第9話 「キャラ崩れ」
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異世界にいった矢先に、突然のキャラ崩れ………。鈴空に何があった?
「鈴空。説明の前にまずは、お主に問う。ここへ来る前に、不思議な6つの石板がある部屋で、『ルート』の選択をしたはずじゃ。そこで、お主が選んだ『道』を教えてくれんか?」
この婆さんは、なんでそんなこと知ってんだ?こっちの世界に来てから、僕は、誰にもそのことを話してないぞ。リアにだって………。
「急になんの話だ?」
まだ、会ったばかりで信頼関係も築けていないような相手にペラペラと話せるか。そもそも、人間なんて簡単に信用できるようなもんじゃない。………。いや、人間じゃないか。どちらにしろ、僕は、そこらにいるお人好しなやつらとは違う。おいそれと、騙されるとは思うなよ。
「とぼけるか………。ワシに隠し事はできんぞ。いや、ワシではないか。リアにと言い換えよう。このコは、少し特殊なスキルを持っていてな。このコの眼は、その人と成りを見通す」
「人と成り?眼?」
リアが、僕の方を向き、左眼に覆いかぶさっている髪をかき上げる。
オッドアイ-----
オッドアイとかマジでいたんだー!実在したのか!よくアニメとか漫画で出てきたヤツぅ!うぁ、マジで感激だー!僕の中で、リアの株ptがさらに上昇した。
いや、しかし、ここで本性露わにして、喜んだりしたら、婆さんの思うツボだな。
「ふむ。オッドアイか。それが人と成りを見通すとでも?」
「この眼は、『余殃眼』という。余殃眼は、人と成りを見通す、神秘の魔眼。じゃが、その名の通り、これは先祖からの呪いでもある。人と成りを見れる、見れてしまう。これが、どうゆうことかお主にはわかるじゃろう?」
人は、必ずしも善人ばかりじゃない。いやむしろ、悪人ばかりと言っても過言ではない。人の善行は偽善の上に成り立つ。それが、今までの僕の人生で得た答えでもある。悪質なヤツ、性悪なヤツ、腹黒いヤツ、不義理なヤツ、たくさん、たくさん見てきた。接してきた。
「善人だけでなく、悪人の人と成りまで見えてしまうのか」
どんなにエグい光景をリアは、見てきたんだろう?人の悪念は、留まること知らない。
「その通りじゃ。だからこのコは、普段左眼を髪で覆い、視界をふさいでいる。ただ、今回に限っては、お主にぶつかった際に、左眼を覆っていた髪が、乱れて、偶発的にお主の人と成りを見てしまったというわけじゃ」
ん?待てよ。つーことは、リアは、僕が異世界人だってこと知っていたってことかー!それどころか、僕の野望も、さらには、キャラメイクも………。
なんかもうゲロ吐きそうになってきた………。
「すいません。不可抗力なんです。必要以上のことは他言しないとお約束しますので………」
つらッ!慰めが逆に痛い!初めは、その眼、かっこいいとか思ったけど、その眼って、マジのチートもんじゃん!てか、俺にもそうゆうチート能力くれよ………。
「話を続けるぞい。それで、選択した『ルート』は?』
「こらこら、婆さん。僕の心は、まだハートブレイク中だぞ………。くそぉ。『人間道』だよ!『人間道』」
キャラにもはや、意味はない。そう悟った僕は、素に戻った。
「『人間道』か。やはり、リアの眼は、節穴ではないようじゃな。それにしても、今のお主のほうが、しっくりくるぞい。先程までのお主より、好感が持てる」
チッ。婆さんからの好感度がいくら上がったところで、リアの好感度が下がってたんじゃ意味ないわ。
「それで、『ルート』が、これからの話とどう関係があるんだよ?」
「まぁ、そう急くな。順を追って話してやるわい」
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