちゃいないと思う。

 この一連のソウルシリーズ、特徴は色々あるが、まず第一に挙げられるのは、難易度が非常に高いということだ。多種多様の敵が、環境が、明確な悪意でもって殺しにかかってくる。当然のようにプレイヤー操るキャラクターは何度も死ぬ。何度も何度も飽きるほど、プレイヤーはキャラクターの死を見届けることになる。ゆえに、死にゲー。いつしかそう呼ばれ始めた。

 よく死ぬから死にゲー。単純バカがその場の思いつきで言い出したに違いないと思わせるほど、陳腐で身もふたもないネーミングである。だが、繰り返しバーチャルな死を見せつけられれば、誰だって頭がバカになるに違いない。そう納得させられるほど、このシリーズは難しい。

 とは言っても、ただ難しいだけでは、ここまでシリーズの人気が出るはずもない。豊富な武器や防具、それらを装備するために必要なステータスの割り振りによるキャラビルド、ゲーム全体を覆う物哀しくも美しい雰囲気、そして自然と心中に湧き出てくる、失うのか取り戻すのか、進むのか留まるのか、挑むのか逃げるのか……そういった葛藤。

 数々の要素が死を中心として有機的に絡み合い、安易に抜け出すことのできない底無し沼となりプレイヤーを引きずり込むのだ。……と、まあ大袈裟に言ってはみたものの、おれは比較的簡単に抜け出した。

 決して嫌いなシリーズではない。おれがこのシリーズに手を出したのは、ダークソウル2が最初だが、その後もダークソウル3、ブラッドボーンをやった。そのいずれにも悪感情は持っていない。むしろ好きだ。だが中盤を過ぎたあたりで決まっておれは他のタイトルに気を取られてしまう。これは移り気なおれが悪いのはもちろんだが、魅力的に映る新作を続々と繰り出してくるゲーム業界にも少しは原因があると言えるだろう。


 さて、おれ自身は結構カジュアルに接しているソウルシリーズであるが、いまや日本を代表するシリーズと言っても過言ではないほどの人気と影響力を持ち、数々のフォロワータイトルが生まれた。それらを指す通称がソウルライクであり、仁王もその中の一つだと言われている。

 つまり、言葉を選ばずに言えばコーエーテクモゲームスはソウルシリーズをパクったわけだ。ソウルシリーズを作っているフロム・ソフトウェアがこの現状をどういった思いで眺めているのか知るよしもないが、ニンジャガイデンに対して、ニンジャブレイドで勝負を仕掛けた(そして大敗した)過去があるのでお互い様だと思っているのかもしれない。

 そろそろリンツのチョコが食べたくなってきた。今回はここまでだ。

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