第21話 「ワケあり商品購入とマシーネ」
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村の復興に動き出した鈴空。まずは、住人確保に乗り出すのだが………
僕は、早速、野望への第一歩を踏み出した。胸の高鳴りが僕を鼓舞するのを感じる。それにしても、まずは何から手を付けたらいいんだ?正直良くわからん。ま、いいや。とりあえず、行動あるのみ。とにかく動こう!動かなきゃ始まらない。早急に優先して、必要な人材は………
「ケモ耳たち、デミヒューマンだな!」
なんか都合良く、可愛い、僕好みのデミヒューマン達が村に来てくれる方法はないかな?ゴキブリ〇イ〇イみたいに集まってくる方法………。あっ!そうだ!常婆にもらったワケあり商品が載っている本に良いスキルの付与された商品があるかも。どれどれ………。
あれ?なにも書いてないぞ。ページが白紙だ。何故だ?商品がまだ出てないのか?
「鈴空さん。ちょっといいですか?」
リアが用事があるようで、僕に近づいてきた。すると白紙だった本のページに文字が浮かび上がった。
あっ!そういえば、リアが近くにいないとこの本のスキルは発動しない条件だったっけ。
「お、おう。なんだリア?」
「はい。これから、村を復興するのに、人手が必要かと思いまして、私から一つ提案というか、お願いがあるのですが………」
さすが、リアだ。良くわかっている。天然でたまにおかしなこともするけど、基本スペック高いんだよな。
「人手は、確かに優先してほしいものだが………。お願いっていうのはどうゆうことだ?」
まさかのワケありか?ワケあり人材ってことなのか?
「私の住んでいたスラム街、覚えていらっしゃいますか?あの場所には、身寄りの無い30人程のデミヒューマンやヒューマンが生活しています。皆、それぞれワケありであの場所に行き着いているのですが、基本的に日々の生活がやっとで、なんとか生き繋いでいる者達ばかりです。中には仕事にありつけている者もいますが、そういった者は、なにかしら特殊なスキルを持っていたり、手に職を持っている者たちで、極少数に限られ、残りの者は、仕事のあてもなく、配給される食事だけを楽しみに生きている状況です。その人達をこの村に引き取り、住人としていただくことはできないしょうか?」
急に30人とは、凄い人数だな。でも誰でも良いってわけではないからなぁ………。リアの頼みなら、なんでも聞いてあげたいんだが、これはちょっと困ったな。
「ちなみに今は、その人達は、どこから配給を受けている状況なの?ライフの街が保護しているのか?」
「いえ。ライフは、そのことには無関係を貫いています。余計な予算がかかりますから。見て見ぬ振りです。今は常婆が面倒をみています」
成る程。それであれば、僕がライフの街からその人達を引き抜いたところで、礼は言われても、文句は言われないわけか。
「わかった。ただ、村の住人になってもらうにしても誰でも良いってわけではないから、一応面接というか、一人一人話しを聞いて決めたいんだが、良いかな?」
「もちろんです。この村のリーダーは鈴空ですから、当然ですよね。それで構いません。ありがとうございます」
ライフからこの村まで、徒歩で3時間ってとこか。30人もの人達がゾロゾロと歩いてくるのは、さすがに危険だな。僕達も村に付く前に、ルリアの兄さんに襲われているし、また同じようなことがないとも限らない。
「リア。少し、俺の傍にいてくれるか?」
「はい。それは構いませんが………」
リアは、不思議そうに僕の顔を覗き込んでいる。
「リアがいないとこの本のスキルが発動しなくてね」
僕は、リアに言い訳けを、もとい説明をし、可愛いケモ耳少女を隣に置いた。んー。便利なスキルないかなぁ。
「おっ!この魔法使えそうだな。なになに………『無属性魔法:ポルタード』か。一度行ったことのある場所と場所を行き来できるのか。これが、あれば、安全に面接できそうだな。よし!買いだ」
僕は、リアルの世界と同じように、ネットショッピングをするかのように安易に購入した。
「ちょ、ちょっと待ってください鈴空さん。コレ、無属性魔法ですよ。いくら商品に魔法が封じ込まれているからといっても、スキルのようになんでも使えるわけではありませんよ。前にも言いましたが、魔法は、その属性の適性がないと使用できません」
げっ!忘れてた!そうだった。でももう買っちゃった。どうしよう………。
「リア、クーリングオフ制度とかないよね………?」
「なんですかそれ?あっ、本から出てきますよ!離れて」
注文したページが急に光出し、中から商品を持った小さなアンドロイドが出てきた。
「鈴空様。この度は、当社の製品『ワケありタオル』をご購入していただきありがとうございます。当商品は、着払いとなります。税込みで200Gになります」
僕は、あっけにとられながらも、200Gを支払い、『ワケありタオル』を受け取った。
「またのご利用を心よりお待ちしております」
支払い手続きが終わると、小さなアンドロイドは本の中へ戻っていった。
「リ、リア今のは、今のは一体なんだったんだ?」
「今のは、常婆の本の中で働いている、マシーネのコです。普段は、本の中にいるので、私もお会いすることは滅多にありません」
あれが、マシーネか!マシーネ………。うん、うん、そうか、あれが………。
「マシーネ!!!いいじゃないか―――!!!」
僕は、リアルでアンドロイドが欲しかった。でもそんな技術まだ開発されてないし、空想上のものだと思っていた。でも、でも………。あったんだ。ここに。この世界に。僕の、僕だけのメイドロボット。僕は、歓喜に打ちひしがれた。メイドロボット、もといメイドアンドロイド。僕達、人類の、いや、漢達のロマン。
あぁ。なんて良い世界なんだここは。最高じゃないか。ケモ耳にアンドロイド………。
「ほしい………」
「え?鈴空さん、何か言いました?」
「ほすぃぃぃぃぃ!!!『マシーネ』ぜひ、俺のパーティにほしい!」
僕は、心のままに叫んだ。
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