第37話 「ゴルゴーン国『首都リミル』」
リアの余殃眼によって、九死に一生を得た鈴空達。
リュアレに降伏の条件としてリアと西華の治療を要求する。
鈴空達は、リュアレの家で治療を受けることになるのだが………。
僕達は、リュアレの案内の元、ゴルゴーン国『首都リミル』を訪れていた。
「鈴空。こちらです」
リュアレは小声で指示を出す。僕達は、言ってみれば余所者である。周囲に自分達の存在を気付かれるわけにはいかない。ましてや、ゴルゴーンに立てつこうと、三つ蛇頭に無断で侵入し、レラージュ3姉妹を降伏させたとあれば、この国の者にとっては、敵以外の何者でもない。だから、僕達は決して姿を晒すわけにはいかない。それは、僕達をここまで連れて来てくれた、リュアレへの配慮でもある。余所者を、敵を国に手引きしたとなれば、彼女達の身の上が危険だ。
「まさか、こんなところで役に立つとはな。常婆には感謝だ」
「ほんまですね」
常婆からもらった透明化スキルの付与されたローブ。一応、持ってきておいて正解だった。ギリギリ、僕達3人を覆えている。
「着きました。入ってください」
リュアレ達、レラージュ3姉妹の家につい………た?これ家か?家っていうか、もはや屋敷じゃねーか!僕は、大声でツッコミたい衝動を寸でのところで抑えた。目の前には、豪邸が建っていた。屋敷の中に入る執事とメイドが出迎えた。
「お帰りなさいませ、リュアレ様」
「うむ。私は、すぐにメデューとステーノの治療に入る。事情は、使いの蛇に伝言させた通りだ。後ろの3人の治療を頼むぞ」
「かしこまりました。私、この屋敷の執事を務めさせていただいております、ゼベッタと申します。鈴空様方、こちらへ。治療室へご案内致します」
おいおい。あの3姉妹、まさかのお嬢様か?リュアレはそれらしい雰囲気はあるが、下の2人はとてもお嬢様とはかけ離れている気がするが………。
「お嬢様方お2人は、メイド長とともにそちらの部屋へお願いします。鈴空様は、私とこちらへ」
男女で診療室が違うのか?ま、当然と言えば当然か。僕は、たいして疑問も持たず、ゼベッタの指示に従う。
「さぁ、どうぞ」
部屋に通された僕は、椅子に腰かけた。すると、ゼベッタが、紅茶とお菓子を運んできた。
「あ、ご丁寧にどうも。ところで、ここで治療するのか?」
部屋は、客室のようで、到底治療室とは思えない造りだった。
「治療は診療室で行います。まずは、重症な方から治療させていただきますので、鈴空様はこちらでお待ちください」
成る程な。トリアージみたいなもんか。医療のドラマで災害時に良くやってるあれだな。
「あっ、紅茶のお替りはいかがですか?」
朝食後から何も口にしていなかった僕は、喉がカラカラで、出された紅茶をあっという間に飲み干していた。
「あ、ありがとう」
ゼベッタが僕の右肩のほうからカップに紅茶を注いでくれる。香水を付けているのかフローラルな良い匂いが背後から漂ってきた。
ん?肩に何か当たっているな?なんだろう?この暖かく、柔らかで、少し重量感があり、それでいて幸福感を味あわせてくれるものは………。
漢の直感というのだろうか。僕の心臓は自然と高鳴り、脳は早く振り向けと全身の筋肉へ命令を出した。この絶対的な自然現象に逆らえなくなった僕は、それでも理性だけは保とうと、脳からの指令を極力抑制し、夢と希望を持って、そーっと後ろに目をやった。
次の瞬間、
スキル『スリープ』
急に、目の前が光に包まれたかと思うと、僕は眠りに付いた………。
そして、数時間後---------
「ん---。あれ?寝てしまったのか?」
僕は、目覚めるとベッドに横になっていた。起き上がろうとするが、起き上がれない。
「なんじゃこりゃ!?」
僕は完全に覚醒した。そして気付く。両手足に手錠を付けられ、ベッドに抑制されていることに。寝ている間に、どんなハードなプレイをしていたというのか。こっち系の趣味はあまり持ち合わせていないのだが。でももし、どうしてもやらなければならない状況なら、僕は、自分よりも相手の自由を奪いたいタイプだ。
「鈴空。目が覚めましたか?」
リュアレが僕の顔を覗き込み、声を掛けてきた。
「これは、どうゆうことだ?ちゃんと説明しろ。まさか裏切ったわけじゃないだろうな?」
元々、敵同士。裏切りの可能性は十分に考えられる。
「鈍い人。そして危うい。他人を簡単に信じてはいけませんよ。ある意味それは長所ではありますが、危険な賭けでもあるのです」
「それは、どうゆ………」
リュアレが僕の口に人差し指を当て、発言を遮った。
「鈴空さん。目が覚めたのですか?」
リアと西華が部屋に入ってきた。
「お前達。これは………。いや、もう傷は良いのか?」
「はい。この通りです」
リアと西華は、ピンピンしている。
「裏切ったわけじゃなさそうだな」
「約束は守ります。あなた方は敵ですが、妹たちの命を奪わなかった。それに対する感謝は尽くすつもりですよ」
はぁ。良かった。っじゃねー!じゃあ、僕のこの状況はなんなんだっていう話しだ。
「鈴空。皆さんが揃ったので、少し話をさせてください。ゼベッタ。鈴空の拘束を解いていいですよ」
ゼベッタ………。お前のその我儘ボディに僕は、僕は………。
いや、なにも言うまい。僕は、漢として正しい行動をした。それだけは、間違えない。あの時の選択に過ちなどなかったはずだ。
「さて、どういう事なのか説明してもらえるよな?」
僕は、拘束を解かれ、起き上がる。そして身に覚えのない、意味不明な拘束について理由を問いただす。
「まず、鈴空。改めて、妹達を見逃してくれたこと感謝します。そして、非礼をお詫びします。すみませんでした」
リュアレは、深々と頭を下げた。
「さて、説明するにもまずは、リミルという国のことからお話ししないといけませんね」
僕の拘束と国が関係しているのか?ますます理解不能な展開に僕は、首を傾げた。
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